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断熱の常識を超えた省エネ塗料“ガイナ”とは

環境技術事例&インタビュー


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授


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お話を伺った方:
株式会社日進産業 代表取締役 石子達次郎氏

ガイナの特性について

――ガイナの特徴と、従来の塗料との違いは何でしょうか?

石子 達次郎氏(日進産業)
石子:まずひとつ、「省エネ塗料ガイナ」と話がスタートしておりますが、私はガイナを塗料だとは思っておりません。残念ながら世の中になかった発明ですので、従来あるものにあてはめるとなると、やはり塗料という範囲になると思います。私はセラミックを液体化することに成功したのがこの技術だと考えています。それが施工においても仕上がった姿においても人間の肉眼で見ると、全く塗料で施工したものと同じであるのがガイナなのです。

 一般塗料はいわゆる樹脂が固まったものであり、有機物のかたまりです。ガイナはセラミックで無機物のかたまりですので、この点が全く違います。また一般塗料の寿命が短い特性があるのは、有機物なので紫外線や熱などの外的な変化に非常に弱いからです。しかしガイナは無機で耐久性があり、さらに無機にしかできない特殊な結果が表れます。

――ガイナの耐久性は何年でしょうか?

石子:社内、および共同研究で耐久性テストを行ってまいりました。紫外線を強制的に照射し、特殊な加速度的な環境を作った耐久性試験において、30年の耐久性があるという結果が出ています。全くというほど経年劣化をしない結果が出ています。しかし、商品カタログには、開発してからの時間しか正確なことを言えませんので、一般的な塗料の2~3倍と表現しております。ただ10年程度経つと変色が起きるなどの変化はありますが、ガイナそのものが持っている熱に対して反応する性能は30年以上の耐久性があります。

ガイナ開発秘話

――開発の背景について伺います。どういう思いで商品開発されたのでしょうか?

石子:25年前に私は、工場倉庫のオートメーション化といった無人搬送の機械の設計を主にやっておりました。その頃お客様から「工場内が暑くてたまらないので断熱してほしい」と要求があったことがきっかけでガイナを開発しました。その時は工場のグレーの外壁を白のペンキに塗り替え、温度が3度下がりました。でも、「なぜ白くペンキを塗ったら温度が下がったのだろう」と考えたのです。これをきっかけに数年かけてガイナを開発しましたが、実を申しますとまったく売れなかったですね。

――いつから売れるようになったのでしょうか?

石子:開発スタートから10年目くらいです。日本はどこに行っても「実績は?」と聞かれます。これまでになかった技術に対して、自分がリスクを背負ってでも一緒にやろうという人は非常に少ない。実績作りのために無償でやったところは何件かありますが、開発からの数年間はビジネスにもならないような状態が続きました。

 売れなくてもやってきたのには理由があります。二男が昭和最後の年、長女が平成元年に生まれ、このガイナの開発をしたのと同時期です。いつの間にかガイナが我が子のような感覚に変わっていきました。親にしか知らない我が子の能力があるじゃないですか。周りの人は認めてくれなくても、こんな素晴らしい才能があるのだから、いつかは受け入れてもらえるはずだと信じてずっとやってきたわけです。

――途中で諦めようとは思いませんでしたか?

石子:最初の10年間は、売りに行った所では詐欺師が来たような扱いをされました。「建築は伝導率の低いものを厚くすることによってコントロールしている。全世界あらゆる国の政府も認めているから有り得ない」と。「今さら厚みのないものを持って来てどうする、誰もそれで困っていない」、「わが社は建物全部断熱材を使っている、ペンキも塗っていて使い道がない」と相手にしてもらえませんでした。

 10年間一生懸命頑張っても1缶たりとも売れないのは受け入れてもらえないからだとついに諦めて、お客さんやお世話になった方にこの事業を辞めると挨拶回りを始めました。その時に偶然「どうしても断熱材を使えない案件があって、あなたのものを使ってあげる」と注文を受けたのが最初です。

 フランスに本店があるブティックと同じ建築を代官山に作れと依頼を受けた設計士の方でした。その建築は、床から屋根まで見える構造になっていたため、一般の断熱材は使うことができず、ガイナを20缶使ってくれたのです。そうしたら彼が、「世の中におもしろいものがある」と周りの設計士に伝えてくれ、建築の雑誌に小論文も出してくれました。フランス政府公認の建築士の資格を持っている優秀な方でしたので、影響力があったのでしょう。20缶売れた翌年には100缶前後売れました。その次の年は口コミで210缶売れました。その次は450缶売れました。使った人が口コミで広げてくれて、出荷量がどんどん増えていき、今に至ります。

断熱塗料“ガイナ”一斗缶(左)と1ℓパック

――お客様の口コミにはどのような声がありますか?

石子:最初は「音」、次に「温度」について多いです。

――具体的にどういう声でしょうか?

石子:一般住宅を例に取りますと、一般住宅の屋根と壁を塗って、工事中にお客様に問い合わせをすると「周囲の騒音が聞こえない」とおっしゃいます。工事が終わって、ガイナ塗膜が完全に乾燥すると、夏であれば「いやー、涼しくなった」。冬であると「暖房をつけなくてもよくなった」とおっしゃるわけです。実際に去年暖房に使ったエネルギー量の比較をすると、20%削減できていて、皆さん驚かれます。