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解説一覧

  • 2013/04/24

    日本発のISO規格“鉄鋼CO2排出量・原単位計算方法”発行される
    (2)欧州排出権取引(EU-ETS)の影と温暖化対策への貢献

     ISOにおける新しい規格の検討は、分野別に設置されたTC(専門委員会)とその傘下のSC(分科委員会)で行われる。それぞれ幹事国が決まっているが、700強ある幹事国の内、約5割を欧州、2割を北米が占め、アジア・オセアニアすべてを合わせても3割程度であり、漸減傾向にはあるが、まだまだ欧州がISO活動の中心である。また、環境マネジメントに関してはTC 207(環境管理)が設置されており、その分科委員会であるSC7(GHGマネジメント及び関連活動)から、2006年に欧州の考え方を色濃く反映した、組織におけるGHG排出量の定量・報告・検証を規定するISO 14064が発行されている。 続きを読む

  • 2013/04/23

    日本発のISO規格“鉄鋼CO2排出量・原単位計算方法”発行される
    (1)ISO初の生産プロセスCO2排出強度算定手法

     日本鉄鋼連盟が2009年に国際標準化機構(ISO)へ規格化を提案した「鉄鋼CO2排出量・原単位計算方法」が、本年3月15日に、「ISO 14404」として発行された。筆者は、規格化のためにISOに設置されたワーキンググループの一員として、規格化にかかわってきた。生産プロセスのCO2効率指標の具体的計算方法を記述したISO規格の策定は、鉄鋼はもとより全産業においてもISOで初めてであり、また、地球温暖化関連のISO規格としては、日本発は極めて稀である。 続きを読む

  • 2013/04/15

    風力とシェールガスが電力危機の引き金を引くテキサスのアイロニー
    筆者:西村 陽 (神戸大学経営学部非常勤講師)

    ウェッジ社運営ウェブマガジン(WEDGE Infinity)からの転載。)

    電力市場の規模が全米トップで、かつ天然ガスや風力発電・太陽光発電といったエネルギー資源にも極めて恵まれたテキサス州で、深刻な電力危機が近づいていることはあまり知られていない。輪番停電を経験するほど電力需給が逼迫しているのに、一方で戸建住宅向けに「ナイトフリー(夜間無料)」というメニューが存在するという不思議な事態に陥っている。 続きを読む

  • 2013/03/26

    電力改革、電力料金は下がるのか
    アゴラチャンネル報告

    エネルギー研究機関GEPR(グローバルエネルギー・ポリシーリサーチ)からの転載。)

    エネルギー・環境問題の「バーチャルシンクタンク」であるグローバルエナジー・ポリシーリサーチ(GEPR)を運営するアゴラ研究所は、インターネット上の映像配信サービスのニコニコ生放送で「アゴラチャンネル」を開設して、映像コンテンツを公開している。 続きを読む

  • 2013/03/12

    WHO、福島原発事故の健康被害を予想せず
    リスク向上は警告

    エネルギー研究機関GEPR(グローバルエネルギー・ポリシーリサーチ)からの転載。)

    世界保健機関(WHO)は2月28日、東京電力福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質による健康影響の評価を発表した。そのニュースリリース「Global report on Fukushima nuclear accident details health risks」(福島原発事故の健康リスクの国際報告)を翻訳して紹介する。 続きを読む

  • 2013/02/26

    二国間オフセット・メカニズムを通じた鉄鋼省エネ・環境技術の世界への普及促進

    はじめに

     日本の産業界は、これまで弛まぬ省エネ努力を継続・強化して来たが、今後とも最先端の技術を最大導入することにより、世界最高水準のエネルギー効率の更なる向上を図る(鉄鋼業では、「エコ・プロセス」と呼んでいる)とともに、優れた製品・サービスの供給を通じて広く社会の省エネ・環境対策に積極的に貢献する(同、「エコ・プロダクト」)こととしている。 続きを読む

  • 2013/02/21

    放射線をめぐる事実の確認
    不安をなくす「相場観」を持とう

    エネルギー研究機関GEPR(グローバルエネルギー・ポリシーリサーチ)からの転載。)

    放射線リスクの「相場観」を持とう

    おそらくGEPR読者の方の多くは、福島第一原発事故による放射線被害はほぼ無いものと理解され、心配もしていないことだろう。しかしながら、社会の一部にまだ心配が残るようだ。事故からもう2年近くになる。さまざまな方が、不安を払拭するための努力を行っている。この原稿でもその試みを行いたい。 続きを読む

  • 2013/02/13

    原子力規制委員会の活断層評価に思う
    行政訴訟による法的決着も視野に入れ、適正な判断をうながせ

    エネルギー研究機関GEPR(グローバルエネルギー・ポリシーリサーチ)からの転載。)

    委員会に正当性はあるのか

    原子力規制委員会の動きが変だ。というのは、原発を十分な論議するための時間の確保を怠り、一方的な決めつけや事業者の意見に耳を貸さない姿勢が露骨に目立つからだ。 続きを読む

  • 2013/02/04

    活断層だけに注目する安全対策は無意味–シンポジウム報告

    活断層という、なじみのない言葉がメディアに踊る。原子力規制委員会は2012年12月、「日本原電敦賀原発2号機直下に活断層」、その後「東北電力東通原発敷地内の破砕帯が活断層の可能性あり」と立て続けに発表した。田中俊一委員長は「グレーなら止めていただく」としており、活断層認定は原発の廃炉につながる。しかし、一連の判断は妥当なのだろうか。 続きを読む

  • 2012/12/10

    原発事故による放射性物質拡散を減らす手段(改訂版)

     福島の事故による放射性物質の拡散の経験を踏まえて、各地の原子力発電所の事故を想定した放射性物質の拡散シミュレーションが原子力規制委員会から発表された。
     予測図をもとに原発周辺自治体により事故を想定した被ばく防止対策が検討されていくと思われるが、玄海と川内で拡散予測が真逆だったり、一部で16方位が1方位ずれていたりと、元になった風配図を読み間違うという初歩的ミスが見つかって、関係自治体に混乱を起こしている。 続きを読む

  • 2012/12/03

    再生可能エネルギー全量固定価格買取(FIT)制度の正しい理解のために

     経済産業省資源エネルギー庁は、「固定価格買取制度の開始後の状況について(9月末時点)」を発表した。今年(2012年)の4月から9月までに約91.2万kWの設備が運転を開始し、その9割以上が太陽光発電で、さらに今年度後半にかけて大規模なメガソーラが複数運転を開始する予定であるとした上で、9月末時点で認定を受けた新規設備は約178万kWと“順調な滑り出しだ”としている。 続きを読む

  • 2012/10/25

    日本鉄鋼業、世界で最も優れたエネルギー効率を維持

     RITE(公益財団法人地球環境産業技術研究機構)は、2012年9月25日に鉄鋼部門(転炉鋼)の「2010年時点のエネルギー原単位の推計」に関する調査レポートを公表した。
     日本鉄鋼業のエネルギー効率が世界で最も高いという事実は、国際エネルギー機関(IEA)等、国際的な機関でも共通の認識として受け入れられており、今回の調査において、その事実が改めて確認されたことになる。 続きを読む

  • 2012/08/17

    リオ+20参加報告 ③
    企業・産業界にとっての今後の課題

    (※これまでの解説は、「リオ+20① リオでの交渉プロセスをどう読み解くか?」、「リオ+20② 成果文書をどう読むべきか?」をご覧下さい)

     貧困のただなかにある人達は世界の大企業をどうみるだろうか。あるいは、貧困撲滅が最大の政治課題である途上国政府は世界の大企業をどうみるだろうか。 続きを読む

  • 2012/08/08

    リオ+20参加報告 ②
    成果文書をどう読むべきか?

    (※これまでの解説は、「リオ+20参加報告 ① リオでの交渉プロセスをどう読み解くか?」をご覧下さい)

     期待外れと言われる成果文書 “The Future We Want” だが、予断を持たずに通読をしてみよう。「持続的発展」という概念を2012年時点の現実に照らしてどう捉え直すべきか、について包括的な記述※1がされている、と筆者は前向きに評価したい。 続きを読む

  • 2012/08/02

    リオ+20参加報告 ①
    リオでの交渉プロセスをどう読み解くか?

     1992年のリオサミット20周年を期して開催された国連持続発展会議(通称「リオ+20」)に対する評価は様々である※1。期待が大きければ失望も大きい。大きな期待※2を寄せていた人たちの間では、「何の成果も上げなかった」との声が高く、またそのような報道※3も読むが、本当にそうだろうか? 続きを読む

  • 2012/04/04

    米国の温室効果ガス削減の中期目標達成は困難
    米エネルギー情報局の2012年予測で明らかに

     米エネルギー情報局(EIA)は1月23日、米国の「Annual Energy Outlook 2012」のEarly Release Outlook(以下、「AEO2012概要版」。全体版は2012年春発表予定)を公表した。このAEO2012概要版のなかで示されたリファレンス・ケースは、米国のエネルギー政策を議論するうえで基本となるシナリオであり、2035年までのエネルギー源別、セクター別などのエネルギー需給の見通しやエネルギー起源の二酸化炭素(CO2)の排出見通しが記載されている。ところが、ここで示された排出量と、米国がコペンハーゲン合意以来掲げている温室効果ガス排出削減の中期目標(2020年に2005年比で17%削減)には、大きな隔たりがある。 続きを読む

  • 2011/12/01

    COP17を巡る諸外国の動向等について

     国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)が南アフリカのダーバンで始まった。2012年末に第1約束期間が終了する京都議定書を、2013年以降も先進国に削減義務を課すことで延長することに合意できるか、はたまた米国や中国など京都議定書で義務を課されていない主要排出国を含む包括的な新たな合意に向けて道筋をつけられるかが焦点であり、「京都議定書の単純延長に反対している日本は途上国やEU(欧州連合)からのプレッシャーに抗し切れるか」といった文脈の報道が始まっている。

     しかし、COP17の論点や焦点はそのような単純な構図では割り切れない、複雑で重層的なものである。しかも、世界、とりわけ未曾有の経済危機、財政問題に直面する日米欧の先進国の置かれている政治・社会情勢は、経済を制約する形での環境政策を受け入れることに極めて慎重にならざるをえない状況下にある。環境と経済の両立を実現するとされてきたグリーン経済成長モデルも、英国で「エネルギー貧困」問題が顕在化したり、米国でグリーンニューディール政策が暗礁に乗り上げたりするなか、急速に勢いを失っている。

     本稿では、そうした各国をとりまく情勢をもとにCOP17に臨む各国のポジションについて解説し、なぜ国連交渉が行き詰っているか、その背景にある構造を明らかにする。さらに、そうした行き詰まりを打破して地球環境問題に具体的な進展を図るために、いかなる代案がありうるか、その代案に日本としてどのように貢献できるかについて論じてみたい。

  • 2011/06/02

    クルマはどこまでエコになるか?

     今回は、運輸部門のなかで、特に個人利用の自動車(乗用車)に焦点を絞って、車両技術の向上による二酸化炭素(CO2)削減と技術以外での削減の可能性について議論したい。

     自動車の多くは、駆動源として内燃機関であるガソリンエンジンを利用している。エンジンは、下の図に示すように主として熱による損失のため効率が低く、一般に、燃料であるガソリンが持っているエネルギーの20%程度しか駆動軸に伝達されない。失われている熱をうまく再利用できれば、効率が飛躍的に改善されるため、研究レベルではいくつかの技術が試みられているが、いまだ実用化には至っていない。

     また、図からわかるように、アイドリングによるロスもかなりの量にのぼる。このため、信号などでの停止時のアイドリングストップは大きな効率向上につながる。これは実際にハイブリッド車でも取り入れられており、ハイブリッド化による効率向上のうち、3分の1近い寄与になっている。

     一方、駆動軸に伝達されたエネルギーは、さらに、トランスミッションなどの伝達系で失われる。タイヤに伝達されるのは駆動軸に伝えられたエネルギーの60~70%程度だ。そのエネルギーによって車はスタートし加速されるが、停止時にはブレーキによって運動エネルギーが失われて止まる。この量は駆動軸に伝えられた量から見ると3分の1程度になる。ハイブリッド車は、この停止時に失われるエネルギーを電気に変換して回収し、効率向上に利用している。

     つまり、自動車の効率は、まず駆動源の効率に大きく左右され、次にトランスミッションなどの伝達系の効率、さらに車両の形を通して空気抵抗やタイヤの摩擦抵抗に影響される。ガソリンエンジンそのものの効率化はメーカーが最大の努力を図ってきた部分であり、着実に成果を出してきた。残された改善余地は大きくないが、今後も効率化は進むと予想される。飛躍的な改善は、今、話題の電気自動車や燃料電池車への移行が考えられるが、車両価格やインフラ整備など大量普及への課題は大きく、短中期的な対策にはならない。

    自動車の効率は、エンジンやアイドリングなどのロスによりそれほど高くない
  • 2011/05/17

    中国の「省エネルギー目標」が意味するもの

     中国は極めて政治的に国家統計を使うことがある。

     たとえば、GDP(国内総生産)成長率は国家目標であり、各省の省長や共産党書記にとって勤務評定の対象である。 続きを読む

  • 2011/05/13

    日本の総力をあげ総合的な水管理システムを

     21世紀は「水」の時代と言われ、10年が経過した。上水の供給や排水処理、処理施設の管理運営などの総合的水管理市場は、2025年には100兆円規模になると試算されている。その背景には、水が得られない人口が約11億人、トイレや排水処理がないか実施されていない地域の人口が約26億人も存在している。また、循環型社会を構築するうえで、水処理分野においても二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)といった温室効果ガスの発生抑制やエネルギー回収が急務となっている。

     2008年度に下水道から排出された温室効果ガスの総量はCO2換算で674万tあり、日本の総排出量の0.5%に達している1)。こうしたなかで、小規模分散型生活排水処理システムとして活用されている浄化槽は、最小規模の5人槽で、生物化学的酸素要求量(BOD)1kgあたりのCO2排出量が8.7kgとなり、西村ら2)は人口密度が1040人/km2以下の集落では、下水道による整備よりもCO2排出量が少なくなると報告している。

     これまで、わが国の生活排水処理システムにおける低炭素化対策は、処理施設がエネルギー面で完全に自立したうえで、新エネルギーの活用とエネルギー回収、物質循環を目標とし、現在では省エネ技術の導入を中心とした施策が実施されてきた。しかし今回の震災により、さらなる省エネや節電が求められており、排水処理の分野においても、一層の省エネ技術開発が直近の課題になっている。