MENUMENU

低炭素社会実行計画(一般社団法人 日本鉄鋼連盟)


The Japan Iron and Steel Federation


印刷用ページ

3つのエコと革新的技術開発が、地球温暖化対策の不動の柱

 鉄鋼業の地球温暖化対策の柱は、「3つのエコ」と「革新的技術開発」から成り立っている。第一が、自らの生産工程でのCO2削減をめざす「エコプロセス」。第二が、省エネ技術の海外への移転・普及により、地球規模でのCO2削減をめざす「エコソリューション」。第三が、高機能鋼材の供給を通じて、製品の使用段階での省エネを促進する「エコプロダクト」。この「3つのエコ」に加え、長期的に見て抜本的なCO2削減に向けて技術のブレークスルーを目指すのが、「革新的技術開発」である。第一約束期間(2008年度から2012年度)の「自主行動計画」に続き、2013年度以降も、「低炭素社会実行計画」を強力に推進することによって、手綱を緩めることなく、地球温暖化対策を推進していく考えである。

「エコプロセス」-最先端設備の最大限導入というチャレンジングな目標-

 2020年度断面で「粗鋼生産量1.2億トン±1000万トンの範囲で想定されるCO2排出量(BAU排出量)から最先端技術の最大限の導入により500万t-CO2削減」する目標を設定している。この目標は、「2005年度の技術水準のまま、特段の省エネ・CO2削減対策を実施しなかった場合(=BAU:Business as Usual)」との比較において、「500万トン削減」を目指すものであり、CO2削減量自体を目標とするのが特徴である。世界№1のエネルギー効率を達成した日本鉄鋼業(図1)において、更なるCO2削減を行うことは限界に近いが、世界でもまだ導入事例がわが国の2つしかない「次世代コークス製造技術(SCOPE21)」のような最先端技術の導入以外に、大幅に削減する手段は無い。その意味でも、「500万t-CO2削減」は極めてチャレンジングな目標といえる。

「エコソリューション」-日本初の技術で地球規模の削減に貢献-

 日本鉄鋼連盟は、地球温暖化問題には、地球規模での対策が不可欠との認識の下、早くから国際的な協力体制の構築に努めてきた。世界最大の製鉄国である中国との間では、2005年から、「日中鉄鋼業環境保全・省エネ先進技術交流会」を毎年開催している。2011年からは、中国に次いで成長の著しいインドとの連携もスタートした。並行して、GSEP※1やworldsteel※2における多国間連携も進めており、地球規模で鉄鋼業の温暖化対策を推進するための土壌は着々と整備されている。なお、日本が開発・実用化した省エネ技術の移転・普及により、地球規模でのCO2削減効果は約2011年度で約4,300万t-CO2/年、同様の取組みを展開することで2020年にはその削減効果は7,000万t-CO2/年程度と推計されている。このように、省エネ№1製鉄国として日本が果たすべき役割は極めて大きい。

※1
Global Superior Energy Performance Partnership(エネルギー効率に関するグローバルパートナーシップ)。2010年7月のクリーンエネルギー大臣会合で、APP(クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ)を発展的に解散し、日米が共同提案したエネルギー効率向上に関する新たな国際枠組として設立を決定。官民により、鉄鋼を含む6つのWGで活動を進めている。
※2
World Steel Association(世界鉄鋼協会)。1967年に設立された国際機関。世界の製鉄会社約170社が参加。参加会社の鉄鋼生産は世界の約85%を占める。

「エコプロダクト」-日本の発展と地球環境の改善を実現-

 鉄鋼は産業の基礎素材として、さまざまな用途や製品に使用される。中でも、高機能鋼材の多くは製品のエネルギー効率を向上させ、CO2排出削減に貢献するエコプロダクトである。この削減効果について、日本エネルギー経済研究所は、代表的な5つの高機能鋼材を対象に、2011年度断面で2,208万t-CO2の削減、2020年断面では3,345万t-CO2の削減と評価している(図2)。高効率モーターに使用される電磁鋼板、風力発電に使用されるハイテン(高張力鋼)など、高機能鋼材は低炭素社会の実現に不可欠な省エネ対策や再生可能エネルギーの導入に欠かせない素材である。高機能鋼材の供給は、日本は勿論のこと、世界全体で着実な省エネやCO2削減に大きく貢献するとともに、世界の需要を取り込むことで、我が国経済や雇用の確保にも貢献できる。今後、益々拡大が見込まれる高機能鋼材の世界的なニーズを引き続き確実に捕捉することで、環境と経済の両立に貢献していく。

「革新的技術開発」-COURSE50-

 製鉄プロセスにおいては、鉄鉱石の還元で石炭を使用するため、現在の技術レベルでは、CO2排出は不可避である。私どもは、現在、私どもが推進する「革新的製鉄プロセス技術開発(COURSE50※3)」は、その名の通り、水素による鉄鉱石の還元と高炉ガスからのCO2分離回収をすることや、製鉄所の未利用排熱を活用した高炉ガスからのCO2分離回収するものであり、実用化されれば約30%のCO2削減に繋がる。2030年を目処に1号機の実機化、高炉関連設備の更新タイミングを踏まえ、2050年頃までに普及を目指す先の長い取組みとなるが、着実に進めていく。

※3 CO2 Ultimate Reduction in Steelmaking process by Innovative technology for cool Earth 50

実効性のある地球温暖化対策のために

 地球温暖化問題は、日本国内のみの削減や鉄鋼業界のみの取組みだけでも解決しない。現在の技術だけでも難しい。鉄鋼業の低炭素社会実行計画は、「3つのエコ」と「革新的技術開発」という、国境や産業の枠を超え、未来をも見据えた取り組みであり、当連盟としては、今後とも、この取組みを通じて実効性のある地球温暖化対策に貢献していきたい。

記事全文(PDF)



地球温暖化への挑戦-低炭素社会実行計画の記事一覧