太陽光発電は「再生不可能」である(改訂版)

科学の原理を無視して進められる「革新的エネルギー・環境戦略」の根本的な見直しを求める


東京工業大学名誉教授


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改訂原稿への差し替えをお願いした理由について

 私の論文;“太陽光発電は「再生不可能」である”について、ツイッター上で、“再生可能の条件が産総研のHPの記述と矛盾している”とのご指摘を受けました。
 確かに、いま、太陽光発電を含めた自然エネルギーからつくられる再生可能エネルギーが持続可能な社会のエネルギー源となると当然のように言われています。しかし、再生可能エネルギーが、再生可能であるためには、その使用期間に一定の制約(寿命)のある再生可能エネルギー生産設備の再生(更新)のために使用されるエネルギーが100 % 再生可能エネルギーで賄われなければなりません。ところが、実際には、このエネルギー生産設備更新のためには、設備の製造・使用に係わる労働力や設備材料としての地球資源の供給など、再生可能エネルギーでは賄うことのできないエネルギーや物質(資源)が必要になります。したがって、このような設備で生産されなければならない再生可能エネルギーは、科学的に見て、「再生可能」とは言えません。結局は、現状で現代文明社会のエネルギー源の主体を担っている化石燃料の代替として、その消費を抑え、それをできるだけ長持ちさせる働きを持つと考えるべきであります。このように考えますと、再生可能エネルギーの利用に当たっては、その生産量から、この生産設備の更新に伴うエネルギー消費量を差し引いた「自然エネルギーの有効利用の比率」ができるだけ大きいもの、すなわち、エネルギー変換効率の良いものが選択・使用される必要があります。私の科学的な解析結果によると、残念ながら、太陽光発電は、この「自然エネルギー有効利用比率」の値が、風力、中小水力、地熱などの再生可能エネルギーの生産方式に比べて、余りにも小さく、非常に効率の悪いエネルギー生産方策と言わざるを得ません。
 以上が、いま、原発事故を契機として問題になっている原発代替のエネルギーとして、今年の7月から施行されるようになった「再生可能エネルギーの全量固定価格買取(FIT)制度」のもとで国民に大きな経済的な負担をかけることで、その導入が図られている再生可能エネルギー、その中の主体を占めている太陽光発電の実態です。いずれは枯渇する化石燃料をできるだけ長持ちさせるために「自然エネルギーの変換による再生可能エネルギー」を使用しなければならないとしても、それは太陽光発電ではないはずです。にも拘わらず、最近、FIT制度の施行により、企業等によるメガソーラーの大幅な導入計画が進められていると報道されています。それは、太陽光発電に対して国により設定された高い固定買取価格42円/kWhであれば、この発電が営利事業として成立するからです。この営業利益は、国民の生活と産業の維持のために欠かすことのできない市販電力の世界一高い料金を、さらに押し上げることによって賄われます。結果として、国民生活と産業に大きな困難をもたらし、また、現状でも低迷している日本経済をさらなる苦境に陥れることになります。このような主旨で書かれた元原稿ですが、今回、ツイッターの方から上記のようなご指摘を受けて、読み返してみますと、私の再生可能エネルギーが科学的にみて「再生不可能」であるとする主張が必ずしも判り易い形で記述されているとは言えないこと、また自然エネルギー種類別の再生可能エネルギー利用効率の定量的な比較の記述に不備があることなどを見出しました。したがいまして、先日アップされた元原稿の主旨を皆さんに正しく理解していただくために、元原稿の再生可能エネルギーとしての太陽光発電が「再生不可能」であることの説明の部分にやや大幅な改訂を加えた新たな原稿を作成し、これを元原稿と差し替えていただくことを国際環境経済研究所編集担当にお願いした次第です。
 この改訂原稿について、改めて、ご検討、ご批判いただければ幸いです。

東京工業大学名誉教授  久保田 宏 

なお、改訂原稿は、全文PDF で提示させていただきます。

改訂原稿全文(PDF)