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米国の再生可能エネルギー政策(5)~風力発電の新時代2「洋上風力」


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授


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(前回は、「米国の再生可能エネルギー政策(4)~風力発電の新時代」をご覧ください)

 米国はこれまで陸上風力発電の開発を進める一方、洋上風力発電については、欧州諸国に比べると出遅れていた。その理由としては、洋上は陸上に比べて設置コスト等が高く、グリッドの接続の問題や海洋の生態系への影響などが背景としてあった。しかし、米国における洋上風力のポテンシャル発電量は4000GW以上とも言われ、これは米国内の総発電電力量の4倍にも相当する。洋上風力産業は2030年には最大20万人の雇用を創出し、年間700億ドル以上の投資を呼び込む可能性があるとする政府関係機関の報告もある。オバマ政権になってから、世界水準の洋上風力発電の開発を目指し推進政策が続けられている。

 米エネルギー省(DOE)は2011年以降、2億2,700万ドル超を洋上風力発電実証の技術開発、市場開拓、先進技術デモンストレーションの分野に資金援助を行ってきた。2012年12月には、7件の洋上風力発電実証プロジェクトにそれぞれ400万ドルの資金援助を行い、各プロジェクトにおいて設計やエンジニアリング、運用、系統接続などの技術的課題の克服、認可手続きの簡略化などの実証を行った(第1フェーズ完了)。
 DOEは、2014年5月、この7件のうちの3件の先進的洋上風力発電プロジェクトにそれぞれ4670万ドルの資金投入することを公表し、2017年までに系統連系し商用的に運用することを期待している。選ばれた3プロジェクトは、バージニア州、ニュージャージー州、オレゴン州の沖合で実施され、ねじれジャケット構造の基礎、セミサブ型(半没水型)浮体式風力発電などの設計や、ハリケーンなど気象条件に耐える強度などの実証が行われる予定である。

(1)
バージニア先進的洋上風力発電プロジェクト(バージニア州)
 6MWのダイレクトドライブ型風力タービン2基をバージニアビーチから26マイル離れた沖合に設置する。米国産のねじれジャケット構造の基礎は、沖合でハリケーンなどにも耐えられるデザインとなっており、安全性および経済性が高いものとなっている。沿岸から距離が離れた沖合における風力発電のより良い運用管理方法などについて実証を進める。

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(DOEホームページより)バージニア先進的洋上風力発電プロジェクト

  • 開発地点:バージニア州沖
  • 事業者:ドミニオン・バージニアパワー社
  • 風力発電設備:ギアレス6MW×2台、ジャケット式基礎
(2)
フィッシャーマンズ洋上風力発電プロジェクト(ニュージャージー州)
 フィッシャーマンズ・エナジー社によるプロジェクトでは、アトランティックシティ沖に6つの風力タービン(20MW)を建設する計画である。フィッシャーマンズ・エナジー・アトランティックシティ風力発電所は、これまでに建設された洋上風力所と比べると、製造および設置をより容易にできるタイプのもので、洋上風力発電のコスト低減に貢献することが期待されている。コスト低減のための技術開発とともに、沖合における環境影響について調査する。

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(DOEホームページ)フィッシャーマンズ・プロジェクト

  • 開発地点:ニュージャージー州アトランティックシティ沖
  • 事業者:フィッシャーマンズ・エナジー社
  • 風力発電設備:XEMCギアレス5MW×5台、ジャケット式基礎
(3)
プリンシプル・パワー浮体式風力発電実証プロジェクト(オレゴン州)
 デベロッパーのプリンシプル・パワー社が、オレゴン州沖合で進める30MWの洋上風力発電プロジェクトは、 国内で開発した6MW の風力タービンを搭載した浮体式プラットフォーム 5 台をアンカーチェーンで海底に固定し、沖合に設置するものである。現在、米国内で進行中の洋上風力発電のほとんどは着床式で、米国初の西海岸における浮体式洋上風力発電となる。今回のプロジェクトでは、浮体式のコスト低減に向けた実証研究を行う。プリンシパル・パワー社は、2012 年 4 月にポルトガル沖合において浮体式風力発電の試運転を行っている。

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(DOEホームページ)船に運ばれるセミサブ型浮体

  • 開発地点:オレゴン州沖合
  • 事業者:プリンシパル・パワー社
  • 風力発電設備:Siemensギアレス6MW×5台、セミサブ型浮体式

 オバマ政権は、洋上風力発電プロジェクトの推進により、エネルギー確保のセキュリティ面や低炭素社会への貢献とともに、風力関連産業への波及効果や雇用拡大の面でも貢献できると大きな期待を寄せている。

◎次回は、「米国の再生可能エネルギー政策(6)~風力発電の新時代3~クリーンパワープランで最も経済性が高い評価、2050年の展望」です。

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