ミッシングマネー問題にどう取り組むか 第9回

問題が顕在化するドイツで電力市場改革の動き


Policy study group for electric power industry reform

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 ドイツの各州政府の本件に関する意見分布は図22のとおりである。16ある州のうち、容量市場を支持したのは、南部の2州(バイエルン、バーデン・ビュルテンベルク)である。2011年に閉鎖された原子力発電所8基のうち、5基がこの2州にあり、電力不足が特に危惧されていることが背景にある。

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図22:2つの選択肢に対する各州政府の意見分布
(出所)ドイツ経済エネルギー省(2015)を筆者が加工

<電力市場2.0/容量市場への賛否は?>

 電力市場2.0/容量市場の賛否について、関係者から寄せられた意見を表5に整理する。

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表5:電力市場2.0/容量市場の賛否に係る意見
(出所)ドイツ経済エネルギー省(2015)を元に筆者作成

 以上が、ミッシングマネー解消の方策について、ドイツ政府が行った判断の内容およびその背景である。次回は容量予備力制度、次々回は電力市場2.0について深掘りしてみる。

<参考文献>
 
ドイツ経済エネルギー省Webサイト
ドイツ経済エネルギー省(2014) , “An electricity market for Germany’s energy transition Discuusion Paper of the Federal Ministry for Economic Affairs and Energy (Green Paper)”
ドイツ経済エネルギー省(2015) , “An electricity market for Germany’s energy transition White Paper by the Federal Ministry for Economic Affairs and Energy”
熊谷徹(2015) , “火力発電所の閉鎖とエネルギー転換の矛盾”

執筆:東京電力株式会社 経営技術戦略研究所 経営戦略調査室長 戸田 直樹

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