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鉄鋼業における廃プラスチックリサイクルの取り組み


新日鐵住金株式会社 本社 技術総括部 資源化推進室長(部長)


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1. 容器包装リサイクル法(以下:容リ法と略)における鉄鋼業の位置づけ

 容リ法は平成12年4月から完全施行された。図1に法の概念図を示す。「指定法人:(財)日本容器包装リサイクル協会(以下:容リ協と略)」が、自治体毎に収集される分別収集物とリサイクル費用を管理する。まず、消費者は自治体が決める分別区分(ビン、缶、PETボトル、プラスチック製容器包装)毎に分別排出する。次に自治体は分別品目毎に収集し、定められた形態(プラスチックはベール状)に圧縮・梱包する。容リ協が毎年入札方式で再商品化事業者を決定し引き渡す。再商品化に必要な費用は、容リ協会が毎年特定事業者から集金し、再商品化処理実績にあわせて再商品化事業者に支払うスキームである。
 鉄鋼業では、廃棄物起因のプラスチックをエネルギー効率の高い鉄鋼プロセスで原燃料代替として利用することで、日本全体としてのCO2発生が抑制される。産業インフラのこのような活用は、地球温暖化対策(CO2削減)、ごみ減量化による焼却炉や最終処分場の削減、焼却や埋立てによる化学物質の拡散抑制に直接的に寄与するものとして、広く理解され、拡大すべきである。

図1 容器包装リサイクル法のスキーム

2. 鉄鋼業における廃プラスチックの再生利用

 廃プラスチックの再生利用には、プラスチックの化学的特性に着目した「ケミカルリサイクル」とプラスチック製品にリサイクルする「材料リサイクル」の手法がある。鉄鋼業では、廃プラスチックが石炭と同様な組成をもつ有機物であることに着目し、コークス炉を熱分解炉として活用するコークス炉化学原料化法と高炉で鉄鉱石の還元材として活用する高炉還元法という「ケミカルリサイクル」が行われている。
 分別回収された容器包装プラスチックは、一辺が0.4~1.2 mのベール状に圧縮梱包、保管され、製鉄所内の廃プラスチック事前処理設備まで運搬される。事前処理の目的は、異物を除去し要求される純度とすること、石炭との混合状態の適正化のための造粒物等を製造することにある。コークス炉では、造粒物を熱分解し、約40%が炭化水素油として新たなプラスチック原料等に、約20%がコークスとして製鉄原料に、約40%がコークス炉ガスとして高効率発電や水素原料に使用される(図2参照)。高炉では、粒状物または微粉に加工して、羽口より高炉炉内に吹き込まれる。プラスチック中のカーボン、水素が鉄鉱石中の酸素を取り除き(還元反応)鉄の製造に利用される。

図2 コークス炉化学原料化法による廃プラスチックのリサイクルフロー

3. 廃プラスチック利用拡大に向けた課題

 容リ法は、一般廃棄物系のプラスチックの集荷問題を解決したという大きな役割がある。しかし、現状の入札制度では、材料リサイクル業者に50%の優先入札枠が設定されており、環境負荷低減効果が高く、落札価格の安いケミカルリサイクルの市場が制限されている。材料リサイクルは、鉄、アルミニウム、PETボトルのように単一素材の分別収集に適しており、プラスチック製容器包装材のように可塑剤や着色材などを含めれば数百種類のプラスチック材料で構成されているものには不向きである。このため、出荷用のパレット、使い捨てフラワーポット、擬木などの再生品が製造されているが、一般市民が分別した廃プラスチック原料の約半分が産業廃棄物として処分されている。平成22年に環境省、経済産業省合同審議会で本件は議論されたが、材料リサイクルを積極的に肯定する結果が得られなかったにもかかわらず、材料リサイクル業者の保護施策は、現在も継続している。平成25年、安倍内閣のもとで組織された規制改革会議の答申でも、本件は取り上げられ、以下の内容が閣議決定された。入札制度も含め、プラスチック製容器包装の再商品化の在り方を根本から再検討する。その際、材料リサイクル手法とケミカルリサイクル手法における環境負荷低減の効果、競争促進による経済コストの低下、再商品化製品の価値評価といった観点での検討が重要である。今後、この答申に基づいた審議会での議論が実施されるが、ここ数年、約67万t/年で停滞している総集荷量の拡大についても参加自治体の増加、容器包装以外のプラスチックへの対象拡大等の視点で検討していくべきである(図3参照)。

図3 容器包装プラスチックの落札実績

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