米国の再生可能エネルギー政策(4)~風力発電の新時代


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授

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(4)発電コストの大幅な下落
 2009年から2013年にかけて米国の風力の発電コストは50%超も下落している。その理由として、風力発電技術の進展が貢献している。例えばローター(回転翼)の直径をより長くし、タワーを高くするなどの開発により、これまで風力発電所がなかった地域においても建設が可能になる。より高いタワーの開発によって、近い将来、南東部での開発が進むと予想される。


(図4)AWEA 2014年に導入された平均的な風車の大きさ

(図4)AWEA 2014年に導入された平均的な風車の大きさ

(5)風力発電は、米国内の新規導入発電設備ナンバー1
 風力発電は、新たに導入された発電設備でもっとも大きなシェアを占めている。中でも、中西部、大西洋岸北西部、大陸中央部の平原地域などにおいては、2011年から2014年にかけて風力発電は新規発電設備の6割となっている。


(図5)AWEA 各州において、2011年から2014年にかけて追加された電力量

(図5)AWEA 各州において、2011年から2014年にかけて追加された電力量

(6)企業が積極的に風力の電気を購入
 2014年の新規風力発電設備容量の約23%は、電力会社に代わって、アマゾン、マイクロソフト、ウォルマート、ヤフーなどの企業によってもたらされた。マイクロソフトは、今後データセンターで使用する電力を風力に切り替えていくことを発表しており、再生可能エネルギー事業を手掛けるRES America社と20年間の長期契約を結び、RES社がテキサス州に建設した風力発電所からの電力供給を受ける。多くの企業は、化石燃料の価格の見通しは不透明だが、風力発電の価格は安定していることに魅力を感じているという。


(図6)AWEA 電力会社以外の会社が購入する風力発電マップ

(図6)AWEA 電力会社以外の会社が購入する風力発電マップ