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震災を機に評価高まる都市ガスの可能性[前編]

発電と熱利用で安定的なエネルギー需給に貢献へ


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授


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再生可能エネルギーとの親和性の高さを生かす使い方を

――排熱を有効利用でき、また発電効率も非常に高いコジェネレーション対する関心が高まっています。

池島:今の大規模な発電所はエネルギーの50%以上を熱として捨てているうえ、遠くの需要地まで電気を運んでいます。そのためのメガストラクチャーとしての系統システムがきちっと出来上がっておりますが、エネルギーをもっと有効に使うためには、需要家に近いところで発電をしながら、発生した熱も有効に利用するという考え方が大切で、少しずつでも広げていくべきだと思います。
 分散型のシステムと電力会社が持つメガストラクチャーがうまくミックスするあり方が、今後の日本のエネルギーとなるべきでしょう。その核になるのがコジェネレーションです。エネルギーの総合効率を少しでも高めていくことが必要だと思います。天然ガスの主成分であるメタンは、発電ができる、エンジンを回せるだけでなく、水素も取り出しやすい、非常にいい特性を持ったエネルギーです。40℃のお風呂のお湯をわかすということだけに使うのはもったいない。空調や給湯には発電時に発生した排熱を利用するなど、エネルギーを有効に使う努力を随所でできるようにしたいと思います。
 日本では、発電電力に占めるコジェネレーションの割合は3%程度です。ところが、デンマークは40%、オランダは30%を超えており、EU(欧州連合)全体でも10%を超えています。韓国も同様に10%以上です。日本でもできる限り排熱を上手く使えるようにしないといけない。そのため、政策的な要望に加え、私ども都市ガス事業者も努力していく必要があると思います。
――再生可能エネルギー全量買取制度が来年7月1日に始まります。分散型電源という意味では、コジェネレーションは再生可能エネルギーとの親和性が高いのではないでしょうか。

池島:コジェネレーションだけでなく、天然ガスそのものが再生可能エネルギーとの親和性が高いと思います。たとえば太陽熱とガス空調や給湯を結びつけるソーラーリンクシステムが活用できます。また、天然ガスを利用することで、バイオマスから作ったガスの安定性を補完することもできるでしょう。また、再生可能エネルギーによる発電出力の安定化に貢献できるスマート・コジェネにも、大きな期待があります。
 風力や太陽光などの再生可能エネルギーは積極的に利用していけばいいと思いますが、不安定な電源である再生可能エネルギーだけで日本の基幹エネルギーは賄えません。今後は全国の大きな電力系統を頭に置きながら、重層構造の中でエネルギーの使い方を考えていくべきと思います。再生可能エネルギーのよさをより生かすためにも、天然ガスがお役に立てる部分は大きいと思います。
(後編に続く)

グラフ
2007年時点でデンマークではコジェネレーションの導入率が40%超に達する。EU全体でも導入率は10%を超える(各国のコジェネレーションの資料より作成)

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