MENUMENU

オピニオン一覧

  • 2012/10/31

    国民の省エネ意欲を削ぐだけの環境税
    「エコ神話」の産物としての環境税の論理矛盾を突く

     今年(2012年)の10月1日、環境税が施行された。この環境税は、民主党政権発足後の鳩山25%のCO2削減の国際公約を実行するために、その法案化が図られてきた地球温暖化対策基本法(以下温対法)の3本柱の一つであった。しかし、この温対法の法案化は、その後の首相の相次ぐ交代で、日の目を見ることなく終わろうとしている。 続きを読む

  • 2012/10/10

    太陽光発電は「再生不可能」である(改訂版)
    科学の原理を無視して進められる「革新的エネルギー・環境戦略」の根本的な見直しを求める

    改訂原稿への差し替えをお願いした理由について

     私の論文;“太陽光発電は「再生不可能」である”について、ツイッター上で、“再生可能の条件が産総研のHPの記述と矛盾している”とのご指摘を受けました。
     確かに、いま、太陽光発電を含めた自然エネルギーからつくられる再生可能エネルギーが持続可能な社会のエネルギー源となると当然のように言われています。しかし、再生可能エネルギーが、再生可能であるためには、その使用期間に一定の制約(寿命)のある再生可能エネルギー生産設備の再生(更新)のために使用されるエネルギーが100 % 再生可能エネルギーで賄われなければなりません。ところが、実際には、このエネルギー生産設備更新のためには、設備の製造・使用に係わる労働力や設備材料としての地球資源の供給など、再生可能エネルギーでは賄うことのできないエネルギーや物質(資源)が必要になります。したがって、このような設備で生産されなければならない再生可能エネルギーは、科学的に見て、「再生可能」とは言えません。結局は、現状で現代文明社会のエネルギー源の主体を担っている化石燃料の代替として、その消費を抑え、それをできるだけ長持ちさせる働きを持つと考えるべきであります。このように考えますと、再生可能エネルギーの利用に当たっては、その生産量から、この生産設備の更新に伴うエネルギー消費量を差し引いた「自然エネルギーの有効利用の比率」ができるだけ大きいもの、すなわち、エネルギー変換効率の良いものが選択・使用される必要があります。私の科学的な解析結果によると、残念ながら、太陽光発電は、この「自然エネルギー有効利用比率」の値が、風力、中小水力、地熱などの再生可能エネルギーの生産方式に比べて、余りにも小さく、非常に効率の悪いエネルギー生産方策と言わざるを得ません。
     以上が、いま、原発事故を契機として問題になっている原発代替のエネルギーとして、今年の7月から施行されるようになった「再生可能エネルギーの全量固定価格買取(FIT)制度」のもとで国民に大きな経済的な負担をかけることで、その導入が図られている再生可能エネルギー、その中の主体を占めている太陽光発電の実態です。いずれは枯渇する化石燃料をできるだけ長持ちさせるために「自然エネルギーの変換による再生可能エネルギー」を使用しなければならないとしても、それは太陽光発電ではないはずです。にも拘わらず、最近、FIT制度の施行により、企業等によるメガソーラーの大幅な導入計画が進められていると報道されています。それは、太陽光発電に対して国により設定された高い固定買取価格42円/kWhであれば、この発電が営利事業として成立するからです。この営業利益は、国民の生活と産業の維持のために欠かすことのできない市販電力の世界一高い料金を、さらに押し上げることによって賄われます。結果として、国民生活と産業に大きな困難をもたらし、また、現状でも低迷している日本経済をさらなる苦境に陥れることになります。このような主旨で書かれた元原稿ですが、今回、ツイッターの方から上記のようなご指摘を受けて、読み返してみますと、私の再生可能エネルギーが科学的にみて「再生不可能」であるとする主張が必ずしも判り易い形で記述されているとは言えないこと、また自然エネルギー種類別の再生可能エネルギー利用効率の定量的な比較の記述に不備があることなどを見出しました。したがいまして、先日アップされた元原稿の主旨を皆さんに正しく理解していただくために、元原稿の再生可能エネルギーとしての太陽光発電が「再生不可能」であることの説明の部分にやや大幅な改訂を加えた新たな原稿を作成し、これを元原稿と差し替えていただくことを国際環境経済研究所編集担当にお願いした次第です。
     この改訂原稿について、改めて、ご検討、ご批判いただければ幸いです。

    東京工業大学名誉教授  久保田 宏 

    なお、改訂原稿は、全文PDF で提示させていただきます。

    改訂原稿全文(PDF)

  • 2012/10/03

    本当に人々は「ゼロリスク」を求めていたのか

     9月18日、原子力安全委員会の最後の会合が開かれた。会合にて班目委員長が「原発を運転するのは必ずリスクが伴うと専門家は誰でも知っているが、一般の人はゼロリスクを求めるため、リスクについて議論できなかった」と反省の弁を述べたと報じられていた。 続きを読む

  • 2012/09/20

    原子力行政が取り組むべき優先課題
    ―放射性物質に対する国民の安心のために―

     7月から六回にわたり当サイトに放射性物質について解説したが、放射線に関する知識を持つ技術者のひとりとして、原子力行政が早急に取り組まなければならない課題をいくつか指摘しておきたい。 続きを読む

  • 2012/09/04

    放射性廃棄物・原子力・放射線の対話型情報提供の取組み
    「放射性廃棄物リスクコミュニケーション広場」

     原子力発電を考える上で、忘れてはいけない問題のひとつとして、高レベル放射性廃棄物の存在があげられる。
     わが国において高レベル放射性廃棄物とは、使用済燃料からウラン・プルトニウムを分離・回収(使用済燃料の「再処理」という)した後に残る放射性の廃液をガラスと混ぜて固化処理したものをいう。 続きを読む

  • 2012/08/28

    余りにも理不尽な再生可能エネルギーの固定価格買取(FIT)制度
    この制度の廃止を強く訴える

    地球温暖化対策として政治の要請により進められるようになった FIT 制度

     この(2012年)7月から実施されるようになった再生可能エネルギーの固定価格買取(FIT)制度(以下、FIT制度と略記)を、最近、小野は、厳しく批判している 続きを読む

  • 2012/08/23

    討論型世論調査ではなく誘導型世論調査ではないのか

     「エネルギー・環境の選択肢」に関する討論型世論調査の結果が8月22日に発表された。朝日新聞夕刊では『「原発0%」討論後に増』と報道されている。この結果を見て「そうか」と納得した人も多いかも知れないが、私は「え?なぜ」と思ってしまった。 続きを読む

  • 2012/08/18

    新しいエネルギー政策における安全保障と自給率の限界
    原子力と自然エネルギーはともにエネルギー自給の目的には貢献しない

     東京電力福島第一原子力発電所(以下、福島原発と略記)の事故の起こる前(2010年)に制定された旧エネルギー基本計画(文献1参照)のなかで、原子力は国産エネルギーとして位置づけられ、エネルギー資源の全量に近い量を輸入に頼らなければならない日本において、エネルギーの安全保障のために、重要な役割を果たすとされてきた。 続きを読む

  • 2012/07/30

    「経済か命か」は誤った二分法
    — 経済と命の相関に着目をすべし —

     政府のエネルギー・環境会議が2030年を見据えたエネルギー政策を検討すべく国民的議論を求めている。国民の意見が直接的に政策に反映されないことを不満とする意見もあるが、最終的にエネルギー政策がどのようになるにせよ、議論を通じてその選択によって得られるものと失うものが意識されることにこそ意味がある。むしろ国民各層が主体的に考える経験を共有するための貴重な機会として前向きに捉えたい。 続きを読む

  • 2012/07/27

    エネルギー政策における「エネルギー源のベストミックス」
    その中に、当面、自然エネルギーは入ってこない

     エネルギーの「ベストミックス」とは、エネルギー政策におけるエネルギー源の多様化の中でのベストな選択の比率とされている。いま、原発事故後のエネルギー政策の見直しで中心的な課題となっている原発電力比率の選択の問題で、政府の提示する2030年時点における原発比率の3種の選択肢案についても、表1に示すように、各原発比率の値に対して、自然エネルギーの比率、および残りの火力発電の比率の目標値が与えられている。 続きを読む

  • 2012/07/25

    「エネルギー・環境に関する選択肢」は何を国民に問いかけているのだろうか?

     「エネルギー・環境に関する選択肢」についての国民的議論が始まっています。今のところ、どの選択肢を選ぶかということや、意見聴取会への参加者の所属の問題などに関心が集まっていますが、「エネルギー・環境に関する選択肢」には、選択肢自体の妥当性や選択肢という手法を用いたことによる、以下のような問題があるように思います。 続きを読む

  • 2012/07/17

    余りにも非常識な原発比率の選択肢案の評価
    自然エネルギーの利用を原発廃止のための条件とすべきでない

     いま、福島原発事故以後の新しいエネルギー政策を創るなかで、政府は、原発の位置づけを発電量の比率の値で表わして、その目標値を決めようとしている。6月28 日、政府のエネルギー・環境会議が、2030年時点における原発比率(国内発電量合計の中の原子力の比率)について、図 に示した3つの選択肢案を、付表に示す評価データとともに政府案として発表した。 続きを読む

  • 2012/07/12

    エネルギー・ミックスの選択にどう向き合うか

     経済産業省の総合エネルギー調査会・基本問題委員会における約半年、25回を超える審議を経て整理された、2030年におけるエネルギー・ミックスの選択肢と関連審議会の報告も踏まえて、7月上旬に、エネルギー・環境委員会が、国民的議論を行うための3つの選択肢を提示した。 続きを読む

  • 2012/07/06

    原発電力の代替、当面は石炭火力でなければならない
    エコ神話の崩壊が、エネルギー政策の変換を迫る

    原発電力の代替、当面は石炭火力

     いま、脱原発を叫ぶ人々は、原発代替電力は、「自然エネルギー(国産の再生可能エネルギー)による発電」だとしている。しかし、「自然エネルギー」は、少なくとも、現状では、原発の代替にならない。政府は、これを逆用して、「原発がなければ国民の生活が成り立たない(野田首相)」として、原発の温存を図ろうとしている 続きを読む

  • 2012/06/27

    日本版再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)について

     再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT : Feed in Tariff)が本年7月1日からスタートする。再生可能エネルギーは、地球上に膨大に存在し、化石燃料のように枯渇することもなく、発電段階でCO2も排出しない。また再生可能エネルギー関連産業は、「グリーン産業」として将来大きく発展、新たな雇用も生むと期待されている。 続きを読む

  • 2012/06/05

    WTOは環境も救うか?

    デジタルIT製品の貿易自由化の動き

     久しぶりに思えるジュネーブ発での貿易関連報道があった。5月16日付け日経新聞(夕刊一面トップ)によれば「日米欧、中韓など74カ国・地域は15日、関税を撤廃するデジタル製品を大幅に増やすため、世界貿易機関(WTO)の情報技術協定(Information Technology Agreement:以下、ITA)の改定交渉を開始することで合意した」とのことである(注1)。 続きを読む

  • 2012/05/16

    藤井敏道氏・セメント協会 生産・環境幹事会幹事長/三菱マテリアル株式会社 常務取締役に聞く[後編]
    縁の下の力持ち、セメントの循環型社会への貢献

    今回ご登場いただくのは、セメント協会 生産・環境委員会委員長代行で生産・環境幹事会幹事長の藤井敏道氏。前編に続き震災直後のセメント業界の対応と復旧状況、さらに今後の業界としての環境・エネルギー問題への取り組みについて聞いた。 続きを読む

  • 2012/05/14

    藤井敏道氏・セメント協会 生産・環境幹事会幹事長/三菱マテリアル株式会社 常務取締役に聞く[前編]
    コンクリートが人の命を守る

    今回ご登場いただくのは、セメント協会 生産・環境委員会委員長代行で生産・環境幹事会幹事長の藤井敏道氏。震災直後のセメント業界の対応と復旧状況、さらに今後の業界としての環境・エネルギー問題への取り組みについて聞いた。 続きを読む

  • 2012/05/07

    工藤智司氏・日本基幹産業労働組合事務局長に聞く[後編]
    仲間とスクラムを組んでこの難局を闘いたい

    今回ご登場いただくのは、日本基幹産業労働組合事務局長の工藤智司氏。日本基幹産業労働組合は、主要な基幹産業である金属産業のうち、鉄鋼、造船、非鉄鉱山、航空、宇宙、産業機械、製錬、金属加工などの他、関連業種で働く25万人(748組合)を有する労働組合である。前編に続き、基幹労連の震災直後の対応、今後の環境・エネルギー政策の考え方などについて聞いた。 続きを読む

  • 2012/05/02

    工藤智司氏・日本基幹産業労働組合事務局長に聞く[前編]
    震災を経験し、切に感じた日本の強さ

    今回ご登場いただくのは、日本基幹産業労働組合事務局長の工藤智司氏。日本基幹産業労働組合は、主要な基幹産業である金属産業のうち、鉄鋼、造船、非鉄鉱山、航空、宇宙、産業機械、製錬、金属加工などの他、関連業種で働く25万人(748組合)を有する労働組合である。基幹労連の震災直後の対応、今後の環境・エネルギー政策の考え方などについて聞いた。 続きを読む