石炭・木質系バイオ混焼焚が日本を救う!

-外貨流出防止と森の再生の道-


エネルギーシンクタンク株式会社 代表


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 昨年度の貿易収支は約7兆円の赤字である。円安の影響で化石燃料の輸入代金拡大により当面貿易収支は構造的赤字体質に陥った。一方補助金漬けの太陽光発電の大量導入により電気料金は今後益々上げざるを得ない。この構造的問題を緩和、解決する方策はないのか。

未利用木質系資源(木質系バイオマス)の活用

 間伐材など未利用木質系資源(木質系バイオマス:BFと略す)の利用は既に0.5~1万KWe級の小型発電所が会津、白川、日田などで稼働中であり、また地方自治体、大手企業などが現在計画中の所もあり、小型バイオマス発電所が今後100基程度(年間約80億KWh)の導入が期待される。再生可能エネルギーとしてのみでなく、エネルギーの地産・地消型でありBF燃料は5000KW級で年間約6万㌧、雇用は約70名程度が見込まれ地域活性化への貢献が期待される。
 これに加えて石炭・木質系バイオ混焼焚は従来の石炭火力に石炭と共に木質系バイオマスを活用する方法である。既に電力会社では1700万KWeの発電所で実施若しくは具体的に計画されている。しかしこれらのバイオ混焼率は3%程度で且輸入バイオチップが70%を占める。石炭火力は天然ガス発電所に比較してCO2排出量が多く温暖化対策から従来嫌われてきた。しかしBF混焼率を3%から30%に上げるとCO2排出量を800g/KWhから560 g/KWhへ低下させる事が出来、CO2排出量は天然ガス並みが可能である。これにより高いLNGの輸入を削減できる。
 石炭火力は電力会社以外にもIPPなどで600万KWe以上あり電力会社所有の半分程度と合せると合計1450万KWe程度の規模になる。年間稼働率を75%程度と仮定すると総発電量は約1000億KWhでこの内30%がバイオマス発電となれば約300億KWhの相当する。日本の年間総電力需要は今後とも約1兆KWhと見込まれ、小型専焼発電と石炭バイオ混焼焚発電あわせるとバイオマス発電が約4%を占める。
 従来日本の林業は生産効率が悪く経済性の課題を指摘されてきた。しかし既に幾つかの森林組合では8㎥/人日(従来平均値は3㎥/人日)を達成している。今後タワーヤーダ―、開発中の遠隔操作のチェーンソーの利用などにより16~20 ㎥/人日程度までは可能との見方がある注1)
 合計約400億KWhの発電には木質系バイオマスは総量約4100万㌧が必要である。現在供給可能なバイオ燃料は1000万㌧(2000万㎥)程度と言われているが、全て未利用材を燃料として利用方法が実証されており量的には2倍程度は増加可能である。更に現在放置されている森林を再生させれば、更なる2倍は可能な範囲と思われる。またいきなり3%から30%迄増加させることは発電プラントの効率維持の点からも、供給体制の整備(山元からの流通システム)の点からも現実的でなく10~20年かけて利用範囲の拡大を図るほうが適切であろう。これにより排出CO2は年間約1000万㌧削減が可能と見込まれる。

経済効果

 約400億KWhの電力生産には太陽光発電では約3200万KW eの設備が必要で、投資金額は安目(3KWeで100万円)に見積もっても約10兆円に上る。この投資のうち太陽光パネルは大半が中国製など輸入になり結果的に国富の流失を招く(投資額33万円/KWeのうちパネル代を半分程度と仮定すれば約5兆円)。また石炭の輸入削減は年間1750万㌧で、約1500億円が削減される。石炭・バイオ混焼焚の発電単価はバイオチップの値段が石炭より高い為高くなるが割合が30%のため、燃料費のコストアップは3円/KWh(バイオ燃料費1万円/㌧)と見込まれる。総コストアップ分は年間1400億円程度に留まり20年間でも約3兆円程度に過ぎない。なお現在の再生可能電力買い取り制では25.2円/KWh(一般材)、33.6/KWh(未利用材)であり実質的補助金が有効なうちに投資による規模拡大とコスト低減を果たすことが望まれる。
 国内産のバイオは年間4000万㌧の燃料供給で約2000~4000億円の産出額増加が見込まれ、加えて国産木材の競争力も高まり現在の1700万㎥から2800万㎥程度に拡大し、産出額も1000~2000億円増加すると期待される。キノコ等2000億円と併せ合計1兆円規模の産出額が控えめに見ても期待される。林業事業は年率にして3~4%の成長である。加えて雇用効果も大きく現在(07年データ)の6万人に加え、BF生産には6万㌧当たり約70人で約4000万㌧では4.5万人となるが、今後の生産効率向上を考えると約2万人程度の増加が見込まれる注2)。特に林業就業者の平均年齢は60歳を越えており、若者の働きがいのある職場は地域活性化にも貢献、更に機械化により女性の活躍の場も拡がる。 

当面の課題

当面の課題は次の4点である。

ⅰ.
生産コストの引き下のためには上記に記した様に機械化の導入推進が必要である。
ⅱ.
従来森林の再生が謳われてきたが安定した需要が確保されないため投資も進まず,それによるコスト高の悪循環を来たした。解決には木質系バイオマスの大規模・長期安定的需要を確保が要で、IPP等含めた電力事業者とバイオ事業者の連携が必要である。
ⅲ.
山林所有者は小口(100ha以下の所有者が面積の40%程度)が多く経営規模が小さ過ぎる点は予てよりの課題であるが、小口所有者には現物出資してもらい経営規模として1000ha以上に拡大する。
ⅳ.
この為の制度の整備、地方自治体で意欲ある課長・担当者と志の高い責任ある民間・森林組合の経営者育成制度を確立する。

注1)世界の林業(欧米諸国の私有林経営)(社)日本林業経営者協議会 2010-3-31
注2)農林金融2012.10 木質バイオマス発電の特性・特徴と課題、
   森林技術 2013-3月号 852号
   「地域林業の活性化と木質バイオマスエネルギーによる震災復興」仁多見俊夫東大准教授

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