執筆者:小林 茂樹

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中部交通研究所 主席研究員

  • 2017/02/16

    再生可能エネルギーの動向分析

    2014年の一次エネルギー供給に占める水力を除いた再生可能エネルギー(RE)のシェアは、11.4%であるが、その大半は、主に途上国で利用されている薪などの従来バイオである。先進REのシェアはわずか2.2%である。 続きを読む
  • 2016/11/14

    パリ協定の批准と1.5℃シナリオ(その2)

    ※ パリ協定の批准と1.5℃シナリオ(その1)

    3.3 1.5℃上昇の影響

     1.5℃シナリオの研究例が少ないのと同様に、1.5℃気温上昇による生態系への影響の研究例も多くはない。 続きを読む

  • 2016/11/11

    パリ協定の批准と1.5℃シナリオ(その1)

     気候変動枠組条約(UNFCCC)第21回締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定は、世界排出量の55%以上に相当する55カ国以上の国の批准という発効要件を充たし、11/4に発効する。 続きを読む

  • 2011/06/02

    クルマはどこまでエコになるか?

     今回は、運輸部門のなかで、特に個人利用の自動車(乗用車)に焦点を絞って、車両技術の向上による二酸化炭素(CO2)削減と技術以外での削減の可能性について議論したい。

     自動車の多くは、駆動源として内燃機関であるガソリンエンジンを利用している。エンジンは、下の図に示すように主として熱による損失のため効率が低く、一般に、燃料であるガソリンが持っているエネルギーの20%程度しか駆動軸に伝達されない。失われている熱をうまく再利用できれば、効率が飛躍的に改善されるため、研究レベルではいくつかの技術が試みられているが、いまだ実用化には至っていない。

     また、図からわかるように、アイドリングによるロスもかなりの量にのぼる。このため、信号などでの停止時のアイドリングストップは大きな効率向上につながる。これは実際にハイブリッド車でも取り入れられており、ハイブリッド化による効率向上のうち、3分の1近い寄与になっている。

     一方、駆動軸に伝達されたエネルギーは、さらに、トランスミッションなどの伝達系で失われる。タイヤに伝達されるのは駆動軸に伝えられたエネルギーの60~70%程度だ。そのエネルギーによって車はスタートし加速されるが、停止時にはブレーキによって運動エネルギーが失われて止まる。この量は駆動軸に伝えられた量から見ると3分の1程度になる。ハイブリッド車は、この停止時に失われるエネルギーを電気に変換して回収し、効率向上に利用している。

     つまり、自動車の効率は、まず駆動源の効率に大きく左右され、次にトランスミッションなどの伝達系の効率、さらに車両の形を通して空気抵抗やタイヤの摩擦抵抗に影響される。ガソリンエンジンそのものの効率化はメーカーが最大の努力を図ってきた部分であり、着実に成果を出してきた。残された改善余地は大きくないが、今後も効率化は進むと予想される。飛躍的な改善は、今、話題の電気自動車や燃料電池車への移行が考えられるが、車両価格やインフラ整備など大量普及への課題は大きく、短中期的な対策にはならない。

    自動車の効率は、エンジンやアイドリングなどのロスによりそれほど高くない
  • 2011/04/05

    運輸部門のエネルギー消費量抑制のカギを探る

     最近、地球温暖化対策としての二酸化炭素(CO2)削減目標が話題になることが多い。2010年末には、メキシコでの気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)で、削減に向けた世界的な枠組みの話し合いが行われた。2009年9月の国連総会では、鳩山由起夫前首相により、日本の中期削減目標として「1990年比で2020年までに25%削減する」ことが表明されている。このような流れのなかで、重要なセクターの一つである運輸部門における削減の可能性についても、さまざまな場で議論されてきた。

     今回は、運輸部門全体におけるCO2排出量の現状を見たうえで、細分化した各サブセクターごとの特徴や、国・地域別の状況に差があり、世界全体が必ずしも同じ問題をかかえているわけではないことを明らかにする。また次回以降、特に自動車に焦点を当てて、削減の技術的なポテンシャル、その他の施策、そして、将来の途上国の急成長を考慮したうえでの削減の見通しについて議論したい。なお、運輸部門では、CO2以外にも二酸化硫黄(SO2)や炭素微粒子、航空機による巻雲生成など、温暖化に影響するものがあるが、ここではCO2に絞って議論する。