中東危機で原子力復権加速、世界の流れに日本も合流を


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三菱重工の打ち出した新型炉「SRZ1200」
(同社のイメージビデオより)

米国・イスラエルとイランの軍事衝突が断続的に続き、その影響で石油の供給が混乱している。エネルギー危機に世界が苦しむ。しかし同時に脱石油の新しいエネルギーシステムを作ろうとする動きが広がり、原子力に期待が高まっている。それを伝える世界の主要メディアの情報を整理し、対照的な日本の雰囲気との違いを紹介して考えてみたい。

「ルネサンス」「復活」との形容で再評価

米英のメディアは、原子力の再評価が世界各国で起きていることを報道している。「ルネサンス(renaissance)」「復活(revival, comeback)」という言葉が使われ、前向きの記事が並ぶ。米国のニューヨーク・タイムズ(NYT)、英フィナンシャル・タイムズ(FT)、BBC(英国放送協会)のような影響力の大きい媒体が、繰り返しその動きを報じている。

2022年に始まったウクライナ戦争の後のロシアへの経済制裁で、ロシア産原油・天然ガスの代替エネルギー源として原子力が注目された。また近年、アメリカで、AIとデータセンター普及による電力需要の増加への対応が求められ、その手段としても注目された。そして今回の中東危機で、さらに原子力への注目は増している。

NYタイムズは、記事「新たな石油ショックが原子力回帰を加速させる」(A New Oil Shock Accelerates a Return to Nuclear Power)(2026年4月6日)で、原子力の復活をめぐる世界各国の動きを伝えた。日本とアジア諸国では福島原発事故(2011年)後に、原子力の発電利用に拒絶反応が広がった。しかし今の天然ガスや石油製品不足が、その政策を再考させ、それは世界に広がっているという。

FTは記事「中東エネルギーショックが原子力への関心を復活させる」(Middle East energy shock revives interest in nuclear power)(3月11日)で、同じ動きを伝えた。経済紙のFTは、新型炉など新しいビジネスへの期待を強く打ち出している。

BBCも記事「新たなエネルギーショックに直面し、欧州は原子力復活を問う」(Faced with new energy shock, Europe asks if reviving nuclear is the answer)(4月3日)で、原子力を「エネルギー主権(sovereignty)」と「脱炭素」の両立手段として、政治的議論が始まっていることを伝える。しかし、建設コストの高さ、そして技術と労働力不足によって各地で計画倒れとなっている問題も指摘した。

原子力、悪い情報しか伝えない日本メディア

一方の日本のメディア、特に朝日新聞、毎日新聞、NHK、民間テレビ放送などのオールドメディアは、原子力をめぐるこうした世界の潮流を積極的に報道していない。読売新聞、産経新聞など、肯定的な報道をするメディアは少数だ。今はメディア企業以外にも、情報発信で存在感を持つ、個人や組織のインフルエンサーがいる。しかし原子力、エネルギー業界では、その問題が専門的であるためか、存在感を持つ人の数は少なく、彼らの言葉はSNSでそれほど広がりを見せないように思える。

また報道量も増えていない。朝日新聞のデータベースで、同紙に掲載された「原子力」「原子力発電」を含む記事は、福島原発事故のあった2011年には9001件あったが、25年には1078件まで減った。激しい批判の後で問題に飽きてしまったかのようだ。

そして福島原発事故以降、日本では原子力については、まず批判が行われる。「中部電の原発不正隠し 企業統治の破綻明らかだ」(毎日新聞社説、7月7日)など、各社は不祥事の追及に熱心だ。また「老朽原発 危うさ再考するべきだ」(朝日新聞社説、7月9日)、危険性を強調する。

もちろん原子力をめぐって運営者の問題行為は許されないし、安全確保も当然必要だ。しかし日本のメディアの報道は、こうしたマイナスの情報ばかり伝えて、今世界で起きているような前向きの話は伝えない。米英メディアと全く違う世界にいるかのようだ。

世界の流れに日本が合流する準備を

日本のメディアの欧米メディアに比べた「質」については、以前から問題になっている。しかし、その質の問題だけではない。メディアの関心は、その発行される社会の関心でもある。日本社会に広がる原子力への反感、そしてエネルギーに関する知識不足が反映しているのだろう。

日本は、原子力発電設備の製造をする企業グループが、三菱重工、日立、東芝と3つもあり、まだ産業に他国に比べた優位性がある。そして原子力では、中国やロシアの企業の存在感が増している。その状況で、日本企業は自由陣営の原子力を支えている。このように世界の利益、国益、そして国民の利益と日本の原子力産業は結びついている。

日本国民の「質」は世界有数の高さだ。きっかけや適切な情報があれば、日本のオールドメディアと違い、日本の多くの人は原子力問題でも世界の人々と同じ反応をし、そのメリットを利用して自分の生活に役立てようとするだろう。世界の動きが原子力の復活なら、その邪魔をする日本のオールドメディアなどの勢力を放置して、世界の流れに従えば良い。

日本国内でそうした状況を作るためには、原子力を支える人が原子力のプラスの側面を訴えていく。そして原子力に関わる人は安全、安心を高める努力を続ける。そうしたことの積み重ね、そして信頼の回復を、福島事故の後で、原子力を支える人たちは続けてきた。ようやく原子力への拒絶反応は薄らいできた。世界の流れが影響をして、原子力をめぐる状況が日本で転換する。それはまもなく訪れると信じたい。