2013年10月のアーカイブ

  • 2013/10/31

    私的京都議定書始末記(その21)
    -AWG-KPとはどんな場か(1)-

     これから数回にわたって私が首席交渉官を務めたAWG-KPについて書いてみたい。2008年12月のCOP14から2011年4月まで、12回の会合に出席し、私の在任期間中のほぼ全期間はAWG-KPとの格闘に費やされたからである。 続きを読む

  • 2013/10/29

    再エネ実践講座
    ~大規模太陽光発電(メガソーラー)事業の展望

     7日(月)から冬学期が始まり、初回の講義では、環境エネルギー問題の総論の解説と授業のガイダンスを行いましたが、いよいよ2週目からはテーマ別に授業を行っていきます。15日(火)、全学自由研究ゼミナール『再生可能エネルギー実践講座』は、大規模太陽光発電(メガソーラー)事業がテーマです。 続きを読む

  • 2013/10/28

    PM2.5は、何でできてるの?

     前回はPM2.5がどうやって発生するかを一次粒子、二次粒子という分類と共にお話させていただきました。今回はその中でも、PMの成分割合、ならびにPMの構成要素として大きな割合を占めると考えられる二次粒子について、その成分、生成メカニズムについてお話しさせていただきたいと思います。図1は、PM2.5粒子中の化学組成とその成り立ちを示す概念図です。PM2.5は元素状炭素(EC)を始め、Na、Ca、K等成分の一次粒子および二次粒子から構成されています。 続きを読む

  • 2013/10/25

    オバマ政権の環境・エネルギー政策(その9)
    天然ガス価格に連動する電気料金

     米国の発電構成は石炭、天然ガス、原子力、水力および再生可能エネルギー等から成り立っている。すでに述べたように天然ガスは発電構成上シェアを増大している。他方、石炭・原子力についてはブッシュ前大統領時代とオバマ政権発足後ではエネルギー政策上その重みづけが異なってきている。石炭、原子力、再生可能エネルギーに対するオバマ政権の取組みと今後を考えてみたい。 続きを読む

  • 2013/10/24

    福島第一原発汚染水漏れ対策について
    安倍首相の言う「コントロールされた状況」をつくるには

     いま、福島第一原発の汚染水漏れが大きな注目を集めている。ことの発端は、原発敷地内汚染水貯留用地上タンクからの水漏れ事故であったが、その後、地下タンクからの水漏れも発見、さらに7月には、汚染された地下水が海に流出していることが判明、これが国際問題にまで発展した。この問題が、東京へのオリンピックの誘致に影響することを恐れた安倍首相は、開催地を決めるIOC総会の場で、この福島第一原発の汚染水漏れの問題について「状況はコントロールされている」、「汚染水は原発敷地港湾内0.3 (km)2 の範囲内で完全にブロックされている」と発表した。 続きを読む

  • 2013/10/22

    私的京都議定書始末記(その20)
    -本格交渉開始の前哨戦-

    米国新政権へのアプローチ

     2009年の年が明けた。その年から、新年には靖国神社にお参りに行くようになった。国際交渉は「武器を使わない戦争」のようなものであり、国のために戦うという点では、戦場にあるか否かを問わないと思っていたからである。2009年に交渉を妥結するというのがバリ行動計画で与えられたミッションであり、2009年を通して熾烈な外交戦が予想された。 続きを読む

  • 2013/10/21

    冬学期が始まりました!

     10月7日から東京大学教養学部の冬学期がスタートしました。環境エネルギー科学特別部門は教養学部附属教養教育高度化機構に所属し、2013年度に創設された部門です。2007年度~12年度に開講されたNEDO新環境エネルギー科学創成特別部門が前身ですが、その流れをくみながら、新たな教育活動を展開していく予定です。
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  • 2013/10/17

    どこで、どのように? PM2.5はこんな風に生まれる。

     今回、第4回ではPMの発生・除去といった過程と一次粒子、二次粒子についてお話ししたいと思います。
     大気中に放出された粒子は気流によって移流、拡散され、その過程で成長、反応し変質します。これらの一部は近年中国から日本への移流の影響が話題となっているように長距離を移流するものも存在します。そして粒子は霧や雨に取り込まれ、あるいはそのまま沈降して大気から除去されます(図1)。 続きを読む

  • 2013/10/16

    オバマ政権の環境・エネルギー政策(その8)
    LNG輸出を巡るワシントン政治

     地域によってはLNG輸出に懸念をもつところもある。ワシントンとエネルギー省だけをみていたらそのことを見逃す。この点注意を要する。
     環境面から地元の懸念を代表するのはエドワード・マーキー下院議員(民主党マサチューセッツ州選挙区)とロン・ワイデン上院議員(民主党オレゴン州)である。この両議員はLNG輸出の一時棚上げを主張している。ワイデン上院議員は上院エネルギー・天然資源委員会委員長である。 続きを読む

  • 2013/10/15

    炭素繊維強化熱可塑性プラスチックス

     NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が9月3日に発表したプレスレリースを読んだ時の刺激と興奮は大きかった。その内容は、東京大学や炭素繊維メーカー、樹脂メーカー、炭素樹脂メーカーが協力して、加熱すると成型しやすくなる熱可塑性樹脂を用いた、全く新しい「炭素繊維強化熱可塑性プラスチックス(CFRTP)」の開発に成功したというものだった。 続きを読む

  • 2013/10/11

    低炭素社会実行計画(石油連盟)

    1.石油業界の現状

     石油業界はエネルギー転換部門として、国民生活や産業活動の基礎物資であるガソリン・灯油などの石油製品を、気候や景気等により変動する需要に応じて、安定供給に努めています。しかしながら、現在、石油各社は、国内石油需要の急激な減少(ピーク時1999年度から10年で約2割減少)による製油所の設備稼働率の低迷や国際競争に晒され、厳しい経営環境に直面しています。 続きを読む

  • 2013/10/10

    私的京都議定書始末記(その19)
    -COP14(ポズナン)-

    AWG-KPの首席交渉官に

     アクラのAWGが終わると、12月1-12日にポーランドのポズナンで開催されるCOP14まであとわずかであった。ある日、岡本地球環境対策室補佐が「相談がある」と私の部屋にやってきた。COP13以後、AWG-LCA、AWG-KPの2トラックで交渉が行われてきたことは既に書いたとおりであり、私はそれまでAWG-LCAを担当してきたが、COP14からAWG-KPを担当してもらえないかという。AWG-LCAは米国、中国も含む全ての主要排出国が参加する枠組みを交渉する新たな場であり、否が応でも関心が高かった。 続きを読む

  • 2013/10/09

    電力料金値上げの影響は、一か月あたりコーヒー一杯程度なのか?

     9月1日に北海道電力と東北電力の電力料金値上げが実施された。これで、昨年からの一連の電力値上げ申請に基づく料金値上げが全て出そろったことになる。下表にまとめて示すが、認可された値上げ率は各電力会社の原発比率等の差により、家庭等が対象の規制部門で6.23%から9.75%の範囲に、また、工場やオフィスビルを対象とする自由化部門で11.0%から17.26%である。規制部門である家庭野負担居ついては、各社から、標準的世帯当たりの料金として、一か月当たり224~457円の増加、との試算結果が示されている。 続きを読む

  • 2013/10/08

    オバマ政権の環境・エネルギー政策(その7)
    シェールガス革命を取り巻く政治情勢

     シェールガスの生産拡大についてはこれまで随時述べてきたが、何といってもその直接意味するところは電源ミックスにおけるシェアを増大したことである。2012年4月には米国史上初めて天然ガスが発電の32%に達し、石炭火力による発電とほぼ同等になった。このことは国内の環境規制、他のガス生産国への影響、同じ頁岩層から採取されるタイトオイルの増産によるエネルギー自給政策などさまざまな意義をもっており、その増産の可能性は、「成長の限界」への挑戦ととらえる議論もみられる。 続きを読む

  • 2013/10/07

    電力システム改革は原子力問題を複雑化させる

    (「ダイヤモンド・オンライン」からの転載)

    これまでの電力システムと原子力行政

     これまで、一般電気事業者には電気事業法によって供給義務が課せられてきた。したがって、一般電気事業者はピーク時にも停電を生じさせないよう、適切な予備力を有していなければならない。 続きを読む

  • 2013/10/04

    エネルギー政策の混迷をもたらしている地球温暖化対策

    地球温暖化防止に全く機能しない京都議定書方式

     20 世紀末の地球大気中の温度上昇が、文明活動の排出する膨大な量のCO2 などの温暖化効果ガス(以下CO2 と略記する)の大気中濃度の増加に起因すると主張するIPCC(気候変動に関する政府間パネル、国連の下部機構)による科学の仮説、いわゆる「地球温暖化のCO2原因説」に基づいて、世界各国のCO2排出削減量を割当てた京都議定書の約束期間が終わって、いま、温暖化対策の新しい枠組みを決めるポスト京都議定書のための国際間交渉が難航している。 続きを読む

  • 2013/10/01

    私的京都議定書始末記(その18)
    -アクラ気候変動交渉に再登板-

    気候変動交渉チーム

     2008年7月、洞爺湖サミット直後の人事異動で産業技術環境局審議官に就任した。このポストは地球温暖化国際交渉のみならず、国内の温暖化対策、リサイクル問題、環境アセスメント等を含む広義の環境問題もカバーする。事実、私の前任のポートフォリオの中で国際交渉の占める位置づけは2-3割だったと思う。しかし、私が就任した際のミッションは「主に国際交渉に専念せよ」ということであった。 続きを読む