メタンハイドレートの試掘に成功
メガソーラーのためにFIT 制度を適用する必要性は完全に無くなった
久保田 宏
東京工業大学名誉教授
「補遺」; 再生可能絵ネルルギー固定価格買取(FIT)制度の適用によるメガソーラーでの「有効自然エネルギー利用比率 i 」の試算
FIT 制度では、対象の発電が収益事業として成立するために、
(生産設備の使用期間内の電力の売上金額 N)
=(使用期間中の産出エネルギー S)×(FIT 制度の買取価格 P)
=(設備の製造・使用のコストT)
×(事業収益を確保するための係数 f ) (A-1)
となるように、生産電力のFIT制度による買取価格 Pの値が設定されている。
メガソーラーの産出エネルギー Sの値は、年間平均設備利用率を 10 %、設備使用期間を 20 年として、
(単位設備能力 1 kW当たりの産出エネルギー S)
=(設備能力1 kW)×(理論年間稼働時間 8,760 h/年)
×(設備使用期間 20 年)×(年間平均設備利用率 0.10)
=17,520 kWh/kW-設備
と計算される。この産出エネルギー Sの値には、通常、資源量としてのエネルギーを表す一次エネルギーが用いられるが、産出エネルギーが電力の場合には、その使用形態が限定されるために、最終エネルギーとしての換算値
S =(17,520 kWh)×(860 kcal/kWh)=15,067 ×103 kcal
が用いられなければならない。
また、メガソーラーについて、FIT 制度の適用により事業収益が得られるための設備製造・使用のコスト T の値は、FIT 制度の買取価格P = 37. 8 円/kW、事業収益を確保するための係数を f = 1.05(仮定値)とすると、(A-1)式から、
(単位設備能力1 kW当たりの電力生産設備製造・使用のコストT)
=S ×P / f=(17,520 kWh)×(37.8 円/kWh )/(1.05)
=630,720 円/kW-設備
と計算される。この(設備製造・使用のコスト T)の値と、上記本文の(2)式で求められる(国内生産コスト当たりの社会エネルギー消費 c)=9.54kcal/円の値を用いて、メガソーラーの製造・使用での
(単位設備能力 1 kWh 当たりの投入エネルギー M )
=T×c=(630,270円/kW-設備)×(9.54 kcal/円)
=6,017 ×103 kcal /kW-設備
と求められる。
このMの値と、上記に計算値を示した Sの値から、本文(3)式と同様、国産の。メガソーラーの
(有効自然エネルギー(国産エネルギー)利用比率i )
=1 - M / S=1 -(6,017)/(15,067)=0.601=60.1 %
と概算される。
なお、上記は、国産のメガソーラー設備を使用した場合で、輸入設備を使用した場合には、その輸入設備金額分のエネルギー(6,017×103 kcal/kW-設備の.9 割、 5,415 ×103 kcal/kW-設備とする)を産出エネルギーから差し引かなければならないから、
i=1 -(6,017)/(15,067 -5,415)=0.377=37.7 %
となり、この場合のメガソーラーは、もはや、国産のエネルギー生産設備とは言えなくなることに注意する必要がある。