京都市先斗町通無電柱化事業で考えたこと


YSエネルギー・リサーチ 代表


 東京都の小池知事が、無電柱化の推進を重要施策の一つとして提示している。そこで、東京都だけでなく、他の府県についても、ホームページを覗いて無電柱化がどの程度行われているのか調べてみたところ、東京都の場合には昭和51年度からというように、どことも可成り前から着手されていることを知った。道路を掘削して電線や通信線、その付属設備(例えば変圧器や通信の分岐機器など)を地下に埋設することは簡単なことではなかろうということは容易に推察できるが、その裏返しで、作業しやすいところから行われているのが現状のようだ。
 だが、古い街並みで道路幅が狭いところが多い京都市がこの2月5日に起工式を行った先斗(ぽんと)町通り無電柱化プロジェクトでは、古い市街地の景観改善として他の市町村でも参考に出来る新しい方式が採用されている。その要となるのは、道幅が平均1.8メートルと狭く従来工法の施工が難しいため、国が無電柱化の普及に向けて検討してきた「小型ボックス活用埋設方式」を国内で初めて導入したということだ。路面側溝下の浅い深度に小型ボックスを造成し、電線や通信線などの地中ケーブルを道路に沿って直線的に敷設する。この方式は、通常の広さを持った道路についてもコスト効果のある方式となるに違いない。

 この報道記事を読んでいたときに、多少荒唐無稽と言われるかも知れないことが頭に浮かんだ。この小型ボックスを利用すれば、古い街並みの道路を利用して街区単位にマイクログリッド化できないかということだ。住宅にしろお店にしろ、年代を経たものが多いところでは、太陽電池パネルを屋根に取り付けることが、強度や景観の問題で難しい建物があるかもしれない。しかしコージェネレーションや燃料電池、蓄電池を設置することに大きな支障はないだろう。古い家やお店でも、照明や空調機、冷蔵庫などの電気機器は新旧さまざまに混在していると予想されるが、全ての機器と太陽光発電、コージェネや燃料電池(本年中に業務用規模のものも登場するようだ)、蓄電池といった分散電源を通信ネットワークで結んで制御できるようにHEMS、BEMSを導入して、まず各建物単位の電力消費を効率化する。だが、各戸の電力消費パターンは相互に異なるために、もし街区にある幾つかの建物の間で自営線を経由して電力を相互融通できれば、電力の消費効率はさらに向上する。そして、分散電源の容量が確保されていれば、停電が起きてもその街区を一般送配電系統から切り離して電力供給を継続することもできる。
 このようなマイクログリッド化のためには、多くの、また、多様な電気機器と分散電源を包括的に制御(自律分散制御)するシステムが地域特性に則して開発されなければならないし、前提として電力の相互融通をし易いところである必要がある。そのためこれまでは、新規に開発された街区でマイクログリッド化が進められているのだが、上記の無電柱化に向けて使われる小型共同溝を利用して自営線を設置できるとすれば、古い街並みの地域でも、先進的なエネルギー消費を実現できるマイクログリッドを導入することが可能になるはずだ。当然のことながら、それに参画する街区の住民にとって何らかのメリットが得られるようでなければ意味がない。マイクログリッドを運用する事業者の知恵と、行政の強力な支援が欠かせないが、京都市の無電柱化支援策に一つのヒントがあると考えたのである。京都市のプロジェクトについては、
http://www.city.kyoto.lg.jp/kensetu/page/0000213736.html を参照していただきたい。
 熱の相互融通ができれば申し分ないが、旧市街地では難しかろう。

記事全文(PDF)


ページトップへ