日本鉄鋼連盟におけるCN行動計画への取り組みについて


The Japan Iron and Steel Federation

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 一般社団法人日本鉄鋼連盟(以降、当連盟)では、2021年2月に発表した「我が国の2050年カーボンニュートラルに関する日本鉄鋼業の基本方針」に基づき、我が国の2050年カーボンニュートラルという野心的な方針に賛同し、これに貢献すべく、日本鉄鋼業としてもその実現に向けて、果敢に挑戦する旨を宣言しており、前述の挑戦を支える根幹として、エコプロセス、エコプロダクト、エコソリューションの3つのエコおよび革新的技術開発の4本柱からなる「カーボンニュートラル行動計画」を推進している。本稿ではこれら取り組みについて紹介する。

エコプロセス

 自らの生産プロセスにおけるCO2削減の取り組み。既に世界最高水準にあるエネルギー効率の下、2030年度を目標年度として、BATの最大導入のみならず、冷鉄源の活用など新たな視点を加味し、エネルギー起源CO2排出量(総量)を2013年度比30%削減するという国際的にも野心的な目標を設定。2021年度実績ではCO2排出量2013年度比16.1%削減を達成し、2030年度目標に対する進捗率は53.7%となっている。


図1:鉄鋼業(転炉鋼・電炉鋼)のエネルギー効率の国際比較(出所:地球環境産業技術研究機構)
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エコプロダクト

 最終製品(例:自動車)に使用される高機能鋼材の開発・供給を通じ、それら最終製品の使用断面での国内外のCO2排出削減へ貢献している。代表的な5品種(船舶/ボイラー/自動車/電車/トランス)では国内外で合計3,369万t-CO2の貢献を果たしている(2021年度断面)。
 また、新たに洋上風力やCCS、水素といったカーボンニュートラルの実現に不可欠な製品分野での高機能鋼材の貢献の定量化分析を推進。2022年度は、今後導入拡大が見込まれる洋上風力について、各種想定を置き、鉄鋼の1年間のCO2削減貢献量が約10.4万t-CO2/年という試算値(秋田大学の分析)が得られた。


図2:代表的な5品種によるCO2削減効果(2021年度断面)(出所:日本エネルギー経済研究所)
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図3:洋上風力の代表的な試算例(モノパイル式・77基設置時)の考え方(出所:日本鉄鋼連盟)
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エコソリューション

 日本鉄鋼業が開発・実用化した省エネ技術を海外鉄鋼業に移転・普及することを通じ、地球規模でのCO2排出削減へ貢献する取り組み。世界各国で合計約7,555万t–CO2/年の削減に貢献している(2021年断面)。

革新的技術開発

 水素製鉄コンソーシアム(日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所、金属材料研究センター)の下、COURSE50やフェロコークスに加え、グリーンイノベーション基金の下、直接水素還元や電気炉による高機能鋼材製造技術等に果敢に取り組んでいる。


図4:革新的技術開発にかかる取り組み概要(出所:日本鉄鋼連盟)
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 日本鉄鋼業は、世界に先駆けてカーボンニュートラルに向かうべく、先の国会で成立したGX推進法等に基づく政府の成長戦略の確実な実行と軌を一に、カーボンニュートラル行動計画を推進していく。