日本がリードするプラントの効率算定方法標準化


国際環境経済研究所主席研究員


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 製鉄所をはじめとしたプラントの効率を測ることは、そのこと自体は単純なものである。システムバウンダリー(システム境界)を決めて、その境界を出入りするエネルギーや物質の量を計上し、それぞれの物質に見合った換算係数をかける。そこで得られた数値を足せば総量であり、総量を生産量などで割れば原単位となる。

 しかし、システムバウンダリーの決め方や換算方法が異なれば、まったく同じプラントを対象にしても、無数の「効率値」が得られることになってしまう。そして実際には、各国ごとだけでなく、同じ国のなかでも、プラントの効率を測るための複数の算定方法が存在している。

 鉄鋼業の場合、より広い範囲でお互いの効率を比較することによって自らの位置付けを知ることが効率改善に有効である。そこで、日本の鉄鋼業界がリードして、共通の効率算定方法の構築を進めてきた。クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)での成功を基に世界鉄鋼協会(ワールドスチールアソシエーション)でも算定方法を確立し、データ収集を行ってきた。そして日本が提案者となって、世界鉄鋼協会の効率算定方法をISO規格化する作業がスタートしている。

 APPや世界鉄鋼協会のときもそうであったが、ISO規格化にあたっては各国・地域の事情がより色濃く出てくるため、なかなかタフな仕事となる。特にEU ETS(欧州連合域内排出量取引制度)を抱えている欧州とは、今後もハードな交渉が続くことは避けがたい状況である。しかし、生産技術・製品特性とともに、技術に裏付けされた日本の効率算定方法は、世界に貢献できることは間違いない。もちろん、国際化のなかでカラー道着が採用された柔道のように、日本の効率算定方法もある程度の修正が必要になるかもしれないが。

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