カリフォルニアでの太陽光発電


YSエネルギー・リサーチ 代表


 カリフォルニア州全体の送電系統を管理しているのがCAISO (California Independent System Operator)である。カリフォルニアで以前大停電を起こしたことがあることから、電力ユーザーに電力需給の状況を知らせるウエブサイトを運用している。
http://www.caiso.com/Pages/TodaysOutlook.aspx
 たまたま12月3日にこのサイトを訪れたときに、いま太陽光発電の急増によって問題となっている現象がはっきりした形で示されているのに気がついたのでご紹介する。
 まず、最初のページ(第1図)で、今日利用できる発電設備能力を時間帯別の線グラフで示し、次いで、前日行った今日の時間帯別電力需要予想曲線と、今日の1時間前ごとに行われた予想曲線が示されると同時に、需給が逼迫したときには、消費者がどの程度電力の消費を削減する努力をしてほしいかが示されるようになっている。この日の発電予備力は十分あることが分かる。続くページ(第2図)で、再生可能エネルギーの種類別に時間ごとの発電量が示され、3枚目のグラフ(第3図)には、電力需要に対応して電力供給事業者が実際に発電プラントを稼働させて作るネットの電力量が、予想電力量曲線に加えて表示されている。

(第一図) California Today’s Outlook   2015/12/03

(第一図)
California Today’s Outlook 2015/12/03

 ウイークデイとウイークエンドなどでこの図表の示す形が異なるのに興味があって、時々アクセスしているのだが、カリフォルニア州は太陽が豊富な地域であるために、晴天の日には、州内に設置されている太陽光発電がフル稼働する。それに風によって変動する風力発電からの電力が加わるのだが、同州では夜に風が吹くことが多いと聞いている。2枚目の再生可能エネルギーの発電量を示すページを見ると、地熱、バイオマス、小水力などによる発電量はほぼフラットだ。だが、太陽光からの発電量は昼に向かって急激に増大し、太陽が沈むにつれて同様に減少していることが示されている。この日の風は夜吹いていたようだが、変動はしているもののその絶対量は大きくない。また、地熱の発電量が大きく、かつフラットであることもよく分かる。

(第2図)

(第2図)

 3枚目のグラフを見ると、実需要とネット需要の曲線が示されている。実需要は顧客が消費した電力量であるが、それに対するネット需要とは、従来型発電設備が供給する電力量であり、実需要から再生可能エネルギーによる発電量を差し引いたものとなる。発電事業者からみた需要は、昼にガクッと落ち込み、夕方に大きく上昇している。これが示唆するのは、これまで発電事業者は昼に発生するピーク需要に対応できるだけの発電設備を持たなければならなかったものが、太陽が照るときには設備の稼働を大きく引き下げなければならず、設備利用率が大きく下がることになり、これまでの収益源が大きく減ることを意味する。また、太陽光発電の設置量がもっと大きくなると、系統制御のためには太陽光発電の稼働抑制をしなければならなくなる。この乖離した二つの曲線の形がアヒルに似ていることから、ダックカーブと称しているようだが、カリフォルニア州が大手電力会社を対象に、2020年までに1.3GWという大規模な蓄電設備を持つことを義務づけている基本要因でもある。これは九州電力がメガソーラーの系統接続を抑制し、稼働を抑制しようとしているのも同じ理由からだ。今後、世界的に拡大する太陽光発電が、大容量の蓄電設備の普及を促進することも示唆している。さらには、大規模発電設備の利用率低下によって、電力事業のビジネスモデルが大きく変わると言われている。大規模集中型発電から、小規模分散型発電へのシフトもそれに含まれるだろう。

(第3図)

(第3図)

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