MENUMENU

オピニオン一覧

  • 2013/04/09

    メタンハイドレートの試掘に成功
    メガソーラーのためにFIT 制度を適用する必要性は完全に無くなった

     3月12 日、愛知県の渥美半島沖の海底で、「燃える氷」と呼ばれる「メタンハイドレート」からメタンガスを取り出すことに世界で初めて成功したことが報じられた。翌13 日の朝日新聞の朝刊にも、待望の「国産燃料」に大きな期待が膨らんだとして、この国産エネルギー資源の開発技術の概要が紹介されていた。 続きを読む

  • 2013/02/25

    再生可能エネルギーは貿易戦争の新たな具へ
    ルール構築競争の本格化

     昨年末に拙稿「再生可能エネルギーは貿易戦争の新たな具か」を掲載いただいた。その後のフォローアップと関連した若干の論考を述べておきたい。

    1.国家プロジェクトに伴う軋轢
     
     2月7日、ウォールストリートジャーナル(WSJ)がインドの米国へ対する反論内容をニューデリー発で紹介していた注1)続きを読む

  • 2013/02/18

    リスク・コミュニケーションと不安の増幅メカニズムについて

    1.はじめに

     最近のニュースの中にリスク・コミュニケーション(リスク情報伝達)の視点から注目した事例がある。それは「イタリアにおいて複数の地震学者が、地震に対する警告の失敗により有罪判決を受けた」との報道(2012年10月)である。 続きを読む

  • 2013/01/29

    エネルギー問題とイソップ寓話

     筆者がエネルギー問題を考える時に思い出すのは、イソップ寓話「アリとキリギリス」である。やがて必ず冬がやってくるという、彼らにとって避けることのできない制約条件に、まだその気配もなかった夏の間に対応できたかどうか、それが彼等の明暗を分けた。
     エネルギーについてはどうだろうか。 続きを読む

  • 2013/01/11

    電力自由化論の致命的な欠陥

    原子力事業抜きの議論はありえない

     総選挙一色となった感がある日本。政治の行方はまさに混沌としているが、その陰で国家のエネルギー戦略の進路を決める重大な政策が進められようとしている。
     2012年9月14日、政府は「2030年代に原子力発電所稼働ゼロ」を柱とする革新的エネルギー・環境戦略を定めた。 続きを読む

  • 2013/01/09

    ゼロリスク志向と深層防護

     前回の拙稿「本当に人々は「ゼロリスク」を求めていたのか」では、「人々がゼロリスクを求めているとして、リスクがあることを知らせることを避ける風潮」があったという旧原子力安全委員長の発言に関連して、震災前(平成20年)の意識調査結果を紹介した。 続きを読む

  • 2012/12/13

    2030年に向けたエネルギー政策への期待

     2030年に向けたエネルギー政策が議論されています。原子力エネルギーへの依存のあり方が焦点となっていますが、考えなければならないことはこの問題だけでしょうか?

    エネルギー政策の選択肢

     エネルギー政策の議論の背景には、「エネルギー・環境に関する選択肢注1)」で示された2030年の電源構成に関する3つのシナリオがあります。 続きを読む

  • 2012/11/30

    温暖化交渉:COP18を越えて、日本が取るべき交渉スタンスを考える

     今年のCOP18は、国内外ではあまり注目されていない。その理由は、第一に、日本国内はまだ震災復興が道半ばで、福島原発事故も収束したわけではなく、エネルギー政策は迷走している状態であること。第二に、世界的には、大国での首脳レベルの交代が予想されており、温暖化交渉での大きな進展は望めないこと。最後に、京都議定書第二約束期間にこだわった途上国に対して、EUを除く各国政府の関心が、ポスト京都議定書の枠組みを巡る息の長い交渉をどう進めるかに向いてきたことがある。 続きを読む

  • 2012/11/28

    再生可能エネルギーは貿易戦争の新たな具か

     さる11月5日、中国がEUとそのメンバー国を相手取りWTO(世界貿易機関)ルール上の紛争処理(いわゆる裁判)手続を開始したとWTOが発表し、翌日以降ワシントンポスト等が報道を行った(注1)。その発表内容等によれば、EUメンバー国内の固定価格買取制度に関する再生可能エネルギー発電セクター政策に対して中国が国際貿易ルール違反として訴えるらしい。もちろんこれには伏線があるようだ。 続きを読む

  • 2012/11/14

    核燃料サイクル対策へのアプローチ

    原子力問題の本丸—バックエンド問題

     原子力問題のアキレス腱は、バックエンド(使用済核燃料への対応)にあると言われて久しい。実際、高レベル放射性廃棄物の最終処分地は決まっておらず、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」はトラブル続きであり、六ヶ所再処理工場もガラス固化体製造工程の不具合等によって竣工が延期に延期を重ねてきている。 続きを読む

  • 2012/11/06

    持続可能という言葉を知らない枝野経産大臣

     「持続可能な発展(Sustainable Development)」という言葉が広く知られるようになったのは、温暖化問題を通してだろう。持続可能とは、簡単に言うと、将来世代が、我々が享受している生活水準と少なくとも同レベル以上を享受できることと解釈される。数字で表すと、一人当たり国内総生産(GDP)が同レベル以上になるということだ。 続きを読む

  • 2012/10/31

    国民の省エネ意欲を削ぐだけの環境税
    「エコ神話」の産物としての環境税の論理矛盾を突く

     今年(2012年)の10月1日、環境税が施行された。この環境税は、民主党政権発足後の鳩山25%のCO2削減の国際公約を実行するために、その法案化が図られてきた地球温暖化対策基本法(以下温対法)の3本柱の一つであった。しかし、この温対法の法案化は、その後の首相の相次ぐ交代で、日の目を見ることなく終わろうとしている。 続きを読む

  • 2012/10/10

    太陽光発電は「再生不可能」である(改訂版)
    科学の原理を無視して進められる「革新的エネルギー・環境戦略」の根本的な見直しを求める

    改訂原稿への差し替えをお願いした理由について

     私の論文;“太陽光発電は「再生不可能」である”について、ツイッター上で、“再生可能の条件が産総研のHPの記述と矛盾している”とのご指摘を受けました。
     確かに、いま、太陽光発電を含めた自然エネルギーからつくられる再生可能エネルギーが持続可能な社会のエネルギー源となると当然のように言われています。しかし、再生可能エネルギーが、再生可能であるためには、その使用期間に一定の制約(寿命)のある再生可能エネルギー生産設備の再生(更新)のために使用されるエネルギーが100 % 再生可能エネルギーで賄われなければなりません。ところが、実際には、このエネルギー生産設備更新のためには、設備の製造・使用に係わる労働力や設備材料としての地球資源の供給など、再生可能エネルギーでは賄うことのできないエネルギーや物質(資源)が必要になります。したがって、このような設備で生産されなければならない再生可能エネルギーは、科学的に見て、「再生可能」とは言えません。結局は、現状で現代文明社会のエネルギー源の主体を担っている化石燃料の代替として、その消費を抑え、それをできるだけ長持ちさせる働きを持つと考えるべきであります。このように考えますと、再生可能エネルギーの利用に当たっては、その生産量から、この生産設備の更新に伴うエネルギー消費量を差し引いた「自然エネルギーの有効利用の比率」ができるだけ大きいもの、すなわち、エネルギー変換効率の良いものが選択・使用される必要があります。私の科学的な解析結果によると、残念ながら、太陽光発電は、この「自然エネルギー有効利用比率」の値が、風力、中小水力、地熱などの再生可能エネルギーの生産方式に比べて、余りにも小さく、非常に効率の悪いエネルギー生産方策と言わざるを得ません。
     以上が、いま、原発事故を契機として問題になっている原発代替のエネルギーとして、今年の7月から施行されるようになった「再生可能エネルギーの全量固定価格買取(FIT)制度」のもとで国民に大きな経済的な負担をかけることで、その導入が図られている再生可能エネルギー、その中の主体を占めている太陽光発電の実態です。いずれは枯渇する化石燃料をできるだけ長持ちさせるために「自然エネルギーの変換による再生可能エネルギー」を使用しなければならないとしても、それは太陽光発電ではないはずです。にも拘わらず、最近、FIT制度の施行により、企業等によるメガソーラーの大幅な導入計画が進められていると報道されています。それは、太陽光発電に対して国により設定された高い固定買取価格42円/kWhであれば、この発電が営利事業として成立するからです。この営業利益は、国民の生活と産業の維持のために欠かすことのできない市販電力の世界一高い料金を、さらに押し上げることによって賄われます。結果として、国民生活と産業に大きな困難をもたらし、また、現状でも低迷している日本経済をさらなる苦境に陥れることになります。このような主旨で書かれた元原稿ですが、今回、ツイッターの方から上記のようなご指摘を受けて、読み返してみますと、私の再生可能エネルギーが科学的にみて「再生不可能」であるとする主張が必ずしも判り易い形で記述されているとは言えないこと、また自然エネルギー種類別の再生可能エネルギー利用効率の定量的な比較の記述に不備があることなどを見出しました。したがいまして、先日アップされた元原稿の主旨を皆さんに正しく理解していただくために、元原稿の再生可能エネルギーとしての太陽光発電が「再生不可能」であることの説明の部分にやや大幅な改訂を加えた新たな原稿を作成し、これを元原稿と差し替えていただくことを国際環境経済研究所編集担当にお願いした次第です。
     この改訂原稿について、改めて、ご検討、ご批判いただければ幸いです。

    東京工業大学名誉教授  久保田 宏 

    なお、改訂原稿は、全文PDF で提示させていただきます。

    改訂原稿全文(PDF)

  • 2012/10/03

    本当に人々は「ゼロリスク」を求めていたのか

     9月18日、原子力安全委員会の最後の会合が開かれた。会合にて班目委員長が「原発を運転するのは必ずリスクが伴うと専門家は誰でも知っているが、一般の人はゼロリスクを求めるため、リスクについて議論できなかった」と反省の弁を述べたと報じられていた。 続きを読む

  • 2012/09/20

    原子力行政が取り組むべき優先課題
    ―放射性物質に対する国民の安心のために―

     7月から六回にわたり当サイトに放射性物質について解説したが、放射線に関する知識を持つ技術者のひとりとして、原子力行政が早急に取り組まなければならない課題をいくつか指摘しておきたい。 続きを読む

  • 2012/09/04

    放射性廃棄物・原子力・放射線の対話型情報提供の取組み
    「放射性廃棄物リスクコミュニケーション広場」

     原子力発電を考える上で、忘れてはいけない問題のひとつとして、高レベル放射性廃棄物の存在があげられる。
     わが国において高レベル放射性廃棄物とは、使用済燃料からウラン・プルトニウムを分離・回収(使用済燃料の「再処理」という)した後に残る放射性の廃液をガラスと混ぜて固化処理したものをいう。 続きを読む

  • 2012/08/28

    余りにも理不尽な再生可能エネルギーの固定価格買取(FIT)制度
    この制度の廃止を強く訴える

    地球温暖化対策として政治の要請により進められるようになった FIT 制度

     この(2012年)7月から実施されるようになった再生可能エネルギーの固定価格買取(FIT)制度(以下、FIT制度と略記)を、最近、小野は、厳しく批判している 続きを読む

  • 2012/08/23

    討論型世論調査ではなく誘導型世論調査ではないのか

     「エネルギー・環境の選択肢」に関する討論型世論調査の結果が8月22日に発表された。朝日新聞夕刊では『「原発0%」討論後に増』と報道されている。この結果を見て「そうか」と納得した人も多いかも知れないが、私は「え?なぜ」と思ってしまった。 続きを読む

  • 2012/08/18

    新しいエネルギー政策における安全保障と自給率の限界
    原子力と自然エネルギーはともにエネルギー自給の目的には貢献しない

     東京電力福島第一原子力発電所(以下、福島原発と略記)の事故の起こる前(2010年)に制定された旧エネルギー基本計画(文献1参照)のなかで、原子力は国産エネルギーとして位置づけられ、エネルギー資源の全量に近い量を輸入に頼らなければならない日本において、エネルギーの安全保障のために、重要な役割を果たすとされてきた。 続きを読む

  • 2012/07/30

    「経済か命か」は誤った二分法
    — 経済と命の相関に着目をすべし —

     政府のエネルギー・環境会議が2030年を見据えたエネルギー政策を検討すべく国民的議論を求めている。国民の意見が直接的に政策に反映されないことを不満とする意見もあるが、最終的にエネルギー政策がどのようになるにせよ、議論を通じてその選択によって得られるものと失うものが意識されることにこそ意味がある。むしろ国民各層が主体的に考える経験を共有するための貴重な機会として前向きに捉えたい。 続きを読む