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日本経済が再び世界をリードするために[前編]

~エネルギーの安定供給と経済性の視点を外さないでほしい~


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授


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再生可能エネルギーの全量買取制度はベストな選択か?

――再生可能エネルギーの導入促進では、全量買取制度を導入するための『電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法』が8月26日に成立し、来年の7月1日に施行されます。政府に対して何か要望はありますか。

井手:今後の我が国のエネルギー政策を考えるうえで、経団連としても、再生可能エネルギーの普及・拡大は不可欠であると認識しています。しかし、再生可能エネルギーといっても多種多様なエネルギーの形態があり、また、技術開発の段階もまちまちです。今回導入される固定価格買取制度は、エネルギー基本計画の改定にあわせて見直されることになっています。その際に、今の制度が望ましいのか、個々のエネルギー源に応じた適切な普及策があるのかも含めて再検討すべきだと考えています。

――来年の法律施行に向けて、買取価格や買取期間に関するさまざまな議論が展開されています。

井手:買取価格や買取期間は、今後、エネルギー源ごとに決められることとなっていますが、エネルギー源の多様性や経済性を踏まえた検討を期待しています。また、今回の固定価格買取制度では、買取費用の回収策として、各電力事業者がサーチャージ(賦課金)を請求できるとなっています。一方で、電力の購入費用が売上高に占める割合が大きい事業については、事業所ごとに減免措置を行うことも決定されています。現在の経済環境を考慮し、個々の事業の実情や制度全体の公平性の確保の観点から、減免措置の柔軟な運用を強くお願いしたいと思います。

――大きな負担になる事業者への考慮をしてほしいということですね。

井手:そうです。長い目で見れば、再生可能エネルギーを増やしていくことは正しい選択でしょう。しかし、この5年、10年で急速に普及させるという話になると、再生可能エネルギーには、まだまだ課題があります。国民生活に直結する最大の課題は高コストであることです。

「再生可能エネルギー買取制度は、経済環境を考慮し、柔軟に運用してほしい」と語る井手氏