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資源循環型産業としての製紙産業(3つのリサイクル)


日本製紙連合会 技術環境部長


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エネルギーのリサイクル(地球温暖化への対応)

 木材チップから繊維素を取出す時に出る「黒液」は樹脂を主成分とするバイオマスであり、この廃液を燃焼させることにより、工場で使用する燃料の3割以上を賄うというユニークな産業である。一方、大量の水を利用して繊維素を均一に配分させることにより紙を製造するために、その水分を乾燥させるのに大きなエネルギーを必要としている。燃料として従来は重油の使用が多かったが、徐々にその比率を下げるよう取り組んできた。燃料転換は、重油よりも割安な石炭のほか、プラスチックと紙からなるRPFや木屑、廃タイヤ等の再生可能エネルギーと廃棄物エネルギーの比率が上昇している。
 当業界は京都議定書に先駆けて1997年1月に自主行動計画(温暖化)を策定し、2004年11月に目標改定・強化を行ったが、その後の省エネルギー投資とともに燃料転換投資効果により、2005年度、2006年度と2年連続して化石エネルギー原単位及び化石エネルギー起源CO2排出原単位が目標を上回った。また、植林面積も2010年目標を前倒しで達成したため、2007年に2度目の目標改定を実施した。

原単位の推移(化石エネルギー原単位及び CO2排出原単位)

 環境自主行動計画の地球温暖化対策を取り組みその自主評価は以下の通りである。

目標値を2度にわたり見直したが、化石エネルギー原単位、化石エネルギー起源CO2排出原単位は削減目標を達成した。
2012年度の化石エネルギー起源CO2排出量は1,826万トン/年で、1990年度の2,547万トン/年に対し721万トン/年のCO2削減ができた。
大きな削減成果が得られた要因は下記のとおりである。
 ・
燃料転換投資を推進し、バイオマス燃料、廃棄物由来燃料を有効に利用したこと。
またガスタービンコージェネレーション設備を導入し温室効果ガスの排出削減を図ったこと。
 ・
省エネ対策工事を各社自主的に継続的に実施し、地道に取り組んできたこと。
特に業界全体の生産が減少するなか、原単位の悪化を回避するために省エネ・高効率の機器を積極的に導入し、工程の無駄を洗い出し対策を進めたことによる。

 このように、当業界は地球温暖化対策に真摯に取り組んでおり、政府の審議会をはじめ外部からも高い評価を得ている。
 森林は、CO2の吸収源対策として吸収、蓄積が注目されている。更に、海外での産業植林は無立木地において造成されていることからCO2吸収源としての機能は大きいものがある。現行の京都議定書の枠組みでは、植林CDMは、民間企業の植林地のCO2吸収クレジットとして政府レベルで承認されておらずまた承認プロセスが厳格なため殆ど進展が見られていない。このような状況において、森林の吸収クレジットは、ボランタリーに認証する仕組みが先行しており、海外の植林地を想定したものではない。海外で積極的に植林に取組んでいる製紙業界では、わが国の民間企業による海外植林地の吸収クレジットを評価・認証する仕組みを創設する必要があると考え、「海外植林地CO2吸収・蓄積量評価・認証システムの構築」を外部の機関に委託し、CO2吸収・蓄積量算定マニュアルの作成した上で、CO2吸収・蓄積量評価システムの海外植林地における実証を終え、評価認証システムを運用している。

 わが国では、2012年7月から再生可能エネルギー固定買取制度(FIT)が開始された。安定した発電が可能なバイオマスは、原材料であると同時に製紙原料にならないものはボイラー燃料としている。従って、製紙業界としてこのFITへの影響は複雑で現段階で見極めることは困難である。チップ価格の高騰、建築ボード業界等既存用途への影響が予想されると同時に、バイオマス発電が収益源にもなる可能性があるため、製紙企業各社でその判断異なる。買取価格の高い設定は、電気料金に反映するため大口電力需要者はかなり負担が大きくなる可能性が高く、自家発所有事業者も燃料価格とCO2の問題があり、そう簡単ではないと思われる。

最後に

 製紙産業は、紙のリサイクル、森のリサイクルの両輪を上手に回しており、今後も続けていくことになろう。紙の原料は木材と古紙であり、古紙も元々は木材に由来するものであるが、両方とも循環できる原料(資源)である。古紙については「紙のリサイクル」、植林については「森のリサイクル」、この両輪を上手に回し、さらには3番目のリサイクルとして、エネルギーの有効利用を促進し、資源循環型のリサイクル産業として、豊かな国民生活を支えていくことを目指すものである。

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