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海洋プラスチックごみの回収資源化


YSエネルギー・リサーチ 代表


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 プラスチックごみが海に流れ込み、生態系に深刻な被害を与えていることが広く知られるようになったが、それへの対応としては、プラスチックごみを極力出さないようにすることと、生分解性のプラスチックや非プラスチックのものに切り替えていくような対応策しかないようだ。ゴミを減らすのは社会システムと日常生活の変革が必要だろうし、生分解性のものへの切り替えについても、分解した後にできるものが海洋生物に無害だという保証はないように思える。

 さらには、既に海に漂っている大量のプラスチックごみを回収しなければ、問題解決は程遠いことになる。しかし、広大な面積の海が対象となるだけに、絶望的だと感じていたが、その問題を多少なりとも解決する可能性のある技術が開発され、実用化される可能性があるということを最近知った。2013年に設立されたNPOであるThe Ocean Cleanupが、大洋に浮遊するゴミの回収実証試験をこれまで1年間行ってきたというのがそれだ。80人ほどのスタッフがいるNPOで、オランダのロッテルダムに本拠を持っている。

 カナダのバンクーバー沖合は、プラスチックごみの浮遊量が多いところのようだが、同社はここで昨年の10月からゴミ回収を始め、今年の1月にトラブルもあって、設計をやり直したようだが、かなりの量のゴミを回収するのに成功し、この12月にこのプロジェクトの第1段階を終了させた。次は、それをプラスチック資源として再利用する方策を、2020年9月を目標に開発し、その収益をゴミの回収に充てるとしている。

 このNPOはウエブサイトでこの回収方法を説明しているが、巨大な網でできたパラシュート構造になっている。


https://theoceancleanup.com/oceans/ の図に邦訳を加筆

 海流や、風、波によって網はゆっくりと流されていくが、アンカーの速度の方が遅いために、それにつながれている網は円弧状に開き、通過する海流に浮遊しているゴミを捕捉することになる。船で牽引する必要はなく、位置の特定とゴミの量を確認するためだけに船が使われるから、エネルギーの消費も少なく、コストが大きく上がることもないだろう。網に溜まったゴミが一定量を超えたときにゴミ回収船が使われる。その様子は写真で示されたような感じだ。

 この方式は河川にも応用実証されている。川の中程まで網を張り、その先にゴミ回収をする船を付けた形になる。その上流に川の流れを変える堰を作り、ゴミが川岸側に集まるようにして、ゴミが回収しやすくなるようになっているようだ。

 太平洋西側の日本列島周辺の海域にもプラチックゴミが多量に浮遊しているそうだが、このNPOと協力して日本のプロジェクトとして推進することが考えられないだろうか。日本にもプラスチックごみ問題に取り組むNPOもあるはずだから、共同プロジェクトとすることができるかもしれない。近い将来、海洋プラスチックごみを原料にして作ったものという表示をした製品が生まれることを期待したい。