執筆者:松本 真由美

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国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授

  • 2013/02/19

    第10回 経済同友会 環境・エネルギー委員会 委員長/帝人株式会社 取締役会長 長島徹氏
    停滞し続ける日本経済を改革路線で再生する

     第10回目にご登場いただくのは、経済同友会環境・エネルギー委員会委員長で帝人株式会社取締役会長の長島徹氏です。幅広くエネルギー問題や温暖化問題に対して日本や産業界が取り組むべきなのか、率直にお話いただきました。 続きを読む

  • 2013/01/24

    第9回 日本化学工業協会 技術委員会 委員長/三井化学株式会社 取締役 常務執行役員 生産・技術本部長 竹本元氏
    環境問題のソリューション・プロバイダーとしての化学の使命

     第9回目にご登場いただくのは、日本化学工業協会 技術委員会 委員長/三井化学株式会社 取締役 常務執行役員 生産・技術本部長の竹本元氏です。化学産業が、地球温暖化対策やエネルギー問題に対してどのような戦略を立てているのか、率直なお話を伺いました。 続きを読む

  • 2013/01/10

    第8回 JX日鉱日石エネルギー株式会社 常務執行役員 新エネルギーシステム本部副本部長 山口益弘氏
    “エネルギー変換企業”として、多様なエネルギーの供給に貢献

     第8回目にご登場いただくのは、JX日鉱日石エネルギー株式会社 常務執行役員・新エネルギーシステム本部副本部長の山口益弘氏です。日本の基幹エネルギーである石油。JX日鉱日石エネルギーでは、石油開発や石油精製販売の他、燃料電池や太陽光発電などの新エネルギー事業の新たな展開も図っています。インタビューの前に、横浜のENEOS創エネハウスも見学させていただきました。 続きを読む

  • 2012/12/11

    第7回 日本自動車工業会 環境委員会運輸政策対応WG主査/トヨタ自動車株式会社 環境部担当部長 大野栄嗣氏
    世界の自動車メーカーが燃費向上の競争、技術の戦国時代にある

     第7回目にご登場いただくのは、日本自動車工業会環境委員会運輸政策対応ワーキンググループ主査で、トヨタ自動車株式会社環境部担当部長の大野栄嗣氏です。注目を集める次世代自動車の最新動向や自動車業界の省エネ対策について等、率直なお話を伺いました。 続きを読む

  • 2012/11/19

    第6回 東京ガス株式会社 エネルギー企画部 スマートエネルギーネットワーク推進プロジェクト室 室長 菱沼祐一氏
    コージェネが核となるスマートエネルギーネットワークの挑戦

     第6回目にご登場いただくのは、東京ガス株式会社エネルギー企画部スマートエネルギーネットワーク推進プロジェクト室室長の菱沼祐一氏です。スマートエネルギーネットワーク実証事業について等、ガス事業者として今後のエネルギー戦略について率直なお話を聞きました。インタビュー前には、スマエネ実証試験場の千住テクノステーションも見学させていただきました。 続きを読む

  • 2012/11/12

    第5回(後編)日本製紙連合会 技術環境部 専任調査役 池田直樹氏/株式会社日本製紙グループ本社 技術研究開発本部 エネルギー事業部長 野村治陽氏
    製紙業界の循環型社会と創エネへの貢献。電力自由化に向けた動きも加速

     今回も引き続き、日本製紙連合会技術環境部専任調査役の池田直樹氏と株式会社日本製紙グループ本社技術研究開発本部エネルギー事業部長の野村治陽氏のおふたりに、鼎談の形で製紙業界のエネルギー戦略についてお話を聞きました。これまでの製紙業界の事業のあり方が転換期を迎えています。時代の変化を前向きに捉え、電力自由化の流れにも業界としての積極的な姿勢が伺えます。
    続きを読む

  • 2012/11/08

    第5回(前編)日本製紙連合会 技術環境部 専任調査役 池田直樹氏/株式会社日本製紙グループ本社 技術研究開発本部 エネルギー事業部長 野村治陽氏
    製紙業界の循環型社会と創エネへの貢献。電力自由化に向けた動きも加速

     第5回目にご登場いただくのは、日本製紙連合会技術環境部専任調査役の池田直樹氏と株式会社日本製紙グループ本社技術研究開発本部エネルギー事業部長の野村治陽氏です。今回は、鼎談の形でおふたりに製紙業界のエネルギー戦略についてお話を聞きました。これまでの製紙業界の事業のあり方が転換期を迎えています。時代の変化を前向きに捉え、電力自由化の流れにも業界としての積極的な姿勢が伺えます。
    続きを読む

  • 2012/10/29

    第4回 大阪ガス株式会社 エンジニアリング部エネルギー・電力ソリューションチーム・マネジャー 松本将英氏
    スマートエネルギーネットワークで切り拓くガスの可能性

     第4回目にご登場いただくのは、大阪ガスのエネルギー・電力ソリューションチーム・マネジャーの松本将英氏です。ガス業界の新たな取り組みとして注目される「スマートエネルギーネットワーク」実証事業。政府の革新的エネルギー・環境戦略において、2030年台にはコージェネレーションを大幅に拡大する目標も掲げられています。スマートエネルギーネットワークの今後の展開など、ガス業界の新たな取り組みについてお話を聞きました。 続きを読む

  • 2012/10/18

    第3回 日本鉄鋼連盟 国際環境戦略委員会委員長/新日鐵住金株式会社 環境部上席主幹・地球環境対策室長 岡崎照夫氏
    日本は世界最高水準のエネルギー効率をさらに極め、世界に貢献する

     第3回目にご登場いただくのは、日本鉄鋼連盟 国際環境戦略委員会委員長/新日鐵住金株式会社 環境部上席主幹・地球環境対策室長の岡崎照夫氏です。日本の鉄鋼業の優れた省エネ・環境技術は、グローバルな視点から持続可能な社会形成に不可欠と言われます。鉄鋼業の低炭素社会実行計画の取り組みや海外との連携、省エネ・環境技術の移転などについて、率直なご意見を聞きました。 続きを読む

  • 2012/10/05

    第2回 日本経済団体連合会 資源・エネルギー対策委員会企画部会長 鯉沼晃氏
    エネルギー政策は国家戦略の根幹。政府に責任あるエネルギー戦略をゼロから作り直してほしい

    第2回にご登場いただくのは、日本経済団体連合会資源・エネルギー対策委員会企画部会長鯉沼晃氏です。経団連は、政府のエネルギー・環境政策に関する選択肢の3つのシナリオが各産業に及ぼす影響を調査するアンケートを実施し、結果を公表しています。政府による原発ゼロシナリオの革新的エネルギー・環境戦略の決定などについて、率直なご意見を聞きました。(2012年9月19日インタビュー実施) 続きを読む

  • 2012/09/13

    第1回 石油連盟専務理事 松井英生氏
    「石油」を分散型・自立型エネルギーとして位置づける政策を

     第1回にご登場いただくのは、石油連盟専務理事の松井英生氏です。政府のエネルギー政策の見直しや石油業界からの5次にわたる提言の核心部分、さらに今後の日本のエネルギー戦略のあるべき姿について率直なご意見を聞きました。(2012年8月27日インタビュー実施)
    続きを読む

  • 2012/05/16

    藤井敏道氏・セメント協会 生産・環境幹事会幹事長/三菱マテリアル株式会社 常務取締役に聞く[後編]
    縁の下の力持ち、セメントの循環型社会への貢献

    今回ご登場いただくのは、セメント協会 生産・環境委員会委員長代行で生産・環境幹事会幹事長の藤井敏道氏。前編に続き震災直後のセメント業界の対応と復旧状況、さらに今後の業界としての環境・エネルギー問題への取り組みについて聞いた。 続きを読む

  • 2012/05/14

    藤井敏道氏・セメント協会 生産・環境幹事会幹事長/三菱マテリアル株式会社 常務取締役に聞く[前編]
    コンクリートが人の命を守る

    今回ご登場いただくのは、セメント協会 生産・環境委員会委員長代行で生産・環境幹事会幹事長の藤井敏道氏。震災直後のセメント業界の対応と復旧状況、さらに今後の業界としての環境・エネルギー問題への取り組みについて聞いた。 続きを読む

  • 2012/05/07

    工藤智司氏・日本基幹産業労働組合事務局長に聞く[後編]
    仲間とスクラムを組んでこの難局を闘いたい

    今回ご登場いただくのは、日本基幹産業労働組合事務局長の工藤智司氏。日本基幹産業労働組合は、主要な基幹産業である金属産業のうち、鉄鋼、造船、非鉄鉱山、航空、宇宙、産業機械、製錬、金属加工などの他、関連業種で働く25万人(748組合)を有する労働組合である。前編に続き、基幹労連の震災直後の対応、今後の環境・エネルギー政策の考え方などについて聞いた。 続きを読む

  • 2012/05/02

    工藤智司氏・日本基幹産業労働組合事務局長に聞く[前編]
    震災を経験し、切に感じた日本の強さ

    今回ご登場いただくのは、日本基幹産業労働組合事務局長の工藤智司氏。日本基幹産業労働組合は、主要な基幹産業である金属産業のうち、鉄鋼、造船、非鉄鉱山、航空、宇宙、産業機械、製錬、金属加工などの他、関連業種で働く25万人(748組合)を有する労働組合である。基幹労連の震災直後の対応、今後の環境・エネルギー政策の考え方などについて聞いた。 続きを読む

  • 2012/02/08

    GDP拡大を求める発想の転換が必要に
    浦野光人氏・経済同友会「低炭素社会づくり委員会」委員長/ニチレイ会長に聞く[後編]

    「エネルギーコストが2割も上がるのは国難」――。経済同友会「低炭素社会づくり委員会」委員長を務める浦野光人ニチレイ会長は、こう指摘する。原子力発電や再生可能エネルギーなど今後のエネルギー政策や温暖化対策について、また、日本のあるべき姿について率直なご意見を伺った。 続きを読む

  • 2012/02/07

    エネルギーコストが2割も上がるのは国難である
    浦野光人氏・経済同友会「低炭素社会づくり委員会」委員長/ニチレイ会長に聞く[前編]

    「エネルギーコストが2割も上がるのは国難」――。経済同友会「低炭素社会づくり委員会」委員長を務める浦野光人ニチレイ会長は、こう指摘する。原子力発電や再生可能エネルギーなど今後のエネルギー政策や温暖化対策について、また、日本のあるべき姿について率直なご意見を聞いた。 続きを読む

  • 2012/01/27

    宮井真千子・電子情報技術産業協会環境委員会委員長に聞く[後編]
    日本のものづくり産業が目指すべき答えは「環境技術立国」

     一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、電子機器や電子部品の健全な生産、貿易および消費の推進を図ることにより、電子情報技術産業の総合的な発展に貢献し、デジタル・ネットワーク時代を切り拓いていくことを使命としている。東日本大震災後の業界の対応や今後の事業展開などについて、JEITAの環境委員会委員長を務めるパナソニックの宮井真千子役員・環境本部長兼節電本部長に聞いた。(インタビューは2011年9月27日に実施)

    再生可能エネルギーを活用する町づくりの実証実験にも積極参画

    ――2012年7月1日から再生可能エネルギーの全量買取制度が始まります。業界として、パナソニックとしてどのように受けとめていますか。

    宮井真千子氏(以下敬称略):方向的には良いと思うのですが、具体的にいくらで買い取るとかの金額提示がない状況です。買取価格によって、さまざまな経済活動に大きく影響してきますので、良いとも悪いとも提示がない限りなかなか言えないところがあります。パナソニックとしては、再生可能エネルギーの比率を高めていくことは良い方向であると思います。我々は、太陽光発電や省エネ、蓄エネ製品を増やしながら低炭素社会へというビジョンを発信しており、事業的にもエナジーシステム事業の拡大を考えています。

    ――今後の町づくりなどで、再生可能エネルギーの導入に関する実証実験を計画されていると聞きました。

    宮井:パナソニックは、「家まるごとCO2±ゼロ」というコンセプトで、エネルギーを創る「創エネ」、貯める「蓄エネ」、それから「省エネ」といった商材を合わせて、ご家庭のなかでCO2プラスマイナス・ゼロを目指していくというコンセプトを提案しています。さらに、これをビル全体、そして街全体にもという方向で拡大しています。そのなかで今回、もう半年以上前になりますが、低炭素な町づくりとして藤沢市と協働でサステイナブル・スマートタウンの構想を発表しました。
     藤沢市には、もともとパナソニックの工場があったのですが、その跡地を活用し、低炭素な町づくりにプラスして住む人にとっての安全安心な町づくりを目指そうと、藤沢市様とともに計画を進めています。また金融、商社、不動産などの企業にも協業いただいて、官民を挙げた町づくりを進めているところです。

    ――町づくりには地元の方も参画しているのですか。

    宮井:新しく家を建てていくわけですから、それはこれからです。家づくりは当社グループのパナホームが中心となって進めますが、やはり住民の目線でいろいろなことを考えていかなければいけません。住んでいただく方にとって住みよい町になるかどうかが一番のポイントでしょう。

    パナソニックが藤沢市と協働で進める「藤沢サステイナブルスマートタウン」構想。工場跡地を利用して低炭素社会のひな型となる町づくりを目指すと同時に安全安心にも配慮する(資料提供:パナソニック)

  • 2012/01/26

    宮井真千子・電子情報技術産業協会環境委員会委員長に聞く[前編]
    震災を乗り越え、最先端の環境技術で世界をリードしていく

     一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、電子機器や電子部品の健全な生産、貿易および消費の推進を図ることにより、電子情報技術産業の総合的な発展に貢献し、デジタル・ネットワーク時代を切り拓いていくことを使命としている。東日本大震災後の業界の対応や今後の事業展開などについて、JEITAの環境委員会委員長を務めるパナソニックの宮井真千子役員・環境本部長兼節電本部長に聞いた(インタビューは2011年9月27日に実施)。

    震災で明らかになったサプライチェーンの調達リスク

    ――東日本大震災、そして福島での原発事故により、業界にはどのような影響がありましたか。

    宮井真千子氏(以下敬称略):JEITAの会員企業の中にも被災工場がたくさんありました。特に、東北地方には素材産業やデバイス系の工場がたくさんありますので、組立工場の被災ともあわせてサプライチェーン全体が被災したために事業活動に大きな影響が出たというのが実情です。ただ、それぞれの会社がいろいろな努力を重ねた結果、当初の想定以上に早く復旧して元の姿に戻っていったように思います。

    ――震災直後は、工場が稼働停止しただけでなく、部品の調達ができず大混乱したようですね。

    宮井:素材産業が被災していますので、まずモノが入ってこない。もちろん当初は、工場が被災しているので動かない。工場が動くようになってもなかなかモノが入ってこないという状況でしたので、市場の要求に応えられないケースがたくさんありました。国内だけではなく、海外に製品を供給している素材産業、部品産業も多いので、グローバルに影響が出ました。

     今回、日本にこんなに素材産業があったのだと改めて気づかされたような状況だと思います。日本が与える影響は非常に大きかったと感じています。

    ――部品一つなくても製品を組み立てることができないと私達国民も改めて認識しました。

    宮井:電機・電子業界もしかり、また自動車業界も同様な状況でしたので、国民のみなさまも気づかれたということでしょう。そのときに明らかになってきたのがサプライチェーンでの調達リスクです。

    ――サプライチェーンでの調達リスクを乗り越えるための検討はされていますか。

    宮井:もちろん個々の会社で検討に入っていると思いますし、パナソニックでも適切な対応をしなければいけないと動き始めています。サプライチェーンの上流側に行くと結局は同じ事業者に行きつくこともあり、調達の経路は複雑なうえに樽型のようになっています。そういった現状が徐々に「見える化」されていくなかで、もう少しリスクを分散するなり、調達構造をシンプルにするなり、そうした方向での取り組みが始まっています。

    ――業界のサプライチェーンは、おおよそ復旧したと言ってもよいのでしょうか。

    宮井:電機・電子業界はすそ野が広いので全部がそうだと一概には申し上げられませんが、パナソニックではほぼ元に戻ってきています。

    ――もともと、パナソニックは西の拠点が多いですね。

    宮井:工場もそれ以外の拠点も西日本に多いので、今回の東日本大震災の影響は他の会社に比べると少なかったかもしれません。ただ逆に電力の問題では、関西電力の供給エリア内に工場が多いため、これから切実なものがあるのではと危惧しています。

    宮井真千子(みやい・まちこ)氏。1983年に松下電器産業(現在のパナソニック)に入社。くらし研究所所長、クッキング機器ビジネスユニット長などを経て、2011年4月に役員・環境本部本部長に就任、同7月からは節電本部本部長を兼務。一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)では環境委員会委員長を務める

  • 2012/01/18

    日本の技術を生かすことが温暖化問題解決のカギになる
    関田貴司・日本鉄鋼連盟 環境・エネルギー政策委員会委員長[後編]

    東日本大震災後、日本政府はエネルギー政策の抜本的な見直しを進めている。表裏一体の地球温暖化問題への対応を含めて、その足元は、いまだ定かではない。日本鉄鋼連盟環境・エネルギー政策委員会委員長を務めるJFEスチールの関田貴司副社長に、日本のあるべきエネルギー論を聞いた。

    エネルギー政策は、感情に流されずに冷静な検討が必要

    ――現在、政府がエネルギー政策の見直しを進めています。これに対して、ご意見を伺えますか。

    関田貴司氏(以下敬称略):私どものお客様は広く産業界全般ですから、産業界が競争力を失えば我々も困る。もちろん、我々も競争力を失うわけにはいきません。エネルギー政策の見直しは、我が国の産業、経済の命運を左右するような重要テーマと考えています。時間軸に沿って整理して、感情に流されない議論、冷静な検討が絶対に必要です。

     今の日本は豊かで、電気は当然来るものだという思い込みがあります。その前提を疑わず、短絡的に「原子力発電が悪」、「再生可能エネルギーは善」とするのは、少々楽観過ぎるのではないかと思います。再生可能エネルギーは基幹電源にはなりえない。当面の基幹電力は火力であり、水力であり、原子力です。たとえば太陽光発電は、夜間は発電できません。冷静に議論を進めないと、我々の子孫が困ることになると思います。

    ――政府に対する要望はありますか。

    関田:今、いろいろな制度などを審議する場が出てきていますが、各省庁がばらばらに対応しているように見えることが少し気になります。エネルギー政策は総合的な観点が必要であり、我が国の命運を左右するような問題ですから、実現可能性を踏まえながら、政府全体として、しっかりした現実的なプランを検討していただきたい。もちろん安全性が最優先ですが、感情論や風評で考えられては困ります。私自身は技術屋ですので、技術に基づいた正確な判断をしてもらいたいと思っています。

    ――再生可能エネルギーについては、どう思いますか。

    関田:「環境と経済は両立し、新しいテクノロジーが日本経済を盛り立て、雇用も生み出す」という主張をいろいろな場で聞きます。しかし、たとえば太陽光発電については、日本で使っている太陽光パネルは、2008年まではほとんどすべてが「メイド・イン・ジャパン」でしたが、2009年以降は毎年シェアを下げ、今では中国での生産が主流となっています。少なくとも、太陽光発電の導入を進めれば雇用が生まれ、新産業が育つという見方は結果として偽りがあります。

    ――日本の「ものづくり産業」はいろいろな課題を抱えていますね。どうしたらいいでしょうか。

    関田:技術開発を国として支援するのは有効な手立てですが、もう一方で、ものづくりを巡る事業環境を改善することが重要です。日本は法人税が高いうえ、諸外国に比べると突出して高い二酸化炭素(CO2)の削減目標を掲げています。行き過ぎた円高とTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)構想への消極論も問題です。こうした条件が整わないと、ものづくり産業は海外に移転せざるをえません。空洞化が不可避だと言われる所以です。

     そこまで全体を俯瞰した施策でないと、環境と経済の両立した施策だとは言えないと思います。これは、いろいろな場で申し上げてきました。絵に描いた餅ならまだしも、絵に描いた餅にも全然なっていないということが現実には起こっています。

    関田貴司(せきた・たかし)氏。1975年に川崎製鉄(現在のJFEスチール)に入社。水島製鉄所管理部長、常務執行役員、専務執行役員などを経て、2011年4月に執行役員副社長スチール研究所長に就任、現在に至る。日本鉄鋼連盟では、環境・エネルギー政策委員会委員長として鉄鋼業界をリードする