日本版再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)について
小野 透
(一社)日本鉄鋼連盟 特別顧問/日鉄テクノロジー株式会社 顧問
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- 既存電源への適用について
本制度は、再生可能エネルギーの新規導入を図る政策であるにも拘らず、既に導入された設備を本制度の対象とする理由が全く見出せない。景気対策のために創設された住宅ローン減税を、数年前に住宅を建築ないし購入した者に対して同制度を適用することと同様に、正当な理由が無い。しかも、今回提示されている調達価格・期間は、新規設置者の利潤確保に特別に配慮した、スペシャル補助金とも云うべきものであり、数年前に設置した者に適応する性格のものでないことは明白である。
今般示された買取価格(例えば20kW超の風力で23.1\/kWH)は、現行のRPS制度での買取価格(H16年度風力実績で11.6\/kWH)と比較して、補助金分を補正したとしても明らかに高価であり、またRPS電源の多くは契約期間が10~15年であると考えられることと照らしても、買取料金を上げたうえに買取期間まで延長することになり、既存RPS電源への新制度適用による増コストが大きすぎる。