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藤井敏道氏・セメント協会 生産・環境幹事会幹事長/三菱マテリアル株式会社 常務取締役に聞く[前編]

コンクリートが人の命を守る


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授


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セメント工場は非常事態でも運転を止められない

――電気を止めてはいけない設備だと聞きますが。

藤井:はい。地震、津波の後に、電力供給の問題が発生しました。電力の供給自体は、セメントはエネルギー消費型ですから、1トンのセメントを作るのに約110kWhぐらいの電力を使います。大多数の工場には、自家発電設備を持っています。当社の横瀬工場など一部の工場では計画停電があり、操業自体を止めなくてはなりませんでした。一回止めても、またすぐスタートし、また止めてということを何回も繰り返しました。セメント工場は、鉄鋼の高炉と同じで一回火を入れたら約半年から1年連続的に運転します。

たとえ非常事態であっても、廃棄物を処理するお客様のためには止められません。廃棄物処理については、家庭に密着した下水汚泥、ごみの焼却灰、石炭灰等いろいろなものがありますが、生活に密接に関わっているので処理しないと皆さん困るでしょう。我々も社会的責任がありますので、毎日止めては運転することを繰り返して対応しました。

――昨夏の節電要請は大変でしたか。

藤井:セメント業界は多くの工場が自家発電の設備を持っていますので、今回の電力制限についてはなんとかクリアできました。私ども、三菱マテリアルの岩手工場では、自家発電設備を運転して余剰電力を東北電力に供給しました。また東北電力から要請を受けて、新たに発電設備をリースで設置し、発電した電力を東北電力に供給するなどの対応もしました。

――その他に、東日本大震災後で貢献されたことはありますか。

藤井:最初はライフラインの確保が問題でしたが、私どもの岩手工場には、飲料できる飲み水として使える井戸があります。井戸から汲み上げるためには電気がいりますが、非常電源を確保して、井戸水を地元の人達に供給しました。他には、各地の生活物資が足りなくなったので、九州から物資を調達して各地に送り、地元の人に供給するなどの対応をしました。

――西の拠点からも支援をされたのですね。

藤井:はい、関東で調達しようとすると足りなくなります。関西地区だけではなく、九州にセメント工場がありますので、そこからも物資を調達して船で関東まで運んで、そこから被災地へ車で運びました。東北は太平洋側の港が使えなくなりましたから、日本海側のターミナルに運び必要な場所まで供給しました。