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第5回(後編)日本製紙連合会 技術環境部 専任調査役 池田直樹氏/株式会社日本製紙グループ本社 技術研究開発本部 エネルギー事業部長 野村治陽氏

製紙業界の循環型社会と創エネへの貢献。電力自由化に向けた動きも加速


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授


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業界初のエネルギー事業を新規に立ちあげ

――日本製紙グループは、業界初のエネルギー事業部を新設したそうですが、再生可能エネルギー全量買取制度の後押しもありますか?

野村:後押ししたとしても半分といったところです。リーマンショック以降、紙需要が大きく落ち込んだまま回復に至っていません。製紙業界は出口を海外に求めるなど、収益確保に苦慮しています。日本製紙グループでもオーストラリアなどへの海外進出に加えて、生産体制再構築などで対応してきました。

 そうした中、3.11が起こり、日本製紙グループは、主要工場である石巻,岩沼、勿来では大きなダメージを受けました。いっそう体制強化を求められる中で、より生産性の高い工場に製品をシフトしていくと、結果的にシフトされてしまった工場は負荷が下がってしまいました。しかし、そのことがこれまで不可能であった工場外部への電力の販売を可能にしました。

 時を同じくして原発が止まり、全国的な電力不足、電力価格上昇が発生し、結果として電力販売事業を行う素地ができたというのが、去年の6月以降のことです。そういう中で、昨年12月にエネルギー事業推進室ができました。各地の各工場の発電能力の調査などを行い、今年7月にエネルギー事業部が発足しました。現在では専従が7名で、兼務が4名いう体制です。

――売電が事業の中心になりそうですか?

野村:エネルギー売買と、バイオマスを加工した燃料、半炭化品と呼ばれる製品の展開なども事業の柱です。電力会社への電力融通が終了した後に発生する余剰電力の売り先を今のうちから見つけるなど、早く事業を軌道に乗せたいと思っています。

――業界全体としてこうした動きは今後出てきそうですか?

池田:最近の動きですが、日本製紙は、エネルギー事業部の新設、PPSの登録を行いました。王子製紙は、苫小牧の水力発電所の更新と地熱発電の地質調査を行っています。先日も王子マテリア富士第一工場では4万kWの新エネボイラーを設置する計画を発表しました。発電とは直接関係ありませんが、呉では木材を利用したバイオエタノールの研究も行っています。

 北越紀州製紙の新潟工場では三菱商事と組んで、約6万kWの天然ガス焚きタービンコンバインの新設を決めています。特種東海製紙は、島田工場でボイラーを更新し、中部電力へ売電する計画です。レンゴーは福島で太陽電池1500kWを屋根に設ける計画があり、新仙台の工場でも同様の計画があります。

 これらの動きの後を押したのは、再生可能エネルギー特措法が大きく影響したと思われます。他の会社でも、似たような動きは多分出てくると思われます。ただ、これらが本当に将来にわたって事業の柱になり得るものなのかどうなのかは模索段階です。

――再生可能エネルギーを自社の工場で使うこともあれば、売電もする動きが加速しそうですね。

池田:今後は工場内で造った太陽光発電による電力は売電する動きになってくると思います。

――太陽光は売った方が得で、電力は買った方が安いということですね。

池田:それは経済原則ですから(笑)。

野村:同感です。

【インタビュー後記】
 今回このシリーズ企画では、初めて鼎談というスタイルでインタビューさせていただきました。おふたりの冷静でいながら、“攻め”の姿勢とも言える言葉には、お話を伺いながら引き込まれていきました。製紙業界のエネルギー戦略は、紙・パルプ製造での省エネや燃料転換を進める一方、電力自由化という新たな時代に向けて、着実に構想を練りながら前へと歩を進めていることが伺えました。まだ手探りの状況なのかもしれませんが、“とりあえずやってみる!”という強い志を感じました。これから製紙業界がどのような展開を図っていくのか、お話を伺って、ますます関心が高まりました。

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