MENUMENU

エネルギーはライフライン。まさに「生命線」であり、その途絶は社会生活を大混乱に陥れます。その社会的性質から、そして電気については貯められないという物理的性質から、燃料調達においても技術の取り入れにおいても、夢を見ることが許される度合いが極めて低いのがエネルギーです。
これ以上ないほど現実的な商品でありながら、エネルギーには神話が生まれやすいことも事実です。原子力の安全神話ばかりではありません。新たな資源が発見されたから大丈夫、新技術が開発されたから大丈夫、再エネが普及すれば大丈夫、どこかの国ではうまくやっているから真似すれば大丈夫。
しかし、その神話を信じるものは本当に救われるのでしょうか。

このコラムでは、出来る限りエネルギー・環境問題の現場の実態や海外のデータ等を踏まえながら、神話やイメージを払拭し、現実的な議論の素材を提供したいと思っています。

  • 2014/10/16

    政策の混迷と課題、震災前に指摘
    書評:山地憲治編・原子力未来研究会著「どうする日本の原子力」

    電気新聞からの転載:2014年9月26日付)

     この本の初版は1998年11月。まだ東日本大震災が日本を襲い、福島原子力発電所事故が起こることなど誰一人として想起していない時期である。しかしページをめくっているうちに、現在の原子力政策を巡る混迷を踏まえて書かれたのではないかとの錯覚にとらわれるほど、我々が直面する課題を的確に指摘し、その解決案を提示してくれている。 続きを読む

  • 2014/10/09

    東京電力法的整理論の無邪気さと無責任さと

    (「WEDGE Infinity」からの転載)

     東京電力福島第一原子力発電所事故は未曾有の被害をもたらした。3年以上が経過した2014年5月時点でもなお、福島県全体の避難者が13.1万人、避難指示区域等からの避難者が10.0万人いるとされている注1)続きを読む

  • 2014/10/02

    再エネ全量固定価格買取制度の 回避可能費用をめぐる迷走

    (「WEDGE Infinity」からの転載)

     2011年、当時の菅首相が「自然エネルギーを国として全力を挙げて支援していく上で、大きな役割を期待したい」注1)と強く主張、第177国会において、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」は成立した。 続きを読む

  • 2014/09/25

    震災直後の東電による取引所取引の停止は「暴挙」か?

    (「WEDGE Infinity」からの転載)

     河野太郎議員は、東日本大震災後に東京電力の要請で関東地域における卸電力取引所の取引が停止したことによく言及される。以下のブログ記事がその一例である。 続きを読む

  • 2014/09/18

    河野太郎議員の電力批判、「スマートではないメーター」への疑問
    過大な機能を搭載すればかえってメタボなメーターに

    (「WEDGE Infinity」からの転載)

     東京電力福島第一原子力発電所事故とその後の計画停電の経験等により、電力システム改革議論が政治的に一気に加速した。 続きを読む

  • 2014/09/09

    電力供給を支える現場力⑤
    -技術の継承の現場から-

     技術の継承が重要である、と言えば異論を唱える方はいないだろう。しかし技術の継承がどれだけ難しいことか、一見非効率にも思えるほどの時間と手間暇をかけなければならないことかを、本当に理解されている方はごく僅かではないだろうか。 続きを読む

  • 2014/08/27

    現場の人々が起こす“奇跡”に感謝を
    書評:佐々涼子著「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている」

    電気新聞からの転載:2014年8月1日付)

     東日本大震災では、東北地方の多くの工場が被災し物流に支障をきたした。この地に日本のモノづくりの拠点があり、私たちの生活が支えられていたことを初めて知ったという方も多くいただろう。 続きを読む

  • 2014/08/19

    エネルギー問題考えるヒント 生活の中に
    書評:神津カンナ著「冷蔵庫が壊れた日」

    電気新聞からの転載:2014年6月6日付)

     エネルギー問題はとっつきづらいと言われる。電気の物理的・技術的特性のみならず、外交や国際情勢、環境問題、経済学など幅広い視点が必要であり、どこからどうアプローチすれば「正解」に辿り着けるのか皆目見当がつかない。 続きを読む

  • 2014/07/03

    ドイツの電力事情⑫ ”脱原発”の経緯とコスト(後編)

    メルケル首相の原子力モラトリアムと事業者からの訴訟

     技術立国とされる日本で原子力発電所事故が起きたことに、メルケル首相は大きな衝撃を受ける。そして前編の冒頭で述べた通り3月15日には国内8基の原子力発電所の3ヶ月間一時停止を指示したのである。 続きを読む

  • 2014/06/26

    ドイツの電力事情⑫ ”脱原発”の経緯とコスト(前編)

     東日本大震災をきっかけとした東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、福島原子力発電所事故)は、海を超え欧州・ドイツのエネルギー政策に大きな影響を与えた。事故発生直後の2011年3月15日、ドイツのメルケル首相は、ドイツ国内にある、1980年以前に稼働を開始した7基と火災事故により2007年から停止していた1基の計8基の原子力発電所を3ヶ月間一時停止させることを発表したのである。 続きを読む

  • 2014/06/16

    環境物品の自由化交渉、日本は欧州産業界などと連携を
    福島事故は新たなビジネスチャンスもたらす可能性も

    (「月刊ビジネスアイ エネコ」2013年6月号からの転載)

     スイス・ジュネーブに拠点を置く国際シンクタンク、ICTSD(International Centre for Trade and Sustainable Development、貿易と持続可能な開発のための国際センター)のトップ、リカルド・メレンデス・オルティーズ所長が来日した。今回の style=”float:right;”来日は、国際環境経済研究所の菊川人吾主席研究員(ジュネーブ駐在)のアレンジで実現。オルティーズ所長は同研究所との意見交換会の後、本誌インタビューに応じてくれた。同セ style=”float:right;”ンターは、各国の通商政策決定者に働きかけ、持続可能な開発を推進することを目的に、中国などにも拠点を有するなどグローバルに活動している。来日の目的や、日本のエネルギー・環境問題に関する見解をうかがった。

    (インタビュアー・国際環境経済研究所理事 竹内純子)

    リカルド・メレンデス・オルティーズ
    リカルド・メレンデス・オルティーズ
    ICTSD(貿易と持続可能な開発のための国際センター)所長

    ―― ICTSDについて教えてください

     「ICTSDはスイス・ジュネーブを拠点にする国際シンクタンクで、貿易や持続性のある開発の分野で指導助言を行っています。私はかつて、コロンビア政府の通商交渉官を務めていたことがあり、気候変動などの環境や開発といった分野の国際交渉にも携わっていました。こうした経歴から、国際貿易、環境、持続可能な開発に関するシンクタンクであるICTSDを1996年に立ち上げました」

    ―― 訪日の目的は?

     「ICTSDの代表者として、主に貿易問題やクリーンエネルギーの技術について意見交換をするため日本に来ました。訪日の背景として、ダボス会議の機会に、日米やEU(欧州連合)、中国など14カ国が環境物品の自由化交渉を立ち上げていくことをアナウンスしたことが大きな要素となっています。今回、在ジュネーブ日本政府代表部や日本政府の力添えを得て、経済産業省、外務省、経団連など関係する産業界と会合を開催し、密接な意見交換をすることができました。環境と経済の両立を研究テーマとしている国際環境経済研究所との意見交換会も大変楽しみにしてやって来ました」

    ―― 日本のエネルギー・環境政策の現状をどうみていますか

     「福島での不幸な事故によって日本はいま、エネルギー問題でとても難しい状況に置かれています。しかし、これが日本のビジネスに新たなチャンスをもたらす可能性があります。日本は(原発の稼働停止に伴って)他の電源を活用しなくてはならず、エネルギーコストの上昇という経済の問題とともに、二酸化炭素(CO2)排出量削減という環境問題にも対応しなくてはいけません。とても難しい立場に置かれていますが、(それをどう克服し、新たなチャンスにつなげていくかという点で)非常に興味深い時期を迎えていると思います」

  • 2014/04/11

    今後電気料金が上がる3つの理由

    (会議所ニュース2014年3月1日号からの転載)

     全国的な豪雪に見舞われホワイトバレンタインデーとなった直後の2月17日、北海道電力は電気料金再値上げの検討を始めることを発表した。値上げ幅や時期は未定だが、早ければ今年度中の申請を行うという。昨年9月の値上げからまだ半年も経っていない中ではあるが、やはりというため息をつかざるを得ない。 続きを読む

  • 2014/03/31

    原子力損害賠償制度の課題と考察

    「エネルギーレビュー」2014年4月号からの転載)

    1.原子力損害賠償制度を巡る現状

     わが国の原子力事業はバックエンドも含めて主に民間事業者が担ってきた。しかし、原子力事業は立地の困難さもさることながら、核物質管理やエネルギー安全保障など、国家レベルでの政策全体の中で考えなければならない複雑さを有しているため、事業の推進には政府の指導・支援、規制が必要と考えられてきた。 続きを読む

  • 2014/03/24

    岐路に立つドイツの再エネ政策
    FIT先進国の「憂うつ」

    (「月刊エネルギーフォーラム」2014年2月号(No.710)からの転載)

    ドイツが固定価格買い取り制度(FIT)による再生エネルギー拡大に取り組んで10年以上が経過した。順調に再エネ導入が進む一方で、負の側面も顕在化しつつある。注目を浴びるドイツの再エネ政策について分析する。 続きを読む

  • 2014/03/11

    COP19を振り返る ―新枠組みへの展望―
    温室効果ガスを削減するのは技術!日本への期待

    (「月刊ビジネスアイ エネコ」2014年1月号からの転載)

    COPは気候変動を解決するための会議か

     COP19(第19回気候変動枠組み条約締約国会議)は会期を1日延長し、11月23日夜9時ごろにようやく全日程が終了した。例年より早く、ポーランドの建国記念日である11月11日にスタートしたCOP19では何が成果として残り、今後何をしなくてはいけないのか考察する。 続きを読む

  • 2014/03/05

    気候変動問題で中国の取り組みに注目
    温室効果ガス80%削減の英気候変動法は改正も

    (「月刊ビジネスアイ エネコ」2014年1月号からの転載)

     英国で長年、エネルギー・環境政策の立案に関わり、日本のエネルギー事情にも詳しい元英国議会科学技術局事務局長、デビッド・R・コープ氏(67)が2013年秋に来日し、本誌のインタビューに応じてくれた。12月号では日英のエネルギー政策に関するコープ氏の見解を紹介。本号では気候変動問題に関する見解を聞いた。 続きを読む

  • 2014/02/25

    電気料金高騰に悩む英国が下した決断
    福島事故を検討したうえで25年ぶり原発新設

    (「月刊ビジネスアイ エネコ」2013年12月号からの転載)

     英国で長年、エネルギー・環境政策の立案に関わり、日本のエネルギー事情にも詳しい元英国議会科学技術局事務局長でケンブリッジ大学クレアホール終身メンバー、デビッド・R・コープ氏(67)がこの秋来日し、忙しいスケジュールの合間を縫って小誌のインタビューに応じてくれた。迷走する日本のエネルギー政策に対する見解や、原子力発電所の新設を決断した英国のエネルギー政策の最新動向をうかがうとともに、気候変動問題とどう向き合えばいいのかを聞いた。 続きを読む

  • 2014/02/04

    単純すぎる再エネ賦課金“ボッタクリ”論
    河野太郎議員が火をつけた「回避可能原価」議論を整理する

    (「WEDGE Infinity」からの転載)

     先日河野太郎衆議院議員が「経産省によるボッタクリ」と題したコラムをブログに掲載した。「また単純な……」と溜息をついていたら、この主張に沿った報道もいくつか続いているので、問題点を整理したい。 続きを読む

  • 2013/11/25

    COP19 参戦記④
    -COPは温暖化を解決するための会議か?-

    COPは温暖化を解決するための会議か

     COP19は予定を大幅に超えて会期最終日の翌日、土曜日21時頃全ての日程を終了した。例年より若干早く、ポーランドの建国記念日である11月11日にスタートした約2週間の会議で何が成果として残ったのか。 続きを読む

  • 2013/11/22

    COP19 参戦記③
    -日本の新目標はなぜ「今」だったのか-

     現地時間11月20日午前11時過ぎ、石原環境大臣が国連気候変動枠組み条約交渉のプレナリー(本会議)において、演説を行った。2020年までのわが国の目標を、民主党政権が掲げていた1990年比25%削減に代わり、2005年比3.8%削減とすることを正式に発表し、あわせて、温暖化に向けた革新的技術開発に向け今後5年間で官民あわせて1100億ドル(約11兆円)の国内投資を目指すこと、途上国の温暖化対策支援に160億ドル(約1兆6000億円)を拠出すること等もあわせて表明した。 続きを読む

竹内 純子(たけうち すみこ)
NPO法人国際環境経済研究所理事・主席研究員
21世紀政策研究所研究副主幹
筑波大学客員教授
産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会委員
アクセンチュア株式会社 シニア・アドバイザー(環境エネルギー問題)
産業構造審議会産業技術環境分科会産業環境対策小委員会委員
産業構造審議会環境部会地球環境小委員会 化学・非鉄金属WG 委員
経済産業省 水素・燃料電池戦略協議会 委員
国立研究開発法人審議会 臨時委員
一般財団法人エネルギー総合工学研究所企画委員会 委員
公益財団法人海洋生物研究所理事(非常勤)

慶応義塾大学法学部法律学科卒業。1994年東京電力入社。
水芭蕉で有名な尾瀬の自然保護に10年以上携わり、農林水産省生物多様性戦略検討会委員等を経験。その後、地球温暖化の国際交渉や環境・エネルギー政策への提言活動等に関与し、国連の気候変動枠組条約交渉にも参加。2012年より現職。
著書に、
「みんなの自然をみんなで守る20のヒント」(山と渓谷社)、
「誤解だらけの電力問題」(WEDGE出版)
 *第35回エネルギーフォーラム賞普及啓発賞受賞
「電力システム改革の検証」(共著・白桃書房)
「まるわかり電力システム改革キーワード360」(共著・日本電気協会新聞部))
「原発は”安全”かーたった一人の福島事故報告書ー」(小学館)など。