藤井敏道氏・セメント協会 生産・環境幹事会幹事長/三菱マテリアル株式会社 常務取締役に聞く[後編]
縁の下の力持ち、セメントの循環型社会への貢献
松本 真由美
国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授
日本が生き残るのは、やはり技術力。成長のバイタリティを他国から吸い上げる
――これから日本が技術立国としてどうあるべきでしょうか。
藤井:日本は一時期、内弁慶的な閉ざされた社会的なところがあったと思います。やはり世界の中でやっていこうと思ったら世界を知る、グローバルな人間になっていく、チャレンジ精神を持っていることが一番必要です。自分達の実力を理解し、ナンバー1を目指す。これがないと成長戦略はありません。日本は危ないんじゃないかと恐れるのはなく、よそも知ってその中で生き残るのは、やはり技術力しかない。その技術を高めるためにもっと努力していくべきではないかと思います。
――技術開発に加えて、外にどんどん出て行ける人間がやはり日本を強くしていくということでしょうか。
藤井:その通りです。日本人は、これまで成長していく世の中をきちっと見て、肌で感じてきた。昔の日本人がなぜ強かったかというと、いろいろな成長期において様々に努力しながら、すぐにそれが反映されていったからだと思います。今、日本は安定期に入っていますから、成長のためのバイタリティをどこから吸い上げるかというと、国内ではなかなか吸い上げにくいでしょう。世界に出ていき、成長している国で実感してくることが必要です。たとえば中国に行って元気をもらって、日本でまた頑張るというように。これからは、どんどん外に出てモチベーションを高めることが大事です。
【インタビュー後記】
これまでセメントというと、コンクリートが瞬時に連想され、女性の私にはあまり接点がないものように感じていました。しかし、セメントの原料の約半分が廃棄物や副産物を利用したもので、原料も国産の資源を利用したものであることを再認識しました。藤井さんのお話から、持続可能な循環型社会をつくる上でも、縁の下の力持ちとして私たちの暮らしを裏から支えてくれていることを知り、セメントについてもっと知りたいと思いました。機会あればセメント工場もぜひ見学したいです。