Plastic China
世界中から廃プラを集める中国
小谷 勝彦
国際環境経済研究所理事長
昨年、中国で” Plastic China”(監督:Jiu-Liang Wan)というドキュメンタリー映画が上映された。現在、中国国内では観ることができないそうだが、欧州の”International Documentary Festival Amsterdam“(IDFA)で取り上げられ、今年1月には、アメリカ、サンフランシスコのSundance Film Festivalでも上映された。
内容は、世界中の廃プラスチックが中国に集められ、これをリサイクルする廃棄物処理工場で生活している子供たちの姿を描いている。
アメリカの”VARIETY”誌がフィルムのレビューをしている。
中国では、廃プラスチックが有価物なので、欧州、米国、アジアの国々で発生したプラスチック廃棄物は中国に輸入され、各地にある処理場でリサイクル処理されている。
処理場の作業員たちは、家族とともに山のような廃棄物に囲まれて低賃金で働いている。空気に異臭が漂い、ハエが子供の顔に止まる。子供たちは、医療用の注射器で水を飲み、手術用手袋を膨らませて風船にして遊ぶ。廃棄物の中で授乳している女性の作業員もいる。
ゴミ処理場の廃水で汚染された川には魚が浮かぶ。地下水も飲めなくなり、周辺住民は上流の山水を買って飲用水に使っている。
間違ってプラスチックを食べた羊は、どんどん痩せて死んでいく。お腹の中にはプラスチックが残っていた。
日本国内の廃プラの中国流出は、プラスチック循環利用協会(旧プラスチック処理促進協会)の経産省委託調査(2012年)によると
http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2013fy/E002513.pdf
日本国内で年間発生する廃プラが約 945万トン。海外輸出が 約 160万トン
そのうち、約9割が中国・香港向けだそうだ。
中国国内のプラスチック再生利用量 2130万トンのうち中国国内発生 1350万トン。
輸入廃プラ780万トン(日本の対中国輸出量(香港経由含む)は18%を占める)。
(現在では、もっと大量の輸入が行われていると推測される)
日本国内のPETボトルリサイクル事業者は、原材料が不足気味のため、国内市町村の海外輸出をなくすよう要望しているが、中国の廃プラは有価物なので、そもそも廃棄物処理法の規制対象になりにくい。
映画を見ると、異物が混入した廃プラはバーゼル法対象物と言えるが、残念ながら規制されていないのが実態である。
エッセンスは、Youtubeで観ることができる。