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総選挙後の英国のエネルギー環境政策


国際環境経済研究所主席研究員、東京大学公共政策大学院 教授


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 英国の再生可能エネルギー促進策に伴う間接補助は、財務省が担当する課金管理システム(Levy Control System)の下で総枠が管理されている。オズボーン大臣とデイビー大臣の間で、2012年度の23.5億ポンドから2020年度には76.0億ポンドまで支援上限が引き上げられることが合意されている。

 エネルギー気候変動省は2020年度時点での支援額は62.5億ポンドと上限を10億ポンド以上下回ると見込んでいるが、不確定要素もある。一つは原油価格の低下により卸電力価格が低下しているため、間接補助コストが増大していること、もう一つは洋上風力が拡大しており、補助額が予想以上に拡大する可能性があることだ。英国のシンクタンクの中には76.0億ポンドでは予算が足りなくなる可能性があるとの分析をするものもある。76.0億ポンドという金額は、2020年までに電力部門に占める再生可能エネルギーのシェアを30%にするというEU再生可能エネルギー指令を実現するために必要ということで算出されたものだ。しかし、間接補助財源が足りなくなったからといって、オズボーン財務大臣が上限引き上げを認めるかどうかは疑問だ。総選挙で勝利した英国は引き続き、財政緊縮政策を続けることとしている。こうした中で国民の負担増につながる間接補助の拡大をそう簡単に認めるわけにはいかない。

 更に2020年以降の支援上限についてはまだ何も決まっていない。EUの2030年パッケージを決める際、英国は各国別の再生可能エネルギー導入目標に強く反対した。保守党のマニフェスト「電力セクターによるコスト高のターゲット設定には反対」もその考え方に基づくものだ。電力改革法に基づき差額契約制度(CfD)が導入され、原子力、再生可能エネルギーはこの制度に基づいて支援されることになるが、再生可能エネルギー目標が前置され、そのために必要な支援額を決めるというアプローチではなく、2030年までに90年比40%削減という英国の温室効果ガス削減目標に最も費用対効果の高いやり方を模索しながら進めるということになるだろう。

 こう考えると、オズボーン財務大臣に近いラッド大臣の就任は、今後の英国の再生可能エネルギー政策の遂行に当たって、オズボーン財務大臣の間接的影響力が更に強まる可能性を示唆している。

 原子力、シェールガスを推進することについては、連立政権当時と変わらない。むしろオズボーン大臣がシェールガスの熱心な推進者であったことを考えると、シェールガス推進に拍車がかかる可能性もある(もっとも原油価格の低下は英国のシェールガス開発にとっても逆風ではあるが)。

 温暖化交渉については、ラッド大臣が気候変動担当政務次官であったこともあり、パリで野心的合意を目指すというポジションに変更はないだろう。ラッド大臣自身、COP20(リマ)の前にチャタムハウスで交渉の進展と目標提出について気合の入ったスピーチをしていた。

 保守党単独政権下でのエネルギー環境政策の方向性は注意深く見極める必要があるが、全体としての方向性は変わらないものの、費用対効果により注意を払うことになる結果、再生可能エネルギーへの間接補助拡大には制約がかかるものと見込まれる。

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