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第7回 さらなる技術開発で天然ガスシフトをリードする〈後編〉

一般社団法人日本ガス協会 環境部長 前田 泰史氏


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授


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――2030年以降、2050年に向けての構想は?

前田:先ずはハードルの高い2030年目標に対し、天然ガスの普及拡大を通じたCO2削減などにより、着実に目標を達成することが重要です。その先の2050年に向けての温暖化対策は今ある技術だけでは難しいため、多様なイノベーションを総動員する必要があります。また、社会情勢の変化も合わせて考えると、2050年へ向けての道筋は、多様な可能性があるため、現時点で単一の道筋に決め打ちすることは、多様なイノベーションの創出を阻害することになり、非常にリスクが高いと考えます。当面は、多くの分野でイノベーションを起こすことが大事なのではないでしょうか。

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 そのために必要な技術開発や様々な関係者との連携も必要です。例えば、田町プロジェクトのように熱と電気を融通するようなシステムに加え、最近大阪では、燃料電池を使って発電した余剰電力をガス会社が集めて小売りに使う「バーチャル・パワー・プラント」のような取り組みもスタートしています。政府の長期エネルギー需給見通しの中でも、コージェネレーションの逆潮流を使った利用拡大が一つの考え方として出されましたが、燃料電池として国内では初めての試みです。

 様々な関係者と連携した、新しいエネルギーシステムの検討や革新的な技術開発を通じて、天然ガスの多様なイノベーションの創出を進めていきたいと考えています。

政府への要望と海外貢献

――政府への要望はありますか?

前田:例えば、燃料電池について、技術開発はNEDOの支援、普及は国の補助金を頂くなど、政府には多くの支援を頂いています。様々な革新的なガス機器によるイノベーションを起こすと共に、天然ガスシフトを進め、大幅なCO2削減を実現するためには、やはり政府の支援は重要と考えます。ガス業界としても、技術開発や天然ガスシステムの普及を通じたCO2削減を進める努力を続けていきますが、今後も政府の支援をお願いしたいと思います。

――最後に、海外での温暖化対策の貢献については?

前田:日本が培ってきたガス事業のノウハウを活かした国際展開していくことも重要です。上流から下流までガス産業のバリューチェーン全般にわたり、海外においても天然ガスシフトを進め、省エネとCO2削減に貢献する取り組みを進めています。

 タイではコージェネレーション・オンサイト事業をスタートしました。エンジニアリング会社と共同でエネルギーサービス(ES)会社を設立し、2件の事業を行っています。ES会社がシステムを設置させて頂き、お客様は初期投資ゼロで安価な電力とガスを入手することができます。運転管理やメンテナンスもES会社が現地に常駐し実施しています。お客様の工場全体でCO2削減を進めるという仕組みですが、このように海外でのビジネスを広げ、かつ海外での温暖化対策への貢献をしていきたいと思います。一部のプロジェクトは、日本政府の二国間クレジット制度(JCM)を利用しています。

 また、燃料電池、エコジョーズ、リジェネレーティブ・バーナー、ガスヒートポンプ等、国の支援を頂きながら、メーカーとガス会社が国内で開発した革新的なガス機器についても、メーカー様が中心となり、海外への展開が進められています。

 このように、日本が培ってきた革新的な天然ガス利用技術を様々な国に導入し、世界全体のCO2削減に大きく貢献していきたいと思います。

【インタビュー後記】

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 前田氏のお話を伺い、都市ガスの製造プロセスが1969年のLNGの導入以来、製造効率99.5%と劇的に向上したことに大変驚きました。製造プロセスの大幅な改善に加え、家庭用、産業用、業務用と用途別に天然ガスを高効率に活用するための技術開発を、メーカーと連携してガス業界が積極的に進めていることも関心をもって伺いました。化石燃料の中でももっともCO2の排出が少ない天然ガスは、世界的に需要の拡大が予想されています。天然ガスシフトの世界的な流れの中、省エネかつ低炭素な技術開発はビジネスチャンスの機会にもなります。日本でも来年度からシェールガスの本格的な輸入が予定されており、コストの低廉化が期待されるところです。燃料コストが安くなってくれば、燃料電池やコージェネレーションシステムの普及拡大の追い風になるでしょう。今後の技術開発の動向と普及状況を、引き続き注目していきたいと思います。

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