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再生可能エネルギーは原発を代替できるか


国際環境経済研究所主席研究員、JFEスチール技術企画部理事 地球環境グループリーダー


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福島第一原発より、ドイツの太陽光の発電量は多いのか

 震災と原発事故による深刻な電力供給不足を受け、菅首相が再生可能エネルギーによる代替を示唆する発言をしたり、一部の環境NGO(非政府組織)などが太陽光発電や風力発電など自然エネルギーによる原発代替の可能性について試算を発表したりという動きがでている。しかし、そうした再生可能エネルギーによる原発代替論には、現実的な数字に基づいた定量的な分析が欠けている。

 ここで参考になるのが、3月23日に米ブレークスルー研究所が発表したドイツの太陽光発電との対比分析である。以下その概要を紹介する。

「Doing the Math: Comparing Germanu’s Solar Industry to Japan’s Fukushima Reactors」
(2011年3月23日)
要旨紹介
福島の原発事故を受け、ドイツのGrist誌が、「ドイツの太陽光発電は福島第一原発より多くの発電を行っている」との記事を掲載し、太陽光発電が原発を代替しうるとの示唆をもたらすものとして広く読まれているという。しかし、ブレークスルー研究所が詳細を再計算したところ、実際には過去20年間にわたり860億ドル(約7兆円)の費用を投じて設置されてきたドイツの太陽光発電は、総動員しても福島第一原発が2010年に発電した発電量のおよそ半分しか供給できないことがわかった。

Grist誌の主張は、「ドイツの太陽光発電能力は12.1GW(ギガワット)であり、福島第一の原子炉6基10GWより大きい」というものであるが、これには2つの誤りがある。まず福島第一の発電能力は実際には4.5GWであり、福島第二とあわせても8.8GWしかない(註:東電公式ホームページ資料では福島第一が4.7GW、第二が4.4GWで合計9.1GWと若干異なっている)。これは、ドイツの太陽光発電容量は福島第一原発三つ分あることを意味するのだろうか? 否である。

Grist誌が指摘する12.1GWはドイツの太陽光発電のピーク発電量であり、発電電力量ではない。ブレークスルー研究所の再計算では、2010年のドイツの実際の太陽光発電容量は17.3GWとGrist誌の12.1GWより大きいが、実際の年間稼働率は9.5%しかないと見積もられている。通常太陽光発電の実効効率は15%程度あるとされているが、ドイツの場合、緯度が高く冬場の太陽照射が少ないため9.5%と低い値になっている。この実効効率を使ってドイツの太陽光発電の年間発電電力量を推計すると1万4397GW時(144億kWh)となる。一方発電能力4.5GWの福島第一原発の年間発電電力量は、2万9221GW時(292億kW時)にのぼる(註:原発は24時間稼働し、点検休止を含めても年間平均稼働率は70%を超えるため)。つまり福島第一原発は、20年間にわたり少なく見積もっても総額860億ドルをかけて(太陽光発電設備コストを5ドル/ワットと仮定)設置されたドイツの太陽光発電の2倍の電力を供給しているということである。