松井英生・石油連盟専務理事に聞く[後編]

震災を教訓に、石油製品の平時からの利用と備蓄の体制づくりへ転換を


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授

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3Eの同時達成のなかでも安定供給の確保を一番にしていただきたい
ベストミックスに石油も不可欠

――環境と経済の融合についてどう思われますか。

松井:2009年の第15回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP15)以降、特に去年COP16が終わったころから、安定供給、経済性、環境のいわゆる3Eの同時達成のなかで、環境が最も注目されていたと思います。

 もちろん環境は大事ですが、エネルギーの安定供給は、国家安全保障の要です。やはり3Eの同時達成のなかでも、安定供給の確保を一番にしていただきたい。安定供給の確保というと、今までの国の政策では上流部門、つまり権益を取ってくる、それから原油備蓄をする、ここが安定供給でした。

 震災を経験し、サプライチェーンを活用して、消費者の方々に石油製品をお届けする、そこまでが安定供給だと思っています。すなわちサプライチェーンの維持・強化を政策的に推進することが必要です。このように政策として大きな意味で安定供給をとらえる考え方をしていかなくてはいけません。災害対応力の強化のために国が石油製品備蓄を進めるとともにユーザーにも備蓄を持っていただく、大きな哲学の変更による具体的な対策が必要です。

――3Eの重要性の序列を考え直すべきだということですね。

松井:環境とエネルギーは表裏一体ですから、エネルギー政策をきちっと固めたうえで環境政策を考えていただきたい。環境のために石油が悪いという扱いでなくて、まずエネルギー供給の中でベースになるのが石油でしょう。石油がこのくらい必要なのだというのをまずつくり、その後にLNG、石炭、原子力をどうするのかということです。不安定な再生可能エネルギーは最後に考える。

 そのベストミックスをつくった後でCO2換算するとどうなるかということだと思います。COP17や18に向かって、どう目標をつくるのか。25%削減が先にある政策ではなく、エネルギーのベストミックスをきっちり決めて、その前提で環境政策として何ができるかを考えるべきでしょう。