サーキュラーパートナーズ(CPs)の現時点と今後
~経済産業省GXグループ資源循環経済課・三牧純一郎課長に聞く~ 本誌編集部
三牧 純一郎
経済産業省GXグループ資源循環経済課長
(「産業環境管理協会「環境管理」2026年3月号 vol.62 No.3」より転載
サーキュラーパートナーズ(CPs)は、サーキュラーエコノミーの実現を目指し、産官学の連携促進を目的として経済産業省が立ち上げたプラットフォームである。本稿では、CPs設立の背景や参加状況、関連する制度・政策との関係、今後の方向性について、経済産業省GXグループ資源循環経済課の三牧純一郎課長にお話を聞いた。CPsに関心をもたれた読者の方は、ぜひ末尾に示す公式ウェブサイトを参照されたい。
編集部(以下――):本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございます。まず、CPsとはどのような枠組みなのか、設立の経緯と活動目的を簡単に教えてください。
三牧純一郎・経済産業省GXグループ資源循環経済課長(以下、三牧):

当省では、2023年3月に「成長志向型の資源自律経済戦略」を公表しました。この戦略に基づき、産業界、政府、自治体、大学・研究機関などが連携し、持続可能な資源循環社会の実現を図るための協力プラットフォームとして、サーキュラーパートナーズ(CPs)を設立しました。
個別の企業や単独の主体だけでは実現が難しい循環経済の課題について、産官学が共創し、検討・実装につなげていくことが、CPsの基本的な目的です。
――現時点でのCPsの参加状況はいかがでしょうか。
三牧:2023年9月に初めて会員募集を行い、同年12月の第1回総会の時点では約300会員でした。その後、参加は着実に拡大し、2026年1月末時点で800会員を超える参加を得ています。現在も増加傾向が続いています(図1)。
――非常に活発な動きですね。CPsの活動は、法令や予算とどのように関係しているのでしょうか。
三牧:CPs自体は、政策の一環ではありますが、あくまで参加者による自主的な活動を基本としています。一方で、その取組を後押しするため、関連する予算措置も講じています。
例えば、「産官学連携による自律型資源循環システム強靭化促進事業」は、個別企業を対象とした補助事業で、プラント建設費や技術開発に係る費用などを支援しています。この事業に応募するためには、CPs会員であることが要件となっています。
また、CPsの運営事務局に関しては、「資源自律経済確立に向けた産官学連携加速化事業」を措置しており、こちらは毎年度、公募により事務局を選定しています。
――少し話題を広げます。2025年には「再資源化事業等高度化法(高度化法)」が施行され、静脈産業に大きな変化が見られます。また、2026年4月には改正資源有効利用促進法が施行されます。これらの制度を通じて、社会全体の資源循環をどのように方向づけようとしているのでしょうか。
三牧:高度化法は当省の所管ではありませんが、従来の廃棄物処理を中心とした静脈産業の枠組みに加え、再生材として活用可能なものは積極的にリサイクルする方向性を強化するものと理解しています。
一方、改正資源有効利用促進法(2025年6月4日公布、2026年4月1日施行)は、主にユーザー企業側に対し、再生材の利用を促進することを目的としています。これまで循環が比較的確立していた鉄、アルミニウム、銅に加え、プラスチックなどについても、資源循環を本格的に進めていきたい考えです。
再生材の利用については、いわば「ニワトリと卵」の関係があります。品質の高い再生プラスチックが安定的に供給されなければ利用は進みませんし、需要がなければ再生材製造設備への投資も進みません。需要と供給の双方を同時に拡大し、好循環を生み出すことが重要だと考えています。
欧州ではELV規則などの動きもあり、こうした国際動向も踏まえつつ、日本としての循環経済の在り方を検討していく必要があります。
――現在は2026年ですが、循環経済に関して2030年、2050年といった長期目標を見据えたとき、CPsの活動は、いつまでに、どのようなことを達成することを想定しているのでしょうか。
三牧:CPsには大きく分けていくつかの機能があります。第一は、民間プレーヤー同士の「パートナー探し」の場であることです。参加者が増えるほど、マッチング効果は高まります。
第二は、業界ごとの共通課題を抽出し、競争ではなく協調して取り組む「協調領域」を形成することです。例えば、PETボトルの仕様統一などが典型例です。
ロードマップについては、業界ごとの課題整理という側面に加え、国の政策との整合性を確保する役割もあります。
重要なのは、企業にとってのメリットをどう設計するかです。排出量取引制度(ETS)などを通じ、「取り組まない場合にコストが生じる仕組み」を設けるという考え方もありますが、CPsとしては、官民連携により現場感とスピード感をもって、自主的により良い形をつくっていくことを重視しています。
現時点でも、業界を超えた連携が実際に動き始めています。当省としても、CPsは政策実装の観点から有効な枠組みだと考えています。GXの取組が、結果として日本全体の競争力向上につながる成果を生み出すことを目指していきます。
――CPsの組織の立て付けは、どのようになっているのでしょうか。
三牧:CPsは、運営事務局、運営委員会、そして複数のワーキンググループ(WG)から構成されています(表1)。
| 名称 | 活動内容 | 座長 |
|---|---|---|
| ビジョン・ロードマップ検討WG | 2030年・2050年を見据え、日本全体のサーキュラーエコノミー実現に向けたビジョンおよび中長期ロードマップの策定 | 細田衛士 教授(東海大学) |
| サーキュラーエコノミー情報流通 プラットフォーム構築WG |
製品・素材情報や循環実態の可視化を目的とし、データ流通を促進する「サーキュラーエコノミー情報流通プラットフォーム」の構築を検討 | 梅田靖 教授(東京大学) |
| 地域循環モデル構築WG | 地域特性に応じた循環経済モデル(循環産業の立地、広域資源循環ネットワーク等)の構築を検討 | 野田由美子 会長(ヴェオリア・ジャパン合同会社) |
| 国際連携・標準化WG | 国際的な政策動向等の情報発信、国際連携案件の創出、競争力強化につながる国際標準化に向けた戦略を検討 | 市川芳明 特任教授(信州大学) |
表1 サーキュラパートナーズのワーキンググループ4
これまで主に活動してきたのは、ビジョン・ロードマップ検討WG、サーキュラーエコノミー情報流通プラットフォーム構築WG、地域循環モデル構築WGの三つです。各WGは、この3年間で概ね5~6回程度開催してきました。
今般新たに、「国際連携・標準化WG」を設置しました。国際動向や標準化への対応を強化する狙いです。
CPsのこれまでの成果、課題、今後
――CPsは立ち上げから間もなく3年になります。この間の主な成果を教えてください。また、社会実装という観点で、具体的な進展はありますか。

三牧:官民で循環経済に取り組む機運は、確実に高まってきています。ビジョン・ロードマップ検討WGの下には、領域別WGが設置され、現在、鉄鋼、プラスチック容器包装、清涼飲料用のPETボトル循環、電機・電子製品領域、建設、アルミニウム、自動車の複数分野で議論が進んでいます。
一方で、企業同士の自発的なマッチングについては、今後さらにテコ入れが必要だと考えています。
――その理由は何でしょうか。
三牧:取組がまだ現場の末端まで十分に浸透していないためです。省エネルギー分野には省エネ診断士がいますが、資源循環プロジェクトを支援できる人材は、商工会などを含め、まだ不足しています。自治体の参加も十分とは言えません。環境省が実施している自治体フォーラムとの連携を通じ、裾野の拡大を期待しています。
――情報流通の取組状況はいかがでしょうか。
三牧:例えば、自動車用蓄電池については、すでにトレーサビリティ管理システムが社会実装されています。一方、製品含有化学物質のトレーサビリティ管理システム(CMP)については、2026年にシステム構築を完了し、実証を予定しています。現状は動脈側(製造・流通段階)の情報流通が中心で、将来的には静脈側(回収・リサイクル段階)の情報流通が大きな課題になります。
――地域循環モデルについてはいかがでしょうか。
三牧:地域循環モデルは、どちらかと言えば3R的な側面が強く、住民参加型のリペアやリサイクルの取組が中心です。一方で、当省としては、産業面を重視した地域循環モデルの構築を目指しています。そのため、現在八つの類型に整理し、2026年に実証事業と連関させ、深化を図っていく予定です(図2)。
今後CPsへの参加を検討したい方へ
――CPsへの参加を検討する企業・団体にとって、どのようなメリットがありますか。
三牧:政府の資源循環閣僚会議でも、サーキュラーエコノミーの取組を加速する方針が確認されています。官公庁ととしては、官公需での利用拡大や、CPsを通じた支援などにより、参加者とともに課題解決を進めていきます。CPs会員でなければ活用できない補助金事業もありますが、それ以上に、会員の声を政策に反映し、国と一緒に課題解決に取り組める点が大きな意義だと考えています。
――企業が参加した後の活動イメージを教えてください。
三牧:現在の参加企業数は、大企業が約240社、中小企業が約420社です。中小企業への浸透や人材育成は、今後の重要な課題です。WGはオンライン参加も可能で、3月の総会や、東京ビッグサイトで開催され、2024年から出展している「サーキュラーエコノミーパートナーシップEXPO」などを通じて、共創の機会を提供しています。
――CPsへの参加を希望する場合、どのような手続きが必要でしょうか。
三牧:サーキュラーパートナーズの公式ウェブサイトに問い合わせフォームがあります。入会を希望される方、関心のある方は、ぜひお気軽にご連絡ください。
――最後に、本誌読者へのメッセージをお願いします。
三牧:日本のものづくりの強さがあるからこそ、循環経済を実現できる可能性が高いと考えています。これまでの環境配慮設計などの努力に、心から感謝しています。今後は、静脈産業の育成や消費者理解の促進も含め、課題は多くありますが、CPsの活動を加速し、参加者全員にメリットが生まれる成果を目指していきたいと思います。
(取材・文:編集部 遠藤小太郎)
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