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松井英生・石油連盟専務理事に聞く[後編]

震災を教訓に、石油製品の平時からの利用と備蓄の体制づくりへ転換を


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授


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リスク分散の観点から消費者によるエネルギーベストミックスを考えることが重要

――石油製品の生産を毎年減らしていく方向だったのですね。

松井:全国隅々まで、ガソリンスタンドは4万弱ありますが、ピーク時は約6万5000ありました。避難所になるであろう公共施設が普段から石油製品タンクを置いてお使いいただければ、そこに供給する体制はこちらも整えます。ストーブだけ買って全部倉庫にしまっているのでは供給体制を維持することができません。

 東北の災害を受けた方へアンケート調査を行い、震災後に一番役立ったのは灯油ストーブだったと52%の方が回答する結果が出ました。結局、電源が切れた時に、電源を必要としない昔ながらのだるまストーブが非常に役に立ったということで、今ものすごい売れ行きで、前年比で倍くらい売れています。

――いろいろなところで灯油ストーブが見直されているのですね。

松井:消費者がそういう問題意識を持ってきています。消費者だけでなく自治体も、避難所になり得る公共施設で必要となる食料、水、布団、薬に加えて、暖を取るストーブと燃料、タンクを一応は揃えておいていただきたい。

 オール電化は便利ですが、電気が切れると2日とか3日は通じません。都市ガスも今回の震災で復旧するのに1カ月近くかかりました。リスクを分散する観点から、石油製品の燃焼機器を公共施設には置いていただきたい。ご家庭においても煮炊きはLPG(液化石油ガス)や都市ガス、給湯と暖房は石油製品という風にリスク分散するのがよいでしょう。すなわち、消費者によるエネルギーベストミックスが今後重要だと思います。

 我々も、石油給湯器でも電源なしで使えるものを開発しなければならない。例えば、電源が切れても3日間はリチウムイオン電池で動くもの。大きいストーブも、電源が切れても2、3日は送風できる製品など、石油機器メーカーにお願いして作ってもらう必要がある。現在の年3%ずつ需要見通しが減っていく状況が少しなだらかになっていけば、我々のサプライチェーンもそれなりに維持できると思います。

松井英生(まつい・ひでお)氏。1975年に通商産業省(現在の経済産業省)に入省。外務省在連合王国大使館参事官、資源エネルギー庁長官官房原子力産業課長、中小企業庁次長、商務流通審議官、国際協力銀行理事などを経て、2010年3月より石油連盟専務理事に就任