経済産業省における環境政策について
印刷用ページ(「産業環境管理協会「環境管理」2026年4・5月号 vol.62 No.4・5」より転載 )
本稿では、経済産業省が行う環境政策について述べる。経済成長を優先する経済政策と、環境保護を優先する環境政策はもはや対立する時代ではなく、脱炭素をビジネスチャンスとした投資・市場形成が国際的に進んでいる。日本政府も、エネルギー安定供給・経済成長・脱炭素を同時実現するグリーントランスフォーメーション(GX)の実現を目指している。本稿では、GX政策の基盤となる「成長志向型カーボンプライシング構想」を中心に、「GX産業立地」「GX需要創出」等の最新のテーマに触れながら、経済産業省が行う環境政策を紹介していく。
はじめに
世界規模で異常気象が発生し、大規模な自然災害が増加するなど、気候変動問題への対応は、今や人類共通の課題となっている。こうした中で、多くの国・地域がカーボンニュートラル目標を表明し、世界的に脱炭素の機運が高まっている。米国では、第2次トランプ政権の発足により、パリ協定からの離脱等の動きが見られるものの、州政府レベルでは引き続き独自の排出削減政策やクリーンエネルギー導入が進められており、多国籍企業や投資家、国際的なサプライチェーンを通じた脱炭素の取組が継続している。このように、実態をよく見ると、欧米、中国をはじめ各国とも、自国のエネルギー安全保障や経済成長に資するクリーンエネルギー投資に取り組んでいる。我が国においてもGXの実現は、単なるエネルギー需給構造の転換にとどまらず、「失われた30年」ともいわれてきた経済を再び成長軌道に乗せ、将来の経済成長や雇用・所得の拡大につなげていくための最重要課題と認識されている。
こうした認識の下、本稿では、第1章で経済産業省が積極的に関与する日本のGX政策について解説する。その中でも、まず第1.1節で扱うのは、GX政策の基盤となる「成長志向型カーボンプライシング構想」である。この構想に含まれる三つの要素は、脱炭素と経済成長の両立を目指す日本政府の姿勢をまさに体現しており、GX政策の概要を把握するために極めて有用なイントロダクションとなる。第1.2節では、2025年2月18日に閣議決定した「GX2040ビジョン」の進捗を紹介する。本ビジョンは、事業環境が不安定化する中でも投資予見性を高めてGX実現に不可欠である官民投資を活性化すべく、政府が中長期の見通しを示したものである。
続く第1.3節、第1.4節では、2025年5月に改正され、2026年4月1日より施行された「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」(以下「GX推進法」)、および「資源の有効な利用の促進に関する法律」について解説する。今回改正された内容は、「GX2040ビジョン」で明らかになった日本の中長期的なスタンスを、実行フェーズに移すために必要となる施策をより一層具体化したものであり、加速するGX政策の片鱗をここから垣間見ることができる。
第1.5節で扱うのは、GXを実現するにあたって必要となるGX製品・サービスの需要創出に向けた取組についてである。継続したGX投資を実現するためには、GX製品・サービスのもつGX価値が適切に評価され、広く受容される市場を形成していくことが不可欠である。また、気候変動問題は世界的な課題であり、日本がGX政策を世界規模で積極的に進めていくための世界戦略を描くのが第1.6節である。
最後に、本稿の締めくくりとして、公害防止対策に触れる。今後GXを進めるにおいても、この分野は依然としてその重要性を保ち続けている。本稿は以上の流れに沿って、経済産業省の環境政策を包括的に紹介する。
1.GXの実現に向けた取組について
1.1 成長志向型カーボンプライシング構想の概要
日本政府は、GX実現に向けて10年間で150兆円を超える大規模な投資を官民協調で実施していくとしている。その実現のためには、特に事業者によるGX投資の収益性に関する中長期的な予見可能性を高めていくことが必要である。このため、我が国では「成長志向型カーボンプライシング構想」に基づき、GX投資を実施するインセンティブを高める支援策と規制・制度的措置を一体的に、長期・複数年度にわたる国のコミットメントを示す形で講じていくこととしている。具体的には、企業のGX投資の前倒しを促進するために「GX経済移行債」を発行し、10年間で20兆円規模の先行投資支援を行うとともに、排出量取引制度や化石燃料賦課金などのカーボンプライシングを段階的に導入していくこととしている。
また、これに加えて、新たな金融手法の活用が加わることで、GX実現に貢献する資金の流れを増やし、GXを加速させていく。具体的には、GX推進機構による出資・債務保証など官民金融支援の強化や、トランジションへの国際理解醸成等が挙げられる。
以上のような三つの柱、すなわち、「GX経済移行債」を活用した大胆な先行投資支援、カーボンプライシングによりGX投資先行インセンティブ、新たな金融手法の活用が、この「成長志向型カーボンプライシング構想」の根幹を成している。
(1)「GX経済移行債」を活用した大胆な先行投資支援
日本政府は、10年間で官民150兆円超のGX投資を実現するため、20兆円規模の「GX経済移行債」の発行を開始している。2024年2月からは、世界初の国によるトランジション・ボンドとして、個別銘柄「クライメート・トランジション利付国債」(CT国債)の発行を開始した。2025年度までにCT国債を累計で4兆円以上発行しており、2026年1月には「令和5年度発行分 資金充当・インパクトレポート/令和6年度発行分 資金充当レポート」を公表した。入札結果や市場関係者の受け止めを総合的にみて、幅広い投資家から購入されているものと認識している。
また、総理を議長とするGX実行会議の下で取りまとめている「分野別投資戦略」では、「GX経済移行債」を活用した「投資促進策」に関し、基本原則や具体化に向けた方針、支援策の対象となる事業者に求めるコミットメントの考え方、執行原則等の基本的考え方を示すとともに、16の分野について、GXの方向性と投資促進策等を進めている。加えて、「GX経済移行債」を財源に規模の拡充を行ったグリーンイノベーション基金事業においては、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、革新的な脱炭素技術の研究開発・実証から社会実装までを継続して支援している。
さらに、欧米をはじめ戦略分野についての投資促進策が次々と打ち出される中、我が国としても、GX、DX、経済安保等、中長期的な経済成長を牽引する戦略分野の国内投資を強力に促進するため、令和6年度税制改正において措置した戦略分野国内生産促進税制では、戦略分野のうち特に生産段階のコストが高い分野(電気自動車等、グリーン・スチール、グリーン・ケミカル、持続可能な航空燃料(SAF)、半導体(マイコン・アナログ))について、従来の初期投資支援策では企業の投資判断が容易でないことを踏まえ、生産・販売量に応じた新たな税額控除措置を講じている。具体的には、産業競争力強化法に基づく主務大臣の認定を受けた上で、国内における新たな投資を行い、取得した設備を用いて、本税制の対象商品を生産・販売した場合、認定の日から10年間、その生産・販売量に応じた法人税の税額控除措置が適用される(最大4年間(半導体は最大3年間)の税額控除繰越も併せて措置)。なお、本税制では、国内投資促進に向けた企業の予見可能性を確保するための大規模・長期的な措置を講じるべく、「GX経済移行債」による先行投資支援の対象となる分野(電気自動車等、グリーンスチール、グリーンケミカル、持続可能な航空燃料(SAF))については、本措置により生じる減収額を「GX経済移行債」による財源により補填することとしている。
(2)カーボンプライシングによるGX投資先行インセンティブ
GX実現に向けて10年間で150兆円を超える大規模な投資を官民協調で実施していくため、20兆円規模の先行投資支援と一体的にカーボンプライシングを導入し、先行投資支援の原資を創出すると同時に、炭素価格が中長期の時間軸で徐々に上昇する予見性を示すことで、事業者に更なるGX投資を行うインセンティブを確保することとされている。
具体的には、カーボンプライシングとして、2026年度から排出量取引制度を本格稼働、2028年度から化石燃料賦課金を導入、2033年度からは発電事業者への有償オークションを導入するなど、GXに集中的に取り組む期間を設けた上で段階的に導入していくこととしている。
この「成長志向型カーボンプライシング構想」を具体化するため、改正「GX推進法」(2025年5月成立)により、排出量取引制度の本格稼働に必要な制度整備や、化石燃料賦課金の導入に係る技術的事項に関する措置を規定している。特に排出量取引制度については、排出量取引制度小委員会において詳細設計を議論し、2025年12月には、排出枠の割当方法や、排出枠の上下限価格等の詳細設計をとりまとめた。さらに、今年4月の制度開始に向けて、3月には下位法令の整備やマニュアルの策定を行い、制度の細部についても具体化された。
(3)新たな金融手法の活用
先行投資支援とカーボンプライシングに加え、我が国では、2050年カーボンニュートラルの実現のために、脱炭素への「移行」に資金供給を促す「トランジション・ファイナンス」を推進している。民間におけるトランジション・ファイナンスについては、クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針や、10分野の技術ロードマップの策定、ファイナンスド・エミッションの考え方の整理等により、市場環境整備を進め、2025年末時点で民間のトランジション・ファイナンスによる資金調達額は累計2.9兆円を超える規模に到達した。国外においても金融機関によるトランジション・ファイナンスに関するフレームワークの策定などの取組が進んできている中、AZECの枠組み等も活用し、高い経済成長とエネルギー需要の増加が見込まれるASEAN各国との協力を強化するなどして、国内外のトランジション・ファイナンス市場の拡大に取り組む。
加えて、公的資金と民間資金を組み合わせた金融手法(ブレンデッド・ファイナンス)を確立するため、2024年7月に業務を開始したGX推進機構において、民間では取り切れないリスクを補完するための債務保証や出資等により金融支援業務を開始した。今後GX推進機構を通じて、GXに資する技術の社会実装等を支援し、金融機関と一体となって官民150兆円超のGX投資実現に向けた取組を進めていく。
1.2 「GX2040ビジョン」の進捗
以上で紹介した成長志向型カーボンプライシング構想をベースにしつつ、将来のエネルギー戦略が国力を左右するという認識の下、政府はエネルギー基本計画、地球温暖化対策計画と一体的に議論を進め、GX推進戦略を改訂して、「GX2040ビジョン」(2025年2月閣議決定)を策定した。本ビジョンでは、カーボンニュートラルに必要とされる革新技術の導入スピードやコスト低減の見通し、DXの進展や電化による電力需要の増加の影響等、将来の見通しに対する不確実性が高まる中、GXに向けた投資の予見可能性を高めるため、より長期的な方向性を示している。
本ビジョンでは、排出量取引の本格的な制度設計などカーボンプライシングの具体化、希少資源の確保など安全保障にも資する「サーキュラーエコノミー」市場の制度設計などが盛り込まれている。その上で、①革新技術を活かした新たなGX事業が次々と生まれ、②日本の強みである素材から製品にいたるフルセットのサプライチェーンが、脱炭素エネルギーの利用やDXによって高度化された産業構造を目指すべきGX産業構造と位置づけた。そうした産業構造の実現に向けて、政府は2025年8月に「GX戦略地域制度」を創設した。
具体的には、貴重な産業資源を有するコンビナートの活用ニーズや、地域に偏在する脱炭素電源を利用した投資ニーズが増えつつあるところ、こうした動きを後押しし、新たな産業クラスターの形成に取り組む。同制度の下で具体的な地域を選定した上で、GX経済移行債等による支援と、国家戦略特区を活用した規制・制度改革を一体的に措置することで、新たな産業クラスターを形成し、GXの実現を促進していく。
もちろん、GXの取組は大企業にとどまるものではない。中堅・中小企業のGXを後押しすることで、社会全体でGXを推進しつつ、中堅・中小企業の成長を後押しする必要がある。そこで、政府は、簡易にエネルギー消費量や排出量の算定・見える化の支援や、省エネ等を促進する設備導入支援、GXに資する革新的な製品・サービスの開発の支援、金融機関や支援機関等が連携するサポートなど、地域におけるプッシュ型の支援体制の構築を進めることとしている。
さらに、本ビジョンでは、現実的なトランジションの実現に向けてアジアの視点も加えたルール形成および世界の脱炭素化へ貢献していくため、例えばトランジション・ファイナンスのアジアへの普及拡大に取り組むことを明記した。分野別投資戦略に基づくGX経済移行債を活用した支援に加え、こうしたGX2040ビジョンで示す方向性に沿って、政府は、政策の具体化を進め、エネルギーの安定供給、経済成長と脱炭素の同時実現を目指していく。
1.3 排出量取引制度の本格稼働
2026年度から本格稼働する排出量取引制度では、CO2の直接排出量が一定規模(10万トン)以上の事業者を制度の対象とし、政府は、制度対象者からの排出目標量の届出を踏まえて、政府指針に基づいて算出した排出枠を全量無償で割り当てる。排出枠を割り当てられた制度対象者は、実際の排出実績量と事前に割り当てられた排出枠の保有量を比較し、実績量が保有量を下回った場合には、余剰となった排出枠を売却できる。逆に、実績量が保有量を上回った場合には、その不足分の排出枠を外部から調達しなければならない。制度対象者が、排出枠を取引するための排出枠取引市場も今後整備していく。
企業は自らの事業活動における排出について、登録確認機関による確認を受けた上で、毎年度の排出実績量と同量の排出枠の保有を義務づけられることとなる。割当の方法には、「ベンチマーク」と「グランドファザリング」と呼ばれる二つの手法があり、特に業種特性を考慮する必要性の高いエネルギー多消費分野等を中心に、業種別のベンチマーク*1に基づいて算定を行い、ベンチマークの策定が困難な分野については、グランドファザリング*2による割当を行う。割当にあたっては、制度によって企業のGX投資の余力が削がれることのないよう、産業の国外移転リスク、GX関連の研究開発投資の実施状況、設備の新増設・廃止や一定以上の活動量の増減についても一定の範囲で勘案措置を講じる。
また、排出量取引制度は、市場機能を活用することで効率的かつ効果的に排出削減を進めるためのものであるが、市場価格の急激もしくは極端な変動は、事業者の炭素価格に関する予見性を損なう恐れもある。そのため、排出枠取引市場における取引価格の上限・下限を設定し、その価格帯をあらかじめ示すなどの措置を規定することで価格の安定性を高める設計としている。2025年末に出した排出量取引制度小委員会の取りまとめでは、2026年度の上限・下限価格の水準がそれぞれ4,300円と1,700円、それ以降は前年度の価格に価格上昇率(3%+毎年度の物価上昇率)を乗じて決定する方針を示した。
また、制度設計当初に想定していた経済状況・社会情勢等からの乖離が生じることも想定されるため、制度開始後も継続的かつ定期的に点検およびリスク評価を行い、その上で、制度が国内産業や輸出産業へ予期せぬ影響を与える場合など、必要であると認める場合は、制度の見直しを検討し、その結果に基づいて適切な措置を講じていく。
1.4 資源循環政策
サーキュラーエコノミーの実現は、資源の再利用による製造過程でのCO2排出削減や廃棄物削減を通じて、GXの推進にも大きく貢献する。近年、欧州での市場創造型規制の強化等、世界でもサーキュラーエコノミーへの移行が進む中、資源価格高騰下でバージン材の輸入に依存し続ければ、国富流出が加速するおそれがある。そこで、日本の高度な資源循環技術を活かして国内に強固なサプライチェーンを確立し、循環資源強国を目指していく。この実現に向けて、「ルール・制度の整備」「産官学の連携」および「投資支援」の3本柱でサーキュラーエコノミーへの移行に取り組んでいる。
「ルール・制度の整備」では、再生材の利用拡大や環境配慮設計の可視化・価値化等を促進していくため、2025年5月に「資源有効利用促進法」を改正し、2026年4月に施行したところ。改正法の主な改正事項は①再生資源の利用計画策定・定期報告、②環境配慮設計の促進、③GXに必要な原材料等の再資源化の促進、④CE(サーキュラーエコノミー)コマースの推進である。
「産官学の連携」では、経済団体、企業、自治体、大学等が参加するサーキュラーパートナーズ(略称:CPs)を立ち上げ、2026年3月1日時点で840者の参画を得ている。CPsでは、製品・素材ごとの課題の抽出やロードマップの策定、地域循環モデルの構築、情報流通プラットフォームの構築などに向けて議論を深めている。
「投資支援」については、GX経済移行債を活用し、再生材利用や長寿命化、再資源化の容易性確保につながる「環境配慮型ものづくり」や、CEコマースビジネス発展のための技術開発、実証および商用化に係る設備投資支援を行っており、CPsの枠組みを活用して、2026年度からの3年間で200億円の支援を実施することとしている。
また、国家戦略としてサーキュラーエコノミーを更に推進するため、2026年3月には第3回目となる「循環経済に関する関係閣僚会議」を開催し、「循環経済行動計画」の策定に取り組んでいるところである。
1.5 GX需要創出
GXの推進およびそのための継続した投資を実現するためには、GX製品・サービスのもつGX価値が適切に評価され、広く受容される市場を形成していくことが不可欠である。こうしたGX製品・サービスの需要創出に向けて、「GX価値の見える化」と「GX製品・サービスの積極調達」を推進していく。
「GX価値の見える化」については、GX価値が市場で適切に評価されることを目指し、製品・サービスのカーボンフットプリント(CFP)や、市場社会全体の温室効果ガス排出削減に対する自社の貢献量を示す指標等の整備・普及等に取り組んでいる。また、「GX製品・サービスの積極調達」については、GX製品・サービスの積極調達を行う民間企業を評価する仕組みの拡充や、公共調達におけるグリーン購入法の活用等の取組を推進していく。こうした取組を通じて、GX製品・サービスのGX価値が評価される市場の形成と持続的な拡大を実現していく。
1.6 AZEC
アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)とは、2022年1月、岸田総理(当時)が提唱した、アジア各国が脱炭素化を進めるという理念を共有し、エネルギー移行を進めるために協力することを目的としたイニシアティブである。アジア、特にASEANの多くの国は、我が国と同様、電力の大宗を火力に依存し、経済に占める製造業の割合が大きく、脱炭素化に向けた共通の課題を抱えている。こうした中でAZECの枠組みを通じて、アジアの脱炭素化を進め、ひいては世界全体の脱炭素化に貢献することが期待されている。
これまで、3回の首脳会合(2023年12月:東京、2024年10月:ビエンチャン、2025年10月:クアラルンプール)、閣僚会合(2023年3月:東京、2024年8月:ジャカルタ、2025年10月:クアラルンプール)が開催された。2024年の第2回首脳会合では、(i)アジアの脱炭素化に資する活動を促進する「AZECソリューション」の推進、(ii)温室効果ガス排出量の多いセクターの脱炭素化および排出削減を促進するためのイニシアティブの始動、(iii)具体的な個別プロジェクトの更なる組成、の三つを柱とする「今後10年のためのアクションプラン」が採択された。
このアクションプランに基づき、例えば、「AZECソリューション」に関しては、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出の可視化、トランジション・ファイナンスの推進、十全性(質)の高い炭素市場の推進等に取り組んできた。
直近開催の第3回首脳会合においては、AZEC首脳共同声明及び付属書「2024-2025年における今後10年のためのアクションプランの進捗」が採択され、「今後10年のためのアクションプラン」に基づくこの1年の進捗状況が共有された。
2.公害防止対策について
日本では、昭和46年に「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」を制定し、特定工場において公害防止管理者等の設置を義務づけるなど、公害を防止するための対策を講じてきた。今後長期的なGX政策の取組や資源循環施策の強化を実施する中においても、引き続き産業界や事業者の公害防止に対する理解の促進および対策の継続が重要である。
経済産業省では、公害防止・環境管理に関する普及啓発を行っているほか、事業者の公害防止等環境対策を促進するための財政的支援として、中小企業による大気汚染防止法や水質汚濁防止法、土壌汚染対策法等の環境規制達成を目的とした設備導入や適正なPCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物処理等を推進するための財政投融資制度や、水質汚濁防止法に基づく暫定排水基準が適用されている事業者が、汚水又は廃液処理施設の設備導入を推進するための固定資産税の減免措置を講じている。
また、国際分野における公害防止に資する取組として、環境問題が一部で顕在化しているメコン各国の要望と実情に合わせた公害防止管理者制度の構築・導入を支援する取組等を行っている。
注
- *1
- ベンチマーク方式:ある一定のプロセスの上位50%~32.5%の排出水準となるように割当量を設定する方式。
- *2
- グランドファザリング方式:基準年の排出実績から毎年1.7%排出削減となるように割当量を設定する方式。












