オピニオン一覧

  • 2014/06/13

    人口減少社会における生活排水処理施設整備をどう進めるか

     今や人口減少・高齢化、さらには社会資本インフラの老朽化という社会情勢が、人口オーナスとして様々な分野に影響を及ぼしている。公共事業についても同様である。一般に、公共事業は実施前に費用と便益を見積もり、事業効率に基づいて評価される。便益は受益者数に比例することが多く、人口減少を将来の便益推計に盛り込むことが必要である。しかし、当初、ほとんどの事業が人口減少を考慮していなかったため、事業完成後に人口が減少し、便益の発現効果が得られず、非効率な事業へとつながりつつある。 続きを読む

  • 2014/06/11

    京都議定書の経験を踏まえた新たな国際枠組みについて

    1.京都議定書と温室効果ガスの削減

     1990年から2010年にかけて世界の温室効果ガスの年間排出量は100億tCO2e以上増えている。

    (1) 京都議定書が見逃したモントリオール議定書フロンの大量排出
     まず、京都議定書は全ての温室効果ガスを扱っておらず、特に排出規制のないモントリオール議定書のフロン(CFC,HCFC)の大量排出を20年近く放置してきている。既に2005年にIPCCとTEAP(モントリオール議定書の技術・経済評価パネル)が出したSpecial reportで、冷蔵・冷凍・空調機器等の機器の中に含まれているフロンが世界全体で年間20億トンCO2eから25億トンCO2e放出されているとしている。 続きを読む

  • 2014/05/29

    3つの思い込み(幻想)問題

    1.ウクライナ問題(豊かになれば武力行使はしなくなる)

     1989年マルタ会談でデタントとなり、「イデオロギーの戦は終了し、豊かになれば武力による解決はなくなる」と多くの外交専門家が判断し多くの人そう思った。その後ロシア、中国の経済発展のため先進国は大幅な技術・経済支援を行い、ロシアのGDPはこの10年で約1.5倍、中国は2.5倍に膨らみ食えない状況から生活レベルは大きく改善された。 続きを読む

  • 2014/04/24

    「夢の原子炉」はどこへ?
    エネルギー基本計画における「もんじゅ」の位置づけに思う

     平成26年4月11日、新しいエネルギー基本計画が閣議決定された。おそらくこのサイトでも話題となっていくことだろうが、ピンポイントなところで、高速増殖炉もんじゅの位置づけが気になったので少々とりあげてみたい。 続きを読む

  • 2014/03/14

    温暖化よりも怖いのはエネルギー資源の枯渇だ

    環境史のなかに含まれていない人為起源の温暖化

     IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次評価報告書統合報告書の主著者で、第5次評価報告書第3部会総括執筆責任者でもある杉山大志は、その著「環境史から学ぶ地球温暖化(2012年)」(文献1)のなかで、地球の環境史に学べば、「われわれは、地球温暖化とつきあいながら生きていける」としている。 続きを読む

  • 2014/01/23

    東京都ができる「脱原発」を考える

     平成26年2月に予定されている東京都知事選挙において、「脱原発」を掲げる細川護熙氏の出馬が取りざたされている。(本稿は平成26年1月22日に執筆している)

     これまで、国家的なエネルギー政策に対して、東京都知事が深く関与するということを想像していなかったのだが、改めて、東京都知事が「脱原発」に向けて関与できそうなことをいくつか考えてみた。 続きを読む

  • 2014/01/09

    先進国と途上国に2分することこそ、地球温暖化対策の障壁

     COP19が例年通り一日延長され、11月23日に終わってから約1ヶ月が過ぎた。政府を筆頭に関係団体、関係者からの報告も一巡して、その全貌がほぼ明らかになってきた。カンクン合意にもとづく自主目標の提出手法が明確になったことや、2020年以降についても、ダーバンプラットホーム作業部会において、先進国のみならず途上国との双方の削減行動が、より整理されて記述されたことから、「それなりの成果のあった、まずまずのCOP」であったと言えるのではないか。 続きを読む

  • 2013/12/17

    改めて「重要なベース電源」の意義を示すべき
    我が国の「健康状態」と原子力の「効能」「副作用」を踏まえた説明を

     平成25年11月に大手新聞社が実施した調査によれば、小泉純一郎元首相が主張する「原発ゼロ」に対して、概ね国民の6割が支持しているそうだ。

    小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」主張を支持するか?

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  • 2013/11/12

    北京のPM2.5対策に地方の壁

     先日、久しぶりに北京を訪問した。上海では青空が見えたが、北京は相変わらず乳白色の濃霧のようなスモッグだ。(写真は産経ニュース、10/28)
     北京は、周囲(北・東・西)を山に囲まれた盆地状の土地で空気が淀みやすい。
     かつて「北京秋天」と言われた青空は望めない。 続きを読む

  • 2013/10/24

    福島第一原発汚染水漏れ対策について
    安倍首相の言う「コントロールされた状況」をつくるには

     いま、福島第一原発の汚染水漏れが大きな注目を集めている。ことの発端は、原発敷地内汚染水貯留用地上タンクからの水漏れ事故であったが、その後、地下タンクからの水漏れも発見、さらに7月には、汚染された地下水が海に流出していることが判明、これが国際問題にまで発展した。この問題が、東京へのオリンピックの誘致に影響することを恐れた安倍首相は、開催地を決めるIOC総会の場で、この福島第一原発の汚染水漏れの問題について「状況はコントロールされている」、「汚染水は原発敷地港湾内0.3 (km)2 の範囲内で完全にブロックされている」と発表した。 続きを読む

  • 2013/10/04

    エネルギー政策の混迷をもたらしている地球温暖化対策

    地球温暖化防止に全く機能しない京都議定書方式

     20 世紀末の地球大気中の温度上昇が、文明活動の排出する膨大な量のCO2 などの温暖化効果ガス(以下CO2 と略記する)の大気中濃度の増加に起因すると主張するIPCC(気候変動に関する政府間パネル、国連の下部機構)による科学の仮説、いわゆる「地球温暖化のCO2原因説」に基づいて、世界各国のCO2排出削減量を割当てた京都議定書の約束期間が終わって、いま、温暖化対策の新しい枠組みを決めるポスト京都議定書のための国際間交渉が難航している。 続きを読む

  • 2013/09/09

    再生可能エネルギーは貿易戦争の新たな具へ 
    ~その後~

    EUは負けたのか - EU・中国の和解

     7月28日以降、各紙はEUと中国で生じていた太陽光パネルダンピング等の問題において一部仲裁合意が成立したと報じていたが注1)、合意内容についてEU産業界が反発しており注2)、その一方で、中国の産業界はそれを歓迎している注3)ことを以てEUの敗北と論じているようである注4)続きを読む

  • 2013/08/16

    真の原子力再生に必要なことは何か?
    (下)真の原子力再生に向けて

    市場原理主義の落とし穴

     前回ご紹介した失敗メカニズムの本質的構造から類推すると、MC調査の時代にはそれこそ世界の優等生であった東電原子力部門における組織的学習がおかしくなったとすれば、それは東電と社会・規制当局との基本的な関係が大きく変わったのがきっかけであろうと思えないであろうか。この疑問こそ、各種の事故調査が、そしてそもそも東電自体がしっかりと深掘りして検証すべき核心的問題であろう。 続きを読む

  • 2013/08/08

    真の原子力再生に必要なことは何か?
    (上)栄光の日々と混迷の日々

    はじめに ~東京電力の惨状

     日本ばかりか全世界をも震撼させた東日本大地震。大津波による東電福島第一原子力発電所のメルトダウンから2年以上が経つ。それでも、事故収束にとり組む現場ではタイベックスと呼ばれる防護服と見るからに息苦しいフルフェイスのマスクに身を包んだ東電社員や協力企業の人々が、汗だらけになりながらまるで野戦病院の様相を呈しつつ日夜必死で頑張っている。 続きを読む

  • 2013/07/30

    原発を止めたいと思うなら再生可能エネルギー導入を叫んではいけない

    「今日」のエネルギー供給の問題と、化石燃料枯渇後を心配しなければならない「明日(将来)」のエネルギー供給の問題が峻別されなければならない

     いま、日本のエネルギー問題を議論するときに非常に気になることがある。それは、原発事故の影響で国内の電力供給に一定の役割を果たしてきた原発電力が一時的に失われている「今日」の電力供給の問題と、化石燃料の枯渇が近くなり、その輸入価格の高騰が、この国の経済に影響を及ぼすようになってくる「明日(将来)」の問題とがごっちゃになってしまっていることである。 続きを読む

  • 2013/07/24

    海外の太陽、風力エネルギー資源の利用拡大を図ろう(その2)

     前回のコラムで、日本は、エネルギーの安定供給の確保と2050年に向けたCO2の大幅削減のため、再生可能エネルギーを大量に導入することが必要であり、そのためには海外の太陽、風力エネルギー資源の利用拡大を図らなければ、その実現は困難であることをご説明しました。 続きを読む

  • 2013/07/18

    ガス事業法と電気事業法の決定的な違い

    霞が関政策総研Blog by 石川和男からの転載。)

    資源エネルギー庁の中では、ガス事業法(昭和29年法律第51号)電気事業法(昭和39年法律第170号)はよく並び称されるし、比較されることがある。エネ庁の電力・ガス事業部が両法を所管し、関連行政を担っている。それぞれの目次を見れば何となく法体系もよく似ていると思う人は多いだろう。 続きを読む

  • 2013/07/16

    海外の太陽、風力エネルギー資源の利用拡大を図ろう(その1)

     再生可能エネルギーの導入拡大に向けてさまざまな取組みが行われているが、これまでの取組みは十分なものといえるのだろうかというのが、今回、問題提起したいことです。そのポイントは以下のようになります。 続きを読む

  • 2013/07/04

    金融界の電気事業制度改革に対する懸念

    電力各社の金融機能の低下は電気事業全体のリスクに直結する

     電力自由化は、電気事業における制度担保がなくなることを意味する。欧米諸国の電気事業者の財務格付けは、自由化の前後で、国とほぼ同等の格付けから、経営環境や個社の財務状況を反映した格付けに改定された。その結果、大半の電気事業者が、財務諸比率が改善したにもかかわらず、財務格付けを引き下げられた。 続きを読む

  • 2013/06/27

    原子力を含む国内エネルギー供給のベストミックスは幻想に過ぎない
    石炭火力を当面利用すれば、経済的な負担のない原発代替は可能だ

    電源構成の最適比率(ベストミックス)には科学技術的な根拠が存在しない

     いま、原発の存廃の議論のなかで、電源構成のベストミックスが盛んに言われている。それは、日本経済を支えている電力について、その将来の供給の安定化と生産コストの最小化などを図るために、在来の水力発電や火力発電用の化石燃料に加え、国産資源として位置付けられた原子力や再生可能エネルギー(再エネ、ただし現用の水力を除く)を最適な構成比率で求めて、それを国のエネルギー政策のなかで追求すべきだとの主張である。一見、もっともな主張のように聞こえる。 続きを読む