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ミッシングマネー問題にどう取り組むか 第2回

再生可能エネルギー大量導入の帰結①


Policy study group for electric power industry reform


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 図4は、2013年度における東京電力エリアの1年8760時間分の電力需要実績(「現状」)を元に、自然変動電源が大量(10%~40%)に導入されたと仮定した場合の残余需要を試算し、デュレーションカーブ注12) で表現したものである注13) 。これを見ると、自然変動電源が10%からさらに増えても、残余需要のピークはほとんど変化がない。

図4 残余需要のデュレーションカーブ (出所)筆者作成

図4 残余需要のデュレーションカーブ
(出所)筆者作成

 太陽光発電は、日本で電力需要のピークが発生する夏の暑い日の昼間に、稼働率が高くなるので、導入の初期段階では電力需要のピーク削減に貢献する。しかし、導入が一定量を超えると、残余需要のピークの発生時刻が、太陽光発電の稼働が低下する、あるいは稼働しない夕方以降に移ってしまうので、ピーク需要の削減効果は消滅する。実際、図4の試算では、自然変動電源のシェアが10%となった段階で、既に残余需要のピークは夕方以降に移っているので、これ以上自然変動電源を増加させても、残余需要のピークは変わらない注14)

 つまり、自然変動電源を大量に導入しても、自然変動電源が発電しないときへの備えとして、従来型電源は維持される必要がある。設備量が維持される必要があるのに、これら設備に割り当てられる需要が減少するから、設備の利用率は当然に低下する。設備利用率が低下するということは、製品であるkWhが売れる機会、すなわち収益の機会が減るということである。

 以上をまとめると、FIT電気の大量導入は、火力発電をはじめとする従来型電源が固定費を回収するために十分な収益を得ることを困難にし、ミッシングマネー問題を発生させる。そのメカニズムは;

kWh市場の価格について、固定費を考慮しない限界費用による価格形成を促すこと
メリットオーダー効果
により、従来型電源のkWhの売値を引き下げるとともに、
設備利用率を低下させること
により、従来型電源がkWhを売る機会を減少させることによる。

注12)
電力需要を、発生時刻に関係なく、大きい順に並べ直した右下がりの曲線。持続曲線ともいう。
注13)
自然変動電源の発電パターンを10%から40%まで10%刻みで作成し、2013年度における東京電力エリアの1年8760時間分の実績電力需要のパターンから差し引き、大きい順に並べ直した。もともとの電力需要に現時点で家庭等に設置している太陽光発電の発電電力量がマイナスの需要として織り込まれているので、厳密な意味での残余需要ではないが、在来型電源への影響を考察するには、これでも十分である。仮定している自然変動電源は、太陽光:風力=98:2の割合である(東京電力エリアの実情に合わせた)。なお、政府が2015年7月に閣議決定した長期エネルギー需給見通しでも、2030年度における自然変動電源のシェアは8.7%である。したがって、この試算は当面は想定されない極端な例であるが、デュレーションカーブの変化のイメージをつかみやすくする観点からあえて作成したものである。
注14)
発生する季節は冬の場合も夏の場合もある。図4の試算では、年間の最大需要の発生日は2月であり、その日を除いた最大発生日は8月になった。
<参考文献>
 
IEA(2014) , “The Power of Transformation(NEDOによる和訳)

執筆:東京電力株式会社 経営技術戦略研究所 経営戦略調査室長 戸田 直樹

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