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第1回 石油連盟専務理事 松井英生氏

「石油」を分散型・自立型エネルギーとして位置づける政策を


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授


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バイオ燃料が温室効果ガス排出削減に効果があるのか冷静に見極めたい

――今後の日本におけるバイオ燃料の取組みについてはいかがでしょうか。

松井:バイオエタノールはCO2フリーだということで、ガソリンにバイオエタノールを混入するよう政府からの要請があり、石油連盟では「ETBE方式」という、化学的にガソリンにエタノールを合成する方式で導入を進めて参りました。現時点では、ガソリンに約21万kl(原油換算)のバイオエタノールが入っております。全国のスタンドで売る方向で進め、エネルギー供給構造高度化法に基づき、2017年度に50万klまで増大させる導入計画で、石油業界はエタノールのタンクを作る等の投資を行う等、実現に向けて努力しています。

 大事なポイントは、バイオエタノールの活用により温室効果ガス(GHG)削減の効果があるのかどうかということです。バイオエタノールの原料たるサトウキビを栽培するために新しく農地を開発するとCO2が排出されるため、ブラジルの既存の農地でできたさとうきびから作られたエタノールだけがGHG削減効果があるとされています。これは日本政府が欧米の基準を踏まえて検討した結果です。現在バイオエタノールの約97%がブラジルから輸入されております。しかし残念ながら、天候不順等の影響でブラジルのバイオエタノールの輸出量が減っており、2008年に500万kl程度輸出できていたのが、昨年はついにブラジルも、輸出もするが、輸入もしなくてはいけない状況になってしまいました。

 最近アメリカでは、干ばつにより食糧にも悪影響が出てきて、バイオエタノールをガソリンに混入する割合を下げるべきだという議論が出ています。EUでも間接的土地利用変化も踏まえれば、バイオエタノールにGHG削減効果はあまりないのではないか、むしろマイナスではないかとのことで、バイオ燃料導入目標を引き下げる検討が開始されたようです。

――いろいろ課題がありますね。

松井:アフリカ・アジア等における土地開発の目的のうち、バイオ燃料開発が56~66%です。バイオ燃料の増産によって、多くの途上国で、大規模な開発や、土地の買い上げ・囲い込み、すなわちランドラッシュというような問題が出てきています。国連環境計画の報告書によると、バイオ資源は運輸部門で燃料として利用した場合に原油の35~45%を代替するのに対して、熱や電気として利用すれば化石燃料の95%を代替するという報告書も出ました。我々もエネルギー供給構造高度化法における石油精製事業者に義務付けられたバイオ燃料の利用目標は守りますが、バイオエタノールが本当に意味があるのかについて冷静に議論していただきたいと思っています。



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