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コロナ禍でより重要になる電気料金


国際環境経済研究所所長、常葉大学経営学部教授


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(「EPレポート」からの転載:2020年8月11日付)

 平成の30年間、日本経済はほとんど成長せず、私たちの年収も1997年の平均467万円をピークに減少し、最近少し上向いているものの2018年は441万円しかない。収入減により生活が苦しいという人も増え、厚労省によると、大変苦しいという世帯が全体の約25%、やや苦しいという世帯が約33%だ。児童がいる世帯に限ると苦しいという比率は6割強だ。

 そんな中で、宿泊飲食、観光産業を中心にコロナ禍により雇用と収入を失う人が出てきている。特に影響が大きいのは、外国人観光客が多かった地域だ。19年、日本人が宿泊旅行で消費した額は17兆2000億円、外国人旅行者が消費した額は4兆8000億円だった。外国人旅行者は特定の地域に集中しており、例えば、東京都で外国人観光客は日本人観光客以上に消費している。

 日本人の場合、消費額の2割が買い物だが、外国人観光客は4割以上を買い物に消費している。いわゆる爆買いだ。外国人消費比率が高いのは、東京以外に北海道、愛知、京都、大阪、福岡、沖縄だ。この地域は大きな打撃を受けている。コロナ禍収束の見通しが立たず影響が長引くことになりそうだが、雇用維持の支援策はあるのだろうか。

 ドイツ政府は固定価格買い取り制度(FIT)の負担額、1kW時当たり6.76ユーロセント(8.4円)を来年、6.5セント、再来年6セントに抑え、不足分1兆4000億円をコロナ対策費の税金で負担することを決めた。ドイツではエネルギー多消費型の輸出企業にはFIT負担額の大半が免除され、ほかの需要家がその分も負担している。独商工会議所がコロナ対策としてFIT負担額抑制を要求し、それに政府が応えた形だ。宿泊飲食業の光熱費負担額は売り上げの7~8%、スーパーでは売り上げの2%程度といわれている。多くの職場では従業員1人当たり数十万円にもなる。

 電気料金を抑制すれば多少とも雇用維持を助けることになるだろう。コスト負担が高い再エネ導入の抑制と原発再稼慟を急ぐ必要があると思われるが、動きは鈍い。



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