再エネ拡大で注目される火力発電の柔軟性
Advanced Power Plant Flexibility Campaignについて(2)

変動性再エネと柔軟性の関係


J-POWER 経営企画部/火力発電部 審議役


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※ 再エネ拡大で注目される火力発電の柔軟性
Advanced Power Plant Flexibility Campaignについて(1)

 APPFのコーディネーターであるIEAの再エネ部門は、再エネの電力系統統合に関する国際的な研究を長年リードしており、その経験や知識を共有し、先進的な火力発電の柔軟性を世界規模で推進していくとしている。以下、これまでのAPPF会合およびIEAのレポートから、変動性再エネと柔軟性の関係の説明に関する部分を要約する。
 風力・太陽光といった変動性再エネには、変動性、不確実性(正確に予測できない)、小規模で分散型、DC/AC変換機を介して系統連系している、などの特徴がある。これを補うのが電力系統に存在する連系線、柔軟な発電、貯蔵、需要サイド、という4つの柔軟性資源である。(図2)もちろん、変動性再エネ自体の柔軟化も制御性向上によって可能である。火力発電はこれまでも電力系統に柔軟性を提供してきたが、そのポテンシャルについては過小評価されている、または理解が不足している。技術的な知識の不足、市場の不適切な設計、硬直的な契約などが、火力発電の柔軟性ポテンシャルを引き出す障害となっている場合もある。


図2 変動性再エネの特徴と柔軟性資源
出典: IEA “Advanced Power Plant Flexibility Campaign”, APPFパリ会合

 変動性再エネの導入割合により、電力系統に与える影響や必要な対応が異なる。2016年時点の各国の変動性再エネ導入率と該当するフェーズを図3に示す。インドネシア、インドはフェーズ1、中国、日本、オーストラリアなどはフェーズ2、英国、イタリア、ドイツなど多くのEU加盟国はフェーズ3、更にアイルランド、デンマークはフェーズ4に達している。地域的には、同じ米国でもPJMはフェーズ1、ERCOT、CAISOはフェーズ3である。


図3 代表的な国、地域の変動性再エネの発電割合と導入フェーズ(2016年実績)
出典: IEA, “System Integration of Renewables, an update on Best Practice (2018)”注7)

 IEAの変動性再エネ導入フェーズの分類と定義について表1に示す。


表1 変動性再エネ割合と変動性再エネ導入フェーズ区分
出典:IEA, “System Integration of Renewables, an update on Best Practice (2018)”

 日本の現状であるフェーズ2(変動性再エネ割合5~10%)では、今後増加する柔軟性の必要性に考慮して、柔軟性を新設電源の要件とするなど系統利用ルールを見直すことが重要になる。また、増加する系統混雑を管理することと、変動性再エネの予測を反映させて制御可能な発電所の給電計画を策定することが必要になる。
 日本でも太陽光発電設備の導入が進む九州は、フェーズ3(変動性再エネ割合10-~25%程度)に分類されている。このフェーズでは、変動性再エネの変動が需給バランスに顕著な影響を与え、火力発電の運用に大きな変化をもたらし、変動性再エネの予測がより一層重要になる。残余需要(元の需要から変動性再エネの発電を指しい引いたもの)の形が大きく変化するばかりでなく、柔軟性の需要も大きくなるため、火力発電は柔軟性のレベルに応じて価値を再評価されるようになる。フェーズ3以上では、系統の変革が必要になり、そのための政策と市場の枠組みが必要である。市場の変革は、3つの側面(組織面、経済面、技術面)からの総合的なアプローチが必要である。

 例えばドイツでは、風力や太陽光発電の変動性の調整を、時間領域によって政策、市場、系統運用者が役割分担して行っている。時間~日レベルの変動に対しては政策(容量メカニズムなど)と系統運用者が、分~時間レベルの変動に対しては市場(国際市場との連携、商品の短時間化など)と系統運用者が、そして秒~分レベルの変動に対しては系統運用者が単独で(国際系統制御協力、調整力市場への新規参入者拡大など)、調整力を確保している。

注7)
https://www.iea.org/publications/insights/insightpublications/SystemIntegrationofRenewables.pdf

次回:再エネ拡大で注目される火力発電の柔軟性 Advanced Power Plant Flexibility Campaignについて(3)