日本自動車工業会におけるカーボンニュートラルに向けた取り組み


Japan Automobile Manufacturers Association, Inc.

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 自動車産業は製造・販売をはじめ整備・資材など各分野にわたる広範な関連産業を持つ総合産業であり、直接・間接に従事する就業人口は約554万人。
 設備投資額や研究開発費は日本経済の中で大きな割合を占める。

 本稿では、一般社団法人 日本自動車工業会(以下、自工会)におけるカーボンニュートラル(以下、CN)に向けた取り組みについて紹介する。

地球温暖化対策⻑期ビジョン

 自工会は2020年3月31日に、地球温暖化対策に係わる長期ビジョンをアナウンスした。

運輸部門の統合的取組み:基本的な考え

 運輸部門のCO2削減は、自動車メーカー・燃料等の関係業界・行政・自動車使用者等の各関係者が統合的に取り組みを推進していくことが重要と考えている。

日本のCO2総排出量は、2021年度(確報値)で約10億6,400万t-CO2(運輸部門の排出量は全体の約17%)。
乗用車の燃費向上やトラック貨物輸送の物流効率化が大きく寄与し、運輸部門のCO2排出量は2001年度をピークに減少している。

2050年CNのシナリオ分析について

 2050年CNに向けた多様な選択肢の客観的かつ定量的な把握のために、エネルギー分野で国際的に評価の高いシンクタンクである、日本エネルギー経済研究所に委託し、バッテリー電気自動車(以下、BEV)の推進やカーボンニュートラル燃料(以下、CN燃料)の活用可能性、先進国、新興国の状況等を勘案して設定した、3つのシナリオを分析した。

 その結果、世界全体の道路交通のCO2排出削減は、BEV化を急速に進めるシナリオだけでなく、ハイブリッド車(以下、HEV)・プラグインハイブリッド車(以下、PHEV)とCN燃料を有効活用するシナリオでもIPCCの2050年1.5℃シナリオに整合的になりうることが分かった。

 また、先進国ではどのシナリオでも2050年CNに近い水準まで削減で可能であり、販売・保有台数が著しく増加する可能性のある新興国においても、CN燃料の供給量を合理的な範囲内で増やすことで、IPCCの2050年1.5℃、2.0℃シナリオに沿う可能性を確認。

 自工会としては、選択肢を狭めることなく、各国・地域がそれぞれの事情にあわせたCNへの道筋を検討することが肝要と考えている。

まとめ

1.
自工会は2050年CNへ向けて自動車業界を挙げて全力でチャレンジ。
2.
自動車メーカー・燃料等の関係業界・行政・自動車使用者等の各関係者による統合的取組みにより、運輸部門のCO2を継続的に削減。
3.
2050年CNに向けた多様な選択肢の客観的かつ定量的な把握のため、各国の状況等を勘案して設定したシナリオ分析を実施。結果、BEV化を急速に進めるシナリオだけでなく、HEV・PHEVとCN燃料を有効活用するシナリオでもIPCCの2050年1.5℃シナリオに整合的になりうる事を確認。
4.
世界中のステークホルダーの皆様と共に、地域毎のエネルギー事情を踏まえ、お客様のニーズに合わせた多様な選択肢をご提供できるよう、最大限努力して行く。

一般社団法人 日本自動車工業会ウェブサイト:https://www.jama.or.jp/