原子力発電は本当に嫌われている?


国際環境経済研究所所長、常葉大学経営学部教授


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 原子力発電には事故のリスクがあるが、原子力発電がなくなれば私たちは別のリスクに直面する。それは、エネルギーの安全保障、不安定な電気料金、二酸化炭素排出量増による気候変動だ。このリスクの問題を解説すると、原発に反対する方から抗議を受けることになる。例えば、ネットでの「御用学者」との書き込みだ。
 東日本大震災直後のことだ、亡くなられた澤所長に「まったく、うんざりします」とネットの書き込みを、メールでぼやいたところ、直ぐに返信があった。「私たちは誰の御用も承っていませんよ。そうでないのにそう呼ばれるのは、名誉なことです」。反対する方は、なんでもよいから悪く言えばよいと思っているようだ。
 最近も、反対派の方から「あなたたち、新自由主義者は原発を推進すればよいと考えている」と言われ、一瞬キョトンとしてしまった。市場に任せればよいと信じる新自由主義者が、市場に任せることが最も難しい発電設備、原子力発電を推進することはありえない。理論も実態も理解せずになんでもよいから、イメージが悪い言葉を使えばよいと考えている人が反対派の中にいるということだ。故澤所長であれば、なんというのだろうか。「新自由主義者と呼ばれるのも名誉なことです」とは言わないような気がするが。
 さて、原子力があるリスクとないリスク、このリスクの考え方は国により異なるようだ。例えば、英国ではエネルギー安全保障上原発が必要と考える人が60%とのアンケート結果がある。日本のアンケートでは、原発の再稼働に賛成か反対かというように、単純な質問が多い。もう少し多角的に質問を行えば結果はどうなるのか関心を持ち、浜岡原発の周辺4市で昨年11月から12月にアンケートを実施した。
 「最近のエネルギー・環境問題に関心がある・なし」により再稼働問題などに関する意見が異なるのではと思ったため、エネルギー・環境問題の知識に関する質問なども織り込み、多岐に亘る項目への回答を求めた。このアンケートに関し、原発反対派から、自給率、震災後の電気料金上昇、気候変動問題を説明することは賛成への誘導だとの非難を受けた。ある新聞社からは「反対派の意見の記載がないが」との質問もあったが、「賛成派の意見の記載」も無論ない。事実関係の説明が誘導になるということは、事実を説明されると困るということなのだろうか。
 このアンケート結果は解析中だが、途中段階で気がついたことがある。アンケートを返送頂いた方の年齢層が結構高いことだ。もう一つ、年齢が高くなれば反対の方が増えることだ。アンケートでは、再稼働賛成とやむなしと答えた方は50%を下回っているが、年齢構成を修正すれば結果はどうなるのだろうかと思い、アンケート結果を日本の人口構成にあわせ修正してみた。結果は、表の通りだ。「再稼働すべきとやむなし」が50%を超えている。

表1

 いままで発表されている新聞社などのアンケートでは、電話番号をもとにアンケートを実施しているが、回答率はかなり低い。回答している年齢層は高いのではないだろうか。国民の意見を知るのは難しい。
 アンケート結果の解析が終われば、学会誌、雑誌などに詳細を発表したいと思っている。
 



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