資源循環型社会構築への未来図(その2)


日本生命保険相互会社 顧問

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※ 資源循環型社会構築への未来図(その1)

2.法改正など制度改正の動き

  
 廃棄物処理法の改正は前回が2010年に行われ、概ね5年に一度の改正に向けて、環境省の廃棄物処理専門員会が今年1月に論点整理の報告書がまとめられた。
 そこで、主な制度見直しの方向性について記述する。

(1) 産業廃棄物の処理状況の透明性の向上
 昨年1月に発覚した食品廃棄物の不正転売事件を受けての対策が盛り込まれている。

排出事業者が再生利用の状況を含めて最終処分が終了するまでの一連の処理工程の確認を促すとともに、再生利用に関する情報や優良処理業者認定制度による処理状況に関する情報のインターネットを通じた公表又は情報提供について見直しを行う。
排出事業者による優良認定制度及びその公開情報の一層の活用を促進するためインターネットを活用して利用者の利便性を向上する方策を検討する。
排出事業者においても環境報告書などで処理状況について適正に把握・公表を促す。

(2) マニフェストの活用
 電子マニフェストシステム上での虚偽記載が発生しないよう対策を講ずるとした。

マニフェストの虚偽記載等の防止
電子マニフェストシステム上への不適正な登録・報告内容の疑いの検知や関係業者への警告に資する同システムの改善を行う。
マニフェストの虚偽記載等を行った者が法の規制に基づく措置命令の対象となりうることの周知、罰則強化も含め虚偽記載への抑止力をより高める方策を検討する。
電子マニフェストの普及
一定規模以上の特別管理産業廃棄物を排出する事業者に対して電子マニフェストの使用の義務化を検討する。
自然災害、システム障害等電子マニフェストが使用できない場合の措置を検討する。

(3) 廃棄物を排出する事業者の責任の徹底
 排出事業者の責任について必要な対応を検討するとした。

規制権限の及ばない第三者に委ねることにより、排出事業者としての意識が希薄化し適正処理に支障を来すことのないよう改めて周知を図る必要がある。
廃棄物処理に関する法令等の趣旨や内容を適切に理解した上で、排出者責任を全うすることが重要であり、処理責任の具体的な内容や留意事項、取組事例等をパンフレット等で周知を図る必要がある。
不当に低い処理料金で委託し不適正に処理された場合には、排出事業者が、措置命令の対象者となりうることや、建設廃棄物の排出事業者の一元化規定は、処理料金の支払いも排出事業者の責任の下で行うことの規定の周知することを始め、不当に低い処理料金での委託の防止や処理料金の支払い方法の適正化策を講ずるべきである。

(4) 廃棄物等の健全な再生利用・排出抑制等に向けた取組
 雑品スクラップの内部に含まれる有害物質が飛散・流出し生活環境の保全上の支障が生じる可能性があることから、スプラップヤードで保管や処分をする者に対して都道府県等の行政機関の登録を受けるなど、一定の規制にかからしめるべきであるとした。

次回:「3.排出事業者責任の自覚・現状」へ続く