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第12回(最終回)セメント協会生産・環境幹事会幹事長/住友大阪セメント株式会社取締役・専務執行役員 中尾 正文氏

循環型社会への貢献、省エネ技術への挑戦


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授


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地球温暖化対策として熱エネルギー、電力エネルギーを削減していく

――セメント業界として地球温暖化防止にどの様に努力されていますか?

中尾:セメントは、熱も電力も多消費ですので、両方をどうやったら削減できるか努力しています。熱エネルギーについては、エネルギー代替廃棄物の使用量を増やし、化石エネルギーの使用を減らしています。業界平均で約15%の代替エネルギーを使用しています。具体的には、廃プラスチック、木屑、廃油などを使用しています。又、高効率の熱回収が可能な設備の導入を進めています。セメント工場では投入した熱エネルギーの約80%が、生産工程内でクリンカの焼成、原料の乾燥、排熱自家発電用の熱として有効に利用されております。
 電力についても、設備自体の高効率化、原料、仕上粉砕用として高効率のミルの導入を進めています。セメント工場で使用する電力量の内、約60%が火力自家発電及び排熱自家発電で賄われています。火力自家発電においても約10%は代替エネルギーを利用しています。

――低炭素社会実行計画を策定されていますね。

中尾:低炭素社会実行計画の前に、自主行動計画もやっておりました。これは2008年から2012年までの期間の取り組みで、セメント製造用エネルギーを1990年比で3.8%削減する目標で進めてきましたが、2008年から2011年の4年間での削減率は平均4.1%になり、セメント業界として目標は到達している状況です。続いて低炭素社会実行計画を策定しました。実行計画の一つは、2013年から2020年までの間に、省エネルギーの普及、エネルギー代替廃棄物の使用拡大により、セメント製造用エネルギーを2010年度比で原油換算にて5.6万Kl削減する目標を立てています。

 実行計画の二つ目はLCA(ライフサイクルアセスメント)的な観点からの取り組みによるCO2削減への貢献です。セメントコンクリート舗装の方がアスファルト舗装よりも燃料消費量が少ないことをPRして、セメントコンクリート舗装の利用拡大を提案しています。
 実行計画の三つ目は、「世界的にみたセメント製造用エネルギーの削減」というものです。日本のセメント産業のエネルギー削減ポテンシャルはごく僅かですが、世界のセメント産業では削減余地がかなりあります。日本のセメントエネルギー使用状況省エネ技術や廃棄物処理技術を海外へ発信していきたいと思っています。世界レベルでのセメント製造用エネルギーの削減、資源循環型社会の推進に貢献できると考えます。

中国や東南アジアで増大するセメントの需要

――全世界的にみて日本のセメント生産設備は効率的にずっと高いのでしょうか?

中尾:欧米と比較しても、日本の設備の効率は高いといえます。IEA(国際エネルギー機関)発行のエネルギー技術展望(2010)にセメント産業のエネルギー削減ポテンシャルが示されています。全世界的には900MJ/t-セメントですが、日本は400MJ/t-セメントとなっており、日本と世界の削減ポテンシャルはおよそ2倍の差異があります。中国、韓国、インドはそれぞれ900 MJ/t-セメント、1300MJ/t-セメント、600MJ/t-セメントと報告されています。今後。他国においても省エネルギーが進むと思われますが、現時点では日本とインドの省エネルギーが進んでいるといえます。

――経済成長につれて、中国のセメント需要は増大しているのですね。

中尾:どちらかというと成熟した社会になってきますと、セメントの使用量が減ってきます。我々も年間のセメント一人あたりの使用量を見ていますが、日本では今一人当たり約350kgです。中国は平均して約1.2tになりますが、省によっては約2tです。

――中国でそんなに需要があるとは驚きです!

中尾:中国国内では22億tものセメントを生産しています。弊社は雲南省にあるセメント工場に出資していますが、そこの需要は年間8000万tです。国内の需要は約4500万tですから、その需要の大きさがわかると思います。
 つまり中国はセメントを政策的に使っているわけです。経済が発展してくる時には、セメントは非常に有望な産業なのです。成熟してきますと、あまり有望な産業ではなく、使用量がどうしても少なくなってきます。蓄積したインフラ設備があるからです。だから今、東南アジア、中国のセメント業界が一番元気いいんじゃないでしょうか。



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