日本の地域連系が弱いのは電力会社の陰謀か


Policy study group for electric power industry reform


 日本の電力系統の特徴にまず挙げられるのは、欧州の国際連系が「メッシュ状」であるのに対し、北海道から九州の電力系統があたかも団子をくし刺ししたように見える「くし形」に連系していることである。
 「メッシュ状」系統は、各部の「流れやすさ」に応じて電気が勝手に流れるため、いったん事故が起きると連鎖的に事故が拡大して広域停電が起きやすい一方、「くし形」系統は、電気の流れを監視・制御しやすいため広域停電が起きにくいことがメリットといわれる。他方、欧州では国際的な電気取引が活発で、それが風力や太陽光などの再生可能エネルギーの普及に好影響があったとして、特に震災後においては、「くし形」系統を構築してきたのは、電力会社間の競争と、再生可能エネルギー普及による販売電力量の減少を嫌った電力会社の陰謀だ、といった批判がある。

(図1)日本と欧州の系統構成

「くし形」系統の経緯

 日本が「くし形」系統になっているのは、次の2つの理由による。

(1)日本の国土が縦長であること。
(2)水資源は全国にほぼまんべんなく存在するが、化石燃料、原子燃料の大半を海外からの輸入に依存していること。

 そもそも(1)の理由により、隣接する地域以外との連系は著しく困難であり、隣接地域との連系を2点、3点と増やしていっても「縦長」の形態にならざるを得ない。また、(2)の理由により各地域でそれぞれに需給をバランスさせることが比較的容易であったことから、戦後に各電力会社の地域割りがなされた。そうしてできた地域毎の電力会社は、発電所とネットワークからなる強固な電力系統を構築する一方で、他地域には補完的な役割を期待することとなった。その結果、隣接地域とは1点、ないしは2,3点で連系されるにとどまり、日本の電力系統は、「各電力会社内の系統は密、隣接会社間の連系は疎」の「くし形」系統となっているのである。

 震災以降、エネルギーの地産地消がよくいわれるが、これまでは各社がそれぞれに地産地消をはかってきたのであり、その結果として現状、必要最低限の地域間連系線しか存在しないことは、これまでの電力システムの構造のなかでもっとも効率的な投資行動を行ってきた結果だといえる。


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