核燃料サイクル政策のあり方についての提言(第9回)


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 前回(第8回)は2016年目標の電力システム改革を控えて、核燃料サイクル開発体制再編が迫られているが、カギは民間活力の活用にあり、あらためて官民役割分担のあり方を見極める必要性を指摘し、核燃料サイクル開発に失敗は許されないことを提言した。今回は2018年には日米原子力協定満期を迎えるとともに、六ヶ所再処理工場の本格運転を控え、米国はじめ海外諸国がわが国のプルトニウム利用のあり方についての懸念が顕在化していることを考慮し、その対応方策を検討する。

核燃料サイクル開発は国際環境との整合が欠かせない

 過去半世紀原子力平和利用を巡る国際環境は大きく変化してきた。従来的な国内閉鎖環境内での核燃料サイクル開発を進めることは事実上不可能である。わが国は非核保有国としては、日米原子力協定により唯一再処理・高速炉開発を認められている特権国家である。核不拡散、核セキュリテイ政策について、政府は責任ある行動をとることが要求される。当面以下の2点の政策課題についての対応が必要である。

1)
2018年の日米原子力協定期限を間近に控え、日本が保有する分離Pu処理の停滞について、米国側の懸念が顕在化している。国内ではMOX利用は技術的には実証済みであり、一部の発電所では1F事故以前に実装荷済みである。しかし地元によっては強固な反対の意思表示があり、既存軽水炉でのMOX利用には不透明性が残されている。解決策は軽水炉再稼働の進展に伴ったMOX燃料装荷の計画策定と実施を着実に進め、「余剰Puは持たない」原則維持の意志を国際社会に示す以外に適当な方法はない。地元折衝に困難性が予想される場合は、国が全面的な支援を行うべきである。
 
 
2)
わが国の核燃料サイクル開発の進め方については、中国、韓国の注目度が極めて高い。平和利用に徹する開発事情(Pu疑念を含め)、新興国へのプラント輸出にかかわる条件など適切な情報提供は欠かせない。今後は東アジアのエネルギー安全保障に関連して、原子力利用の政治的環境がより複雑化することが当然のこととして予想される。特に米国との基本的協調の改善強化が必要とされる。

{提言}
 1998年の日米原子力協定においてわが国は包括事前同意制度が認められたことは、日米間の安全保障面で強い信頼関係によっている。同協定は2018年に満期を迎えるが、わが国が核燃料サイクルを続ける限り包括事前同意制度の継続維持は不可欠の条件である。わが国の分離プルトニウムの保有量、六ヶ所再処理始動後の保有量増加には米国をはじめ、国際社会から懸念が示されている。解決策としては、国内軽水炉によるプルサーマル活用以外に適当な方策は考えられない。国は今後の軽水炉再稼働に合わせて、批判的な地元への対応を含め、国策としてのプルサーマル利用の積極的推進を主導すべきである。しかしプルサーマル推進だけでは稼働軽水炉の基数が減少傾向にある現在、中長期的には高速(増殖)炉によるプルトニウムの利用が不可欠であり、それが核燃料サイクルの本命である。一方アジアを念頭において、プルトニウムの国際管理について米国をはじめ関係国と話し合いを始めるべきである。

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