米国の再生可能エネルギー政策(4)~風力発電の新時代


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授

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(7)CO2排出削減と水の節約に貢献
 2014年に風力発電により削減されたCO2排出量は、1億2500万トンに上り、米国の発電部門におけるCO2排出を5.7%削減することに貢献した。風力発電の普及により、火力発電に必要とされる水の使用量6800億ガロンを節約したことにもなる。これらの数値は、当初予想された以上のクリーンな効果を発揮している。


(図7-1)AWEA 風力発電の普及により、削減される火力発電に必要な水量

(図7-1)AWEA 風力発電の普及により、削減される火力発電に必要な水量


(図7-2)風力発電によるCO2排出削減量

(図7-2)風力発電によるCO2排出削減量

(8)送電網の建設が進む
 テキサス州は、風力資源に恵まれた条件のもと風力発電の開発が進み、全米ナンバー1の風力発電の導入量が多い州である。これまで風力発電所は主にテキサス州の西部地域で開発され、都市部の中南部に電力グリッドを通して送電されてきたが、送電線の容量以上に風力発電所の建設ラッシュとなり、送電線の拡充が必要となった。テキサス州では、テキサス電気信頼性評議会(ERCOT: Electric Reliability Council of Texas)が主導する形で、「Competitive Renewable Energy Zones」と呼ばれるガイドランを作り、「風力発電を開発する地区」と「必要となる送電網」を同時に検討する総合的な開発計画を立て、送電線の建設を進めた。テキサス州での成功事例に基づき、地域送電機関(RTO)のSPPやのMISOが管轄する中西部や南西部においても、同じスキームで風車開発地区と送電線の建設計画を進めていく予定である。

(9)安定した発電に寄与する風力
 アイオワ州、サウスダコタ州、カンザス州の3州においては、風力発電が全発電電力量の20%超となっている。風力発電は、コロラド州の電力系統において60%超、テキサス州の電力系統において40%超を供給したことが記録されている。


(図8)AWEA 米国各州における風力発電電力容量

(図8)AWEA 米国各州における風力発電電力容量