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緊急提言 【提言3】

—COP21:国際交渉・国内対策はどうあるべきかー


国際環境経済研究所前所長


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長期の問題である地球温暖化に対応する上で、既存環境技術の普及だけでは不十分である。決定的に重要なのが革新的技術開発である。現在人類が持っている技術体系では、2050年までに40~70%減といった大幅な削減を実現することは現実的に見て不可能であり、長期的な排出パスを大きく変えるようなイノベーションが必要となる。CCS、バッテリー、次世代原子炉から究極的には宇宙太陽光発電や人工光合成に至るまで研究開発が必要な革新的技術は多岐にわたる。
特に投資リスクの高い革新技術のR&Dを進めるには、政府による研究開発投資が不可欠である。しかし、世界全体の政府R&D支出に占めるエネルギー分野のシェアは80年代の11%から4%程度に低下している。この流れを反転させなければならない。日本は、重点技術の選定、R&D予算の確保、技術ロードマップの作成、国際共同研究開発等の国際イニシアティブを提唱していくべきだ。
日本は「エネルギー環境技術のためのダボス会議」としてICEF (Innovation forCool Earth Forum)を提唱し、2014年10月に東京で、政府、企業、学界、国際機関等、80ヶ国・機関、800名を集めて開催した。ICEFは、世界の産学官の英知を結集するプラットフォームとして毎年開催を継続していくことになっており、特に本年10月に予定される第2回ICEFは、COP21に向けたモメンタムを高めるものとしてホスト国であるフランス政府の国連気候変動パリ会議(COP21)特別代表から特に期待が示される※10など、高く評価されている。日本や米国、英国等が革新的技術による温暖化問題解決を目指す国際的な取り組みのアイデアを持ち寄り、具体的なイニシアティブに仕上げていく上で、ICEFは理想的な舞台となろう。また本年6月、英国のデービッド・キング気候変動特別代表他は、「グローバル・アポロ・プログラム」として参加国が再生可能エネルギー、貯蔵、輸送分野のR&Dに2016年~25年のGDPの0.02%を充当するというアイデアを提唱したが、これもICEFのコンセプトと軌を一にするものである。こうした場を活用して、温暖化問題の解決に最も貢献した又は貢献するであろう技術を取り上げて積極的に表彰したり(「化石賞」の逆をいく「地球環境貢献賞」)、先進各国が共同して基礎的な技術開発に研究費や事業化のための助成を行うなど、技術革新を後押しする方策を検討すべきである。日本はICEF主催国として、引き続きリーダーシップを発揮していくべきである。加えて、日本が来年のG7議長国となる機会を逃さず、G7サミットやエネルギー大臣会合等も活用して、先進各国がエネルギー・環境技術のR&Dに率先して取り組むというメッセージを発信していくべきである。

<日本の貢献や対策を海外に発信せよ>

こうした日本の貢献を対外的に積極的に発信していくことも重要である。これまで対策に消極的だった米国や中国が、多少なりとも前向きのメッセージを出しただけで過剰に賞賛の言葉が向けられている。それに比べて、日本は地道な努力をしているのに、まるでこれらの国々より消極的かのように捉える向きが多い。これは日本の政府、気候変動問題関係者・有識者、マスコミが、国内削減目標にのみ着目した内向きかつ自虐的な議論にとらわれており、日本の対策やこれまでの努力について、世界に向けて効果的なアピールを行うことに十分関心を払っていなかったからではないだろうか。国際交渉は、国際世論にどう訴え、自国のイメージをどう形成していくかが大きなポイントになる。日本政府や気候変動問題関係者は、日本の貢献や対策の考え方について、世界への発信に積極的に取り組むべきである。
※10
http://www.ambafrance-jp.org/article8521

緊急提言【提言4】へ続く

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